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元主人公、今は脇役願望。  作者: 花澤文化
第1章『始まった物語』
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第6話 MOVE

土曜日、土曜日いやっほーーーーーぃ!!!今日は休みで授業がない。俺の休日を満喫してやんぜ!!

っていう日なんだけどな。


「ほら、井野宮君、働け」

「へーい」


俺は委員長の引っ越しの手伝いをしていた。正確には俺だけじゃない。


「あー、もう疲れたよー」

「俺の鋼の肉体の前には敵はない!!」


真苗に志野野辺も一緒だった。ていうか2人とも無理やりにだ。もうあれは脅迫に近かったな。




時は朝にさかのぼる。俺はめずらしく8時に起床した。委員長の引っ越しの手伝いなんてするつもりはこれっぽっちもなかったさ、もちろんな。


ピリリリ


「あぁ?電話か。・・・・げっ!委員長からだよ・・・・・・・」


出るしかないので俺はしぶしぶ電話にでた。


「あー、もしもし」

「井野宮君か。もうそろそろサボろうとしてる頃かと思い、電話した」


どんだけ!?超能力者かよ!!俺の心境はどんだけ察知しやすいんだ・・・・・。それほど単純だということですね。


「ちなみに今日来なかったら、真苗君に君のエロ本の隠し場所を話す」

「なんでお前が知ってんの!?どうせ冗談だろ」

「ベットの下の右から3番目の段ボール。その一番下に入っている」

「今日は引っ越し日和っすねぇ!」


泣きそうだ。お前、俺の部屋に入った事あったっけ?だとしてもなんで知ってんだよ。探したの?





というわけで今に至る。その他の真苗や志野野辺も同じように脅迫されたらしい。どういう内容かはしらんが。


「それにしても悪いな、諸君。手伝わせてしまって」

「「「いえ、手伝いたいんス!」」」


よくいうぜ、こいつ!ちくしょう!俺の休日が・・・・・・・・・・。と思いつつベットをよけるためにベッドの下に何かないか確認していると・・・・


「ははは、井野宮君。私はエロ本など隠してないぞ」

「は!?」

「えー、井野宮君そんなことしてたの!?」

「男・・・・・いや、漢だな」

「探してねぇし、そんな評価もいらねぇ!!」


なんで女子の部屋きて、エロ本探してんだよ!新手の変態みたいじゃねぇか!


「ベッドをよけようとして、下に何かあるか確認したんだ」

「なんだ、割と普通でつまらん」

「井野宮君・・・・がっかりだよ!」

「男じゃないな」

「なんで俺の評価は普通にしてると下がるんだよ!」


もういや!帰りたい!なんで精神的にも疲れさせようとしてくるんだよ!肉体的にももう大分限界だが。それにしても委員長の部屋はきれいだな。ホコリもないし、そして何よりピンク色とか使っている部屋なのでかわいらしい。ぬいぐるみもあるぐらいだ。


「へー、意外と可愛い趣味してんだな」

「それは誰に向かって言っているんだ?」


すいません。本当にすいません。すごく殺気みたいなのを感じたので謝っておこうと思う。顔は決してみない。トラウマになりそうだから。


「さて、そろそろ休憩にしよう」

「ふー、もう疲れたー」

「さーて、昼飯、昼飯」

「ねみー・・・・」


俺ら4人は昼食をとることにした。昼食はカレーだった。


「これは木野白きのしろが作ったのか?」

「井野宮君、誰に聞いているのかな?私もそれぐらいなら作るぞ」


俺は純粋な驚きがあったため、失礼なことを聞いていた。だって見るからに不器用そうなんだもん。


「うまい・・・・普通にうまいぞ!」

「志野野辺君、それは普通に失礼だぞ」


確かに普通にうまいぞ!ってみるからにマズい味を予想していたものが発する言葉だ。俺も人のこと言えないがな。


「そういやぁ、木野白の親は?」

「私はこのアパートに一人暮らしだぞ」

「ふーん、ってことは引っ越し先もアパートなのか?」

「それは後でのお楽しみだな」


なぜ内緒にするのか全然わからない。そして昼食を食い終えた俺らはまた引っ越しの手伝いをするべく腰を浮かせた。正直いってかったりぃっす。たまに友達とかから頼まれる「もしよかったらでいいんだけど」という前置きぐらいかったるい。何言ってんのかわかんないね。


「さ、もう少しだ。頑張ろうではないか!」


委員長の元気さは3人の中で群を抜いていた。当たり前だな。俺ら3人は脅迫に近い形でやらされてるしな。こればっかりはモチベーションが下がる。


「じゃあ、次は何を運べばいいんだ?」

「ふむ、これだ」


それは犬小屋だった。ただし中にまだ犬が在住してるわけなんだけどね。


「これで最後か?」

「あぁ、これさえ運べばな」

「犬小屋を運ぶのであって、犬は運ばないんだろ?」

「そうにきまっているだろ。犬は手放せない!」


どんだけ犬好きなんだよ。まぁ、これが最後なら楽なほうか。と思い俺は犬小屋へ手を伸ばした。


「ガチンッ」

「・・・・・・・・・・・・・・」


危うくマジ噛みされそうになった。なんだこの危険生物。


「なぁ、これ・・・・・・」

「あぁ、こいつ犬小屋から離れたがらなくてな。私も苦労してたんだ」

「こいつ、噛もうとしてたんスけど」

「可愛いじゃないか」


可愛いじゃすまされねぇ。下手したら俺の指がもってかれるんだけど。このままじゃ、「あなたのお父さん指とお母さん指は?」「犬にもってかれましたー」なんて会話が幼稚園で成立するかもしれない。


「これは無理そうだな。諦めようぜ」

「なっ・・・・・!ベッドの下の段ボール」

「ちくしょう!死ねってことか!」


この野郎!愛する犬のためなら友人の指などいらないといった感じだな。でもこの犬ガチンッってやったんだぜ。噛み切る気満々な音出しやがったんだよ!


「くっ・・・・・・」


俺は恐る恐る手を前に出していく。これは黒ひげ危機一髪の最後の方の盛り上がってきた感じの緊張感に似ている。ただし飛び出すのは愛嬌ある黒ひげのおっさんではなく、犬歯むき出しの殺人犬だが。


「よし!犬小屋に触れた!このまま持ち上げれば・・・・」


持ち上がらなかった。ていうかこれ固定されてるやん。じゃあ、こいつの相手しながら固定しているものをはずし、さらに持ち上げろと。そういうわけですな。これは無理だわ。おじさんこれはできない。と親戚のおじさんが小さい子供に言い訳するように心の中で言った時、


「ガウッ!」

「危ねぇ!!!!」


犬がものすごい勢いで噛もうとしてきやがった。ざけんな!こいつワンじゃなくてガウってなきやがる。こいつマジでだめだよ。情けないとか思ってる諸君。目の前にライオンがいると考えてくれ。これは決して過言ではない。


「やはり、君でも無理か・・・・」

「君でも?」

「実は志野野辺君に頼んでみたのだが、それでも無理でなぁ」

「志野野辺でも無理だったのかよ」

「え?あぁ、無理無理。俺なんかそういうアレルギーだし」


こいつ何かそういうアレルギーだったのか。


「悪いな。木野白。俺も何かそういうアレルギーなんだ」

「ふむ、そうか。なら業者に頼んでみるかな?」


なんとかごまかせたな。真顔で言ってみるもんだ。業者さんも驚きの犬だったとさ。ていうか最初から業者に頼めよ。





「無事終えることができた。皆今日はありがとう」


ということで引っ越し無事終了。今日木野白は近くの親戚の家に泊まるそうだ。明日から新しい家に移動というわけ。


「じゃあな、木野白」

「ばいばい、木野白さん」

「また明日」


俺らはそれぞれ帰路についた。やはりこういう日常はいいな。安定してる。すごく面白いものは無いけれど毎日、安定した面白さをくれる。しかし俺は見出してしまった。「非日常」を。


「あんた、ちょっといい?」

「あんだよ?」


帰り道。普通の民家の壁によりそって立っていた「非日常」。


「別に今、あんたを頼ろうとしてるわけじゃない、あんたの話を聞いてどうしても言いたいことがあるだけだから、安心して。すぐ済ますから」

「あぁ・・・・・・わかったよ」


こいつが何を言おうとしてるのかはわからない。けれどここでもっとはっきり言ってやろうと思った。俺に関わるなってな。俺は無言で少女モーラの後に着いていった。




今回のタイトルは引っ越しという意味です。


今回も日常的なもので終わらせました。


読んでくれた皆さんありがとうございます!

お気に入り登録もしていただいて嬉しい限りです!


でわ、これからもよろしくお願いします。

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