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元主人公、今は脇役願望。  作者: 花澤文化
第1章『始まった物語』
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第5話 DAILYLIFE

「ありがとう・・・・・さようなら・・・・・・・」


待て・・・・・どこに行くんだ・・・・俺を置いていかないでくれ。しかし少女は徐々に消えていく。


「ルナァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」


少女は消えた・・・・・・・・・・。





夢と分かっていても辛いものだな。俺は目が覚めると涙を流していることに気がついた。


「格好わりぃな・・・・。未練タラタラ」


俺が女で彼氏が未練がましいやつならあきれているだろう。しかも夢に出てきて、涙を流してるぐらいなのだから。そしてそれと同時にここは俺の部屋だということもわかった。俺は無人島で倒れたはずなんだけど。


「そういやぁ・・・・・・」


と言いながら俺は首をまわし、部屋の様子をみる。少女モーラはいない。出て行ったのか。まぁ、当然だろうな。俺はあのときモーラを拒んだんだから。


「学校へ行くか」


朝食は食べる気にならない。俺は朝やる最低限のことを済ませ、重い足取りで学校へとむかった。後悔なんてしていない。罪悪感も・・・・・・・・・・・・・・。





「よぉーっす、井野宮いのみや。元気そうだな」

「お前に俺が元気に見えるのなら、お前の目は節穴どころじゃないと思う」


学校に着いて早々俺に元気にあいさつしてきたのは志野野辺雄大しののべゆうだいだ。バカ、とてつもなくバカ、超バカ、しゃれにならないぐらいバカと検索したら必ず検索ワードに引っ掛かるぐらいのバカ。


「いや、普段のお前よりは元気だなと」

「俺の元気レベルを勝手に下げるなよ!これでも今日は元気ねぇんだよ!」

「ってことは、俺は深入りしない方がいい件か?」

「悪いな。別にお前を頼りにしてないわけじゃないんだ」

「大丈夫だ。そんな心配してねぇよ」

「わー、これが男の友情っていうやつかー」


ちなみに最後のセリフは俺じゃないぞ。志野野辺、俺、志野野辺、俺、志野野辺・・・・・・・・・


真苗未央まなえみおだ。


「やぁやぁ、おはよう。二人ともー」

「よぉ」

「おう」

「男の友情に水差しちゃったかなー」

「いや、いいって。男の友情ほど暑苦しいものはないからな。あ、志野野辺はそれよりあついな」

「そうだぞ、俺はバスケ部でも炎の志野野辺と呼ばれるほどの・・・・・」

「あ、やべぇ。もう時間じゃねぇか」

「あーほんとだー。急がないと」

「ボケ殺し!!こんのクソ野郎!!!!」


少々騒がしいが俺はこの日常が大好きだ。俺はここで普通に生きたい。「非日常」なんて2度とごめんだな。なんとも脇役らしい日常じゃないか。





放課後。俺は掃除の当番だったので班員と教室の掃除をしていた。マジでかったるいな。学生諸君なら分かってくれるだろうか?いや、きっと学生じゃなくても分かってくれるだろうと信じよう。


「あー、まず、ほうきが小さいんだよな。教室ぐらいあれば一回でごみを集められるんだが」

「その前にまず、机を出すということをしなくてはいけないぞ」

「あれ?委員長」


今、俺に話しかけてきたのは、この学級の委員長の木野白泉きのしろいずみ。なんか男っぽい口調だが、性別は女。黒髪ロングヘアーで、メガネはかけてないぞ。可愛いというより美しい、凛々しいが似合うやつだ。背が160後半あり、ナイスバディ。


「どうした?私がここにいることが不思議か?」

「いや、同じ班員だったねっていう簡単な思い出し行為です」

「そうか、しかし掃除はかったるいな」

「あんたもかよ!っていうか委員長がそれでいいの!?」

「私だって人間だ。掃除がかったるいのは人類共通だろ?」

「いや、中には掃除が好きな人もいると思うぞ」


こいつと話していると、落ち着くな。なんていうか近寄りがたい雰囲気が中学のころにはあったんだよな。こいつ。まぁ、まさか同じ高校になるとは思ってもいなかったけれど。さらに同じ学級。


「なぁ、木野白」

「なんだ?」

「お前は『非日常』って信じるか?例えば、異能バトルとかそんなん」

「『非日常』か・・・・。信じるぞ」

「は!?マジで!?」

「自分で聞いといてなんて失礼な反応だ」

「いや、悪い。驚きすぎた。でも委員長でも信じるのか」

「言ったろ、私も人間なんだ」

「まぁ、そうだな」


この後俺たちはたわいもないことを話した。話しすぎた。掃除をほったらかしにしてたせいでこのあと先生怒られたことはなんとなく想像つくだろう。





帰宅しようと玄関に行くとそこには真苗がいた。俺は靴をとりだそうとしていた手を止め、あいさつをする。それにしても・・・・・あいつとはよく玄関で会うな。


「やーやー井野宮君。偶然だね」

「偶然にしちゃ、毎回ここで会ってるような気がするがな」

「え!いや、そんな、えと、気のせいだって!」


慌てすぎだろ。そこまでして何を隠そうとしてるのやら。しかし、その慌てた姿はあいつにそっくりだった。そう、『忌々しい過去』に。


「今日は一緒に帰ろうー」

「別にいいが」

「やったー」


何をそこまで喜ぶことがあったのだろうか。なんか賭けでもしてるのかな?私が井野宮君を誘ってOKされたら私の勝ちね!とかなんとか。まぁ、そんな考え方はさすがに失礼なため、純粋に楽しませてもらうさ。


「いつぶりだろうね、こうやって一緒に帰るの」

「えーと、中2の後半にはもうバラバラだったな」

「うんー、ちょっとさみしかったんだよー」

「悪い。あのときはいろいろとあって」

「ううん、謝らないで」


などと昔話をしながら帰宅するために歩き出す。それにしてもこいつは昔から変わらないな。それがいいことなのか悪いことなのかは分からないが、こいつは今のままが一番だと思った。


「えへへ」


俺はこいつの笑顔で癒されるようなもんだな。まったく・・・・・俺は友達離れということが永遠にできそうにない人種らしかった。


「あ、猫さんだー。にゃー」

「猫に話しかけるのはやめてもらいませんかねぇ!?俺が恥ずかしいんで!」


まぁ、こういうところも含めてこいつのいいところなんだよ。きっと。たぶん。まぁ、なんとなく。ちょっと自信がなくなってくる。


「じゃあ、私はこっちだから」

「あぁ、じゃあな」

「うん、バイバイー」


俺は1人で帰宅する。このさっきまで騒がしかったのに急に静かになるとさみしくなるこの感じはどうにかできないものだろうか?無理ですねすいません。


「さぁて、部屋に帰って、宿題でもすっかな?」


俺はこの日常が大好きだ。最初に言った通り、これを曲げる気はない。騒がしく、そして楽しい。笑顔であふれているこの感じ。ちょっと疲れるけれど、これはこれでいい。


ピリリリリピリリリリ


俺の携帯にメールがきた。


「あ?委員長からか。なになに・・・引っ越しを手伝ってほしい。日時は明日午前10時って・・・」


「俺の土曜日がぁああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」


まぁ、いいんだよ。別に。うん。日常大好きだし。でもせっかく今週の土曜日は授業がないしさ、休みたい気持ちはあるじゃん。でもまさか引っ越しの手伝いとはねぇ・・・・・・いや、日常大好きだけどなっ!



今回はバトルがない日常回でした。

次の話はどうなるんでしょうかね・・・・自分でもわからない。


タイトルは日常という意味です。


でわ。

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