銀色の闇ninth 第45話 ONE
「反逆者どもか・・・」
井野宮天十の窮地を救ったのは暗き蝙蝠に逆らい倒れていたはずの梨菜たちだった。梨菜たちは持ち前の武器扱い能力を使い井野宮の代わりに暗き蝙蝠のリーダー代理を倒す仕事を受け持つ。
「はやく!はやく行ってください!」
「分かった。必ず生きろよ」
そのころシルバーウルフのリーダーこと志野野辺雄大は鈍さを生かして戦っていた。
(私たち・・・天使のことを信じていない!?)
そう、天使とは信じられたものにしか存在するように見えない幻想のようなもの。志野野辺はまったく信じていなかったのだ。そのせいで天使の力は弱まり続ける。
「構えろ。俺はまだ戦うぞ」
また一方。暗き蝙蝠のリーダー木野白泉は苦戦していた。
「僕の本当の能力は武術じゃないんだよ。それすら使う機会がなさそうだけど」
このようなふざけた発言に木野白は怒る。
「お前、本気を出せ」
そしてその怒りから天使に一撃をくらわすことができたのだ。
それぞれの戦いは終わりにむけ、走る。
〇
「ここら・・・へんか・・・・・」
俺、井野宮天十は未だに全力疾走していた。いつまでこれ続けるんだよ。肺は痛み、息をするのも苦しい。そんな俺はシルバーウルフを探している最中だった。商店街のルートによるとここらへんなのだが・・・。
「あっ!」
「・・・・・・・・井野宮・・・天十」
シルバーウルフリーダー代理とそのメンバーたち。どいつもこいつもものすごい殺気だった。
「お前らを止めにきた」
「分かっている。残念だが俺はお前に止められるためにきたんじゃないぞ」
「・・・・・」
「いくぞ。手加減はしない」
「こい」
リーダー代理はメリケンサックをはめ、おもいっきり殴ってくる。それをギリギリでかわした俺は後ろへ逃げながら距離をとる。相手は完璧近接系。拳の距離を見極められれば。
「ちょこまかと・・・!」
「遅いぞ」
「そうかなら・・・」
そう言ってポケットから石をとりだすリーダー代理。なんだ?石を投げるのか?
「はぁああああああああああああ!!!」
「!?」
リーダー代理はその石を殴って飛ばした。その威力はただ投げたときよりも格段に強い。
「く・・・そっ!」
銃弾のように変化した石はもはや兵器。後ろに走って逃げる。外れた石は軽くコンクリートに埋まる。貫きはしないもののめりこんだ。
「お前本当に人間かよ!」
「それは俺がお前にききたいな。去年の不思議な技。あれはなんだ?」
「!!」
能力、言霊のことか。最近は空気だが俺の能力は言霊。言葉に意味をのせる技。一般人にしてみれば不思議以外のなにごとでもない。俺は距離をとり、石を全てかわず。
「疑問を疑問で返すなよっ!」
俺は道に落ちてた鉄パイプを投げつける。さっきの天使が使ってたパイプだ。しかしそれも拳でふせがれる。
「ぐっ・・・」
しかしノーダメージとまではいかなかったようだ。やはり生身の人間。そこをうまくつけば勝てるかもしれない。いい作戦なんてまったく思いつかないんだけどね。
〇
パァン!
銃声が響く。
「死にぞこないの雑魚どもがッッ!」
暗き蝙蝠リーダー代理は苦戦していた。というより苦戦を強いられていた。
(こいつらっ・・・!チームワークが半端じゃない!)
近接が得意な2人が攻撃に出る。それをかわしたと思っても梨菜の一撃をくらいそうになる。それを武器で防いだ時、わずかな隙を逃さず2人がナイフでたたみかけてくるといった具合だ。
(梨菜の位置はだいたいわかる。けれど攻撃する暇がない。こちらから何もできない!)
「リーダー代理!今、手を貸します!」
リーダー代理派の人間が手伝おうとしてくるしかしリーダー代理は・・・
「くるんじゃねぇええええ!」
「!!」
「これは私の戦いだ!手をだすな!」
「はっ、申し訳ございません」
本来暗き蝙蝠は個人戦を得意としてるしかしこの3人は集団戦。これが暗き蝙蝠が誇る唯一の集団連中。そして暗き蝙蝠幹部。
「これがチーム『超音波』ということか・・・」
何かをしても何もしなくてもその音だけでやられている。聞くだけで。聴くだけで。
「面白い。私を倒してみせよ」
「倒す?」
すると超音波のうちの1人。ツインテールのナイフ持ちが言葉を発した。
「私たちはあなたを殺すつもりで挑んでるんです」
そしてもう一人、ショートヘアーのナイフ持ちが
「だからあなたも全力で挑んでください。私たちを殺す心意気で」
梨菜が言う。
「死んでください。みんなのために」
「はっ!幹部風情が代理に敵うと思うなぁっ!」
代理が先に動く。武器を駆使した攻撃。まずはチェーン付きの剣を投げてくる。それをツインテールがかわし、そしてその隙に梨菜が銃を撃つ。それは袖からでたでかい鉄球で防がれ・・・その袖からは10本の剣がでていた。
「串刺しだ」
しかしナイフ持ちの2人はそれをうけながし、梨菜も銃弾で防ぐ。しかし梨菜は銃弾でふさぐだけを考えていたわけではなかった。
(この数の剣を出したのはあなたの失敗です。あなたは少し頭を冷やすことをおすすめしましょう)
そして一本の剣に狙いをさだめる。
(一本の剣を操れなかったらそれは残り9本にも影響する。それを狙って・・・)
放つ!
銃弾は一本の剣を弾き、その弾かれた剣が他の剣も弾いていく。
「そ、んな・・・」
代理は落胆する。その瞬間を逃す2人ではなかった。ナイフ持ちは一気に代理を倒して、首元にナイフをつきつける。
「代理!」
「動くな」
「くっ・・・」
「動いたら代理の首はねちゃうよん」
「お前らに人殺しなどできるものか!」
「もうよせ、お前ら」
その言葉を言ったのは代理だった。
「これは私の負けで頭が負けたらお前らの負けでもある」
「しかし・・・」
「ありがとう」
「!?」
「私はこんなにも幸せだったのか。まわりには私の身を案じてくれる人がいる。それだけでなんと幸福なものか・・・」
「『超音波』よ。あとは頼んだ」
「は!暗き蝙蝠『超音波』。あの少年を全力で手伝います!」
1つ目の戦闘が終了した。
どうも、お久しぶりです。
この小説を更新するのはまた1か月ぶりになってしまいました。
次はもっと間を開けずに頑張りたいです。
でわ