表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元主人公、今は脇役願望。  作者: 花澤文化
第5章『狼と蝙蝠』
38/68

第33話 WOLF

「予習終了ー」


俺はあれから帰って家で予習していた。これでも意外と真面目なんだぜ。


「ふぅー・・・・?そういやぁ、モラルはどうしたんだろうな」


最近はモラルと会ってないような気がする。いや、学校でじゃなくて放課後の話だけど。でもそのことより先に俺はしなければいけないことがあった。


『ピリリリリ、ピリリリリ、ガチャ』


『はい、もしもし。井野宮ですが』

「母さん、俺だよ」

『オレオレ詐欺ですか?』

「携帯に電話してんだから俺の名前ディスプレイに出てきてんだろ!」

『冗談だよ、冗談。で、何の用?』

「いや、ちょっと仕送りが足りないかなぁって」


そう俺は最近コンビニ弁当ですませてしまっているため、お金が異様にかかる。寮長の晩御飯に間に合わないのだ。


『は?でもそっち晩御飯作ってくれるんでしょ?』

「いや、最近は・・・さ。食べれてないんだ」

『はぁー、まったくしょうがない子だね。分かった。送っとくよ。でも無駄遣いはしないように』

「はい、ありがとうございます」

『じゃあ』

「おう」


『ブツッ、ツー、ツー、ツー』


「あーぁ、なんか疲れたな」


少しはバイトでもしようかなと思ったがうちの学校ではアルバイトは禁止されていることに気づく。


「ま、いいか。とりあえずモラルモラル」


といいつつ玄関を出て隣の部屋に行く。そして一応インターホンを鳴らす。


「はーい、って天十か・・・・・・」

「悪いかよ・・・・・」

「で、何の用?」

「いや、最近会ってないなと思って・・・」

「え!?」


なぜそこで頬を赤らめる。俺は何か言っただろうか。何も言ってないよな。


「そ、そうなんだ・・・ふーん・・・・私は元気だから心配しないで」

「別に心配はしてないんだけど・・・まぁ、それならいいや」

「うん・・・・・・・・・・ありがと」


バタンッ


「おぉう!あぶねぇ・・・・」


怒らせる事をいったかな?あんなに強くドアを閉めることはないと思うんだけど。顔も赤かったし。いいか。考えてもわかるようなことじゃない。


「じゃあ、戻るか・・・・」


俺は家に帰って寝ることにした。










実は今日、講習が休みだったりする。なので俺は朝から街にいるわけだ。店がいっぱいあるからどこに行こうかななんて考えるが、本屋で立ち読みしたり、新刊チェックで終わってしまう。


「一人だしなー・・・・」


俺は朝から暇だった。明日の講習の予習は終わらせてしまったし、宿題もやる気にならない。どうしたもんかとここに来たわけだ。


「だからといって何もすることねぇな・・・・・」


するとはるか遠く。視力で確認できるかできないかのところに・・・・・


「シ、シルバーウルフ!!?」


白い学ランを着た男が見えた。ここらへんは『暗き蝙蝠』の縄張りだったはずなんだが・・・。しかも集団戦法が得意のはずなのに一人で・・・・。違和感がある・・・・。


「うーん・・・リーダー代理かなんかに命令されたのかな?」


実は俺はリーダー代理と面識がある。もちろん両方のチームの。でもあまり関わらないようにしていたんだ。俺は非日常が大嫌いだから。


「どうせ暇だし」


俺はそんな何気ない気持ちでついていくことにした。いや、あのね・・・別に・・・・これは必要ある尾行だっ!!!








男は裏路地に入って行った。『暗き蝙蝠』がいる奥へと進んでいく。その2チームは協定を結んでおり、今は仲がいいと表現してもいいぐらいだ。


「・・・・・・・・・」


男は『暗き蝙蝠』主要陣地についた。


「よう、お前シルバーウルフか?どうした?」


『暗き蝙蝠』は女性メンバーが多く、今男に話しかけたのも女性だった。


「・・・・・・・・・・・」

「おいおい、話さないと分からないぞ?」


次の瞬間、男は隠していたナイフをとりだし、その女へとつっこみ、そして・・・・刺した。


「がはっ・・・・な・・・んで・・・?」

「・・・・・・」

「マミ!」


それに気づいたメンバーが駆け寄ってくる。


「てめぇ!よくも!ゆるさねぇ!」


鉄パイプを持ち、突進する女。しかし男はそれを少しの動き。最小限の動きだけでかわす。


「・・・・・・」


男はナイフを振り上げ。その女も切りつけた。


「きゃあっ・・・・!」


ドサッ


「・・・・・・・あい・・・・」

「リーダー代理!シルバーウルフが攻め込んできました!」

「何!?」

「人数は一人です!」

「一人・・・だと・・・・・」

「あたしらに攻撃の許可を!」

「だ、駄目だ!そいつは明らかに単独行動。そしてどこかおかしい。ここでそいつに攻撃したら・・・リーダーがせっかく作った協定が崩れるかもしれない!」

「でも・・・・・・・」

「こんな時・・・リーダーだったら・・・・・」


「待て!」



そこにいたのは非日常を嫌う少年だった。






どういうことだろうか。協定を結んでいた『シルバーウルフ』が・・・・『暗き蝙蝠』をきりつけた。これは驚くほかになにもすることがなかった。


「お、おい!待て!」


俺は拳を握り・・・・・・そして男の後頭部を殴りつけた。


「・・・・・・・・・」


男は無言で倒れる。


「い、井野宮さん・・・?」

「お、おう。久しぶりだなリーダー代理。というかさすがにさんづけはやめようか・・・」

「みんな!井野宮さんが来てくれた!」

「きいちゃいねぇ・・・・・」

「え!?井野宮さんが!」


俺は今現在こういう扱いなのだった。


「それで聞きたいことがあるんだけど・・・・」

「なんですか?」

「なんでシルバーウルフがこんなところに?」

「あたしたちにも分かりません」

「え?」

「じゃあ、なんだってこいつは・・・・・」


どういうことだ・・・こいつは何か許せないことがあって動いたんじゃないのか?じゃあ、理由もなしにナイフできりつけた・・・・?


「マミとアケミを病院へ連れて行きな」

「はい!」

「俺は『シルバーウルフ』に聞いてくる」

「分かりました。ありがとうございます」









「リーダー代理はいる?」

「井野宮さん!」


ここは『シルバーウルフ』の主要陣地。ここも路地裏のさらに奥といった感じだった。


「代理、シルバーウルフの1人が暗き蝙蝠を襲った。これはお前の命令か?」

「!?そんなことが・・・・タツヤがいないと思ったら・・・。俺の命令じゃないっす」


シルバーウルフの代理は暗き蝙蝠と違って男だ。その分感情で動きがちなんだよなぁ…。


「じゃあ、単独行動か・・・・。なんかそいつは暗き蝙蝠に恨みでも?」

「いえ、最近は仲が良く恨みも何もありませんでした」


謎が深まるばかりだ・・・・。


「まったくあいつ突然誰かに操られているようにフラフラっといなくなりやがって・・・そのうえ、井野宮さんにも迷惑を・・・・」

「いや、俺はいいんだ」


・・・・・・・・・・・・・誰かに操られている?じゃあ、そいつの意思じゃなくて別にまた黒幕がいるということか・・・?


「分かった。ありがとう」


そういいつつ、俺は携帯で電話をかける。連絡取れるように『暗き蝙蝠』の代理と電話番号を交換しといたんだ。


「もしもし、やっぱり代理の命令じゃなかった」

『そうですか・・・じゃあ単独行動だったんですか?』

「その可能性もあるけど、誰かに操られている可能性も」

『それはそいつが黒幕に弱みを握られてるとかそういうやつですか?』

「あぁ・・・」


確かにその可能性もあった。でも俺は知っている。そういったことなしで人を操れる方法を。それは『非日常』であり、『異能』である。


「でも・・そんな能力使う奴に俺は心当たりがない・・・・」


やはり単独行動なのだろうか・・・。おそったやつ・・・確かタツヤだっけ?そいつに聞くのが早いよな。


「じゃあな」

『はい』


俺は携帯をきり、家へと向けて歩む。


「じゃあな、代理。またくる」

「はい・・・・その・・・・・・・」

「?」

「リーダーは見つかりましたか?」

「いや・・・まだだ。ごめん・・・・」

「いえ!いいんです!では・・・・」


シルバーウルフも暗き蝙蝠も・・・・・どちらもリーダーのことが大好きなんだ。ほんとに心から。なのに・・・・この肝心な時に。


「何やってんだよ・・・・」


顔も知らないリーダーにそう呟く。









「はぁーあ、失敗かぁー。私の愛を受けといて失敗するなんて無礼ねぇー」

「しししっ、でも愛を受けたからこそ失敗したんじゃないの?」

「怒るわよ」

「・・・・ぐす・・・・・ごめんなさい・・・ひっく・・・」

「まったく相変わらず扱いづらい子ねぇー」


天使ラーエイはもう一人の天使、アルミトルスと一緒にいた。場所は病院。それはシルバーウルフのタツヤが殴られた後、一回、目をさまし、そしてまた倒れ運ばれた病院。


「失敗した子はいらないわぁー」

「いやったぁああああああああああ!!!殺すの!?ねぇねぇ殺すの!?」

「うるさい子ねぇー」

「うぅ・・・・ぐすっ・・・ごめんなさい」

「まったく。じゃあ行くわよ。偽物の愛なんていらないのよ・・・・」








俺はタツヤから情報を聞き出すことができなかった。一生できないんだ・・・。



タツヤは死んだ・・・・・・・。



どういうことか分からないが・・・・腹の部分をでかい刃物で貫かれたらしい。


俺にはどうすることもできなかった・・・・。






タイトルは狼です。


さて5章。長くなりそうな予感がするのは気のせいでしょうか?

気のせいですね。


読んでくれた方々本当にありがとうございました。

なんか最後のあいさつっぽいですがまだ続きます。


でわ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ