第30話 COURSE
「ちっ!ちっ!」
「舌打ちはやめなさいと言ってるでしょう、アンジェ」
「うっせ!」
「そんなにモーラ・ルーレトを逃がしたことが悔しいんですか?」
「それもあるけどよ!あいつを殺し損ねた!」
「井野宮・・・天十・・・・ですか」
ここは天界。宮殿のような場所にアンジェとモカはいた。
「そうだよ!あの野郎!次会ったら殺してやる!」
「野蛮な言葉を使うのはやめなさい」
モカは考えていた。次に会うときはいつになるのかと。そしてそれは遠いことではないことも分かっていた。神は動き出す。世界を作りなおすために。
「あら~ん、アンジェちゃん。ご機嫌ななめね~」
「げっ!ラーエイ!お前いつからそこに!?」
ラーエイと呼ばれた女性。何を食べたらそんない大きくなるのかという胸。理想のお姉さんという感じの天使だった。そして何よりエロい。アンジェのことは妹のように可愛がっている。
「いつだっていいじゃない~。それよりもどうしたの~?」
「別に」
「獲物をしとめそこなったのです」
「おい!言うなよ!」
「あら~ん、かわいそうに。それでその傷は?」
「そいつとの戦闘でおった傷だよ!ったく」
「お姉さんがなおしてあげようか?」
「うるせぇ、構うな。お前はお前の仕事があるんだろ。こんなところで時間をくうな」
「冷たいわね~」
ラーエイはシスコンというかアンジェに過保護だった。そのためアンジェのためなら大切な事後とだって放棄するようなやつなのだ。それが嫌でアンジェは冷たくしている。
「まぁ、確かにそうなのよね~。私、大事な仕事があるのよ~」
「だろう。ちなみにどんな仕事だ?井野宮天十を殺す仕事だったらたとえお前からでもその仕事を奪うぞ」
「こわ~い。でも安心して。私が任されているのはその井野宮天十とかいうやつの友達よ」
アンジェはわからなかった。なぜ井野宮天十の友達に関する仕事があるのか。
「なんで友達なんだ?あいつらは普通の人間だぞ。人間に干渉するのは禁止されているはずじゃ・・・」
「今回は監視だけよ。それといざとなったらその干渉も許されるのよ」
「特別なケースの場合ですね」
モカが口をはさむ。モカは真面目で一字一句天使の世界干渉法律という法律の内容を暗記している。天使なら全部とはいかないまでも大事なものはおぼえていなきゃいけないのだがアンジェはまったくおぼえていなかったらしい。
「ふぅん。まぁ、井野宮天十には手を出すなよ。あれは私が殺すから」
「はいはい、分かってますって、じゃあ、もう地球に行ってくるわね。じゃあね~」
〇
「はー・・・・。初日から怒られるとかもうやる気なくすよ・・・・」
ここは地球の日本。場所は学校。
「予習忘れるなんてバカじゃない」
「うるせぇな。海とかいう場合じゃなかったな・・・・」
今日から始まった講習の予習を忘れて先生に怒られた授業が終わり、次の授業までの休み時間。自由席だったのでまわりには真苗、志野野辺、木野白、モラルがいる。
「災難だったな、井野宮。まぁ、俺は予習やってたけどさ」
「そうだよ!落ち込まないでねー、私も予習やってたけど」
「気にするなよ。海が楽しかったのは私も同じだからな。予習をやってきたところは違うけど」
「あんなの30分で終わらせられるでしょ。まさか30分も自由な時間がなかったの?」
「うるせぇえええええええええええええええええ!!!!!!!」
俺のまわりには慰める奴がいないのか!慰めたと思ったらどん底に突き落とすやつもいるし、最初から罵倒してるやつもいるし!俺が悪いんだけどねっ!でもなんかイライラするよ!
「よーし、授業始めるぞ。ん?どうした井野宮?」
教室に入ってきた先生にむかって何を言おうとしてるんだろう。そう、予習を忘れたからだった。
「すいません・・・・予習忘れました・・・・」
「今日が初日だぞ!?初日から忘れたのかお前は!」
もう嫌だ・・・・・・・・・・・・・・。
〇
地獄の講習も全て終わり、生徒たちも今日の予定を話しあっている。
「井野宮ー、今日遊ぼうぜ」
「は?どこでだよ。それと俺、きょうこそ予習やらなきゃいけないんだ」
俺は罰として宿題のプリントを出されていた。予習もあり、復習もある。あそんでいる時間なんてまったくない。
「じゃあ、俺のうちっていうのはどうだ?」
「志野野辺の家?確かに最近行ってないな」
「ちょっとまって!!!」
「?どうした真苗?」
「その私も今日・・・・井野宮君と遊びたい・・・・」
「そうか、なら志野野辺の家行くからお前もどうだ?志野野辺もいいよな・・・」
「いや、そういうことなら俺は遠慮しよう」
「は?お前から誘ったんだろうが!」
「いや、用事を思い出してな・・・・」
「また!?お前いっつもそれだな!」
といいつつ、今日は志野野辺、別に何かを忘れてたわけじゃなさそうなんだけどな。何かに気をつかったような感じがしたんだが気のせいか?すると志野野辺は真苗の方へより・・・
「頑張れよ」
と言って去っていった。なんだあのいい脇役みたいなセリフ。なんかイラッとしたわ。
「ま、そういうわけだ。どこに行く?」
「え・・・えっと・・・・その・・・私の家はどうかな?」
「真苗の家?」
それっていわゆる女の子の家ということか・・・?・・・・・・・・・・・・やべぇ。すっごい緊張してきた・・・。え?え?何?女の子の家?
「駄目・・・・かな?」
「いえいえ!めっそうもございません!!!!いかせていただきます!」
「よかったぁ・・・、じゃあ勉強道具もって集合ね」
「は、はい!じゃなくて・・・・お、おう!」
「場所分かる?あぁ、まぁ一応」
「じゃあ、待ってるね」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やべぇやべぇ!あいつもう高校生だよな!そんな女の子の家に行くとか・・・・・おおおおおおおお落ちつけ!別に勉強しにいくわけだし、中学からの友達だし、何を緊張する必要がある・・・・。
「は、っはは。そうだよな。そうそう・・・・勉強会!そうだ!勉強会だ!」
「何笑ってんの?気持ち悪い」
「うぉおあ!!」
俺の後ろにモラルがいた。死ぬかと思った・・・・。
「何驚いてんのよ。今日私友達と遊んでくるから」
「お、おぉ。そうか。俺も勉強会だったし・・・・」
「勉強会!?誰と!?」
「え?真苗とだけど・・・・」
「どこで!?」
「真苗の家・・・・・」
「ちっ!・・・・まさか真苗がそんな積極的だとは・・・・」
「ん?なんか言ったか?」
「何でもないわ!せいぜい楽しんでなさい!」
「え!?モラル!?何その悪役がいうようなセリフ!なんかごめんなさい!!」
俺は何を謝ってるんだろうな・・・・。
〇
「あら~ん。ここが地球ね」
ラーエイは地球にいた。もちろん監視のために。
「じゃあ、監視を開始しましょうか。あ、あともう一つあったわね」
ラーエイは適当に人を見つけると・・・・・・
「愛というものは・・・・時に残酷なのよ~」
人にむかって投げキッス。比喩ではなく本当にハートが飛んでいく。そしてそれが人に当たる。
「あぁ!?なんだ今の?なんか当たったような気がするんだがな。まぁいいか」
「ふふふ。iよ、芽吹きなさい」
天使ラーエイは笑う。
タイトルは講習。
さて土日と更新できませんでしたが、今日はできました!
結局5章でした・・・。
でわ