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元主人公、今は脇役願望。  作者: 花澤文化
第4章『天使襲来』
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第28話 CORNEREDSHEEP

俺はまだ弱かった。強いと思っていた?いや、違う。強さなんて考えてもいなかった。相手が強かろうが弱かろうが、俺の日常を壊す奴は片っ端から殴っていった。その強さを今回考えることになった。考えざるをえなかった。


「天十ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


モラルが駆け寄ってくる。俺は不思議と意識を保っていた。自分でも驚きだ。剣で斬られたが深いダメージにはなってないらしい。体力の消耗が合わさって起きることができないし、しゃべることもできないが・・・・。


「あっけないな。今まで散々苦労したが・・・・・剣で斬っただけでダウンとは・・・・。本当にあっけない。まだ死んでないみたいだが後は簡単な作業だけだ」

「天十は殺させない!」

「お前に何ができる。次元移動テレポートなんて使えないだろう。天使化なんてできないだろうし。次元移動は使えて1回だろう。しかも飛ばせるのは1人のみ」

「くっ・・・・」


モラル・・・・何をしている?はやく逃げろ。こいつらはお前を狙ってるんだぞ。急いで逃げろ。


「そいつを飛ばしたらお前は逃げれなくなる。お前が飛んだらそいつは逃げれなくなる。どうするんだ?」

「それなら私はこいつを飛ばす!」




「待て!」



「!!」


「モラル、お前が逃げろ」

「天十!」


俺は最後の力といっていい力で立った。いや、足で体を支えてるだけだが。


「なぁんだぁ!まだ立てたのかぁ!!」

「お前の斬撃なんてきかねぇなぁ!」


くそっ!前が見えねぇ。極度の疲れで立っているのがやっとだ。ちくしょう!立ったところでなんにもできやしねぇ・・・。


「生意気いってんじゃねぇぞ・・・ガキが」

「お前の方がガキに見えるけどな」

「なめてんじゃねぇぞ」

「お前の方がなめてるように思うけどな」


アンジェは高速で移動した。こんどは後ろにまわることもしないで前から蹴ろうとしてきた。


「くぅっ!」


バキッ!


腹を思いっきり蹴られる。


「ごほぁ・・・・・・」


すごい勢いでふきとばされる。俺は口から血を吐きながら止まる。


「がはっ・・・・・ごほごほがぁ・・・・」

「なんだぁ、簡単にやられやがって。つまらねぇ」


意識が朦朧とする。何が起きたのか一瞬理解できなくなった。


「おま・・え・・・・の能力は・・・・作り出す能力・・・だろ?」

「ほぅ、いい目をしてるじゃねぇか」


こいつの能力を考えてもいた。こいつは氷、火山、炎、さらに腕を剣にかえたりもした。それでの共通点なんてひとつしかないじゃないか。


「どれもお前が作り出したもの・・・・だろ・・・?」

「確かにその通りだな。俺は創造そうぞうの天使」


やはりな・・・・俺の予測は当たっていたわけだ。


「だがそれがどうした?それが分かるとお前は俺に勝てるのか?」

「くっ・・・・・勝てはしないだろうな・・・・。だが・・・・」


俺は剣を生み出す。最後の言霊を使うために・・・・・・・・・。


「戯言・・・・・『斬破・御子柴飾おこしかざり』!」


御子柴飾は風を起こして攻撃する技。それでここは浜辺。砂をふきとばし、相手から目を奪う。


「とりあえず時間をかせげる。急いで逃げろ、モラル」

「何言ってんの!天十をおいていけないよ!」

「俺はいい!狙われてるのはお前なんだぞ!」

「でも・・・・」


「おいおいぃ!何いってんだぁ、てめぇら!誰もにがさねぇぜ!」


「!?もう気づいて!はやくしろ、モラル!」


せっかくかせいだ時間も無駄になっちまった。


「いや!」

「もうこれ以上時間はやらねぇぞぉ!」

「ちぃ!」


モラルに衝撃波を放ってきた。俺はモラルにむかって飛び込みなんとか当たることはなかった。


「天十・・・今の私にはね、あなたが必要なの」

「は?何言ってやがる。それどころじゃねぇだろうが」

「いえ、必要よ。私はあんたを守らなきゃいけないの。あなたのいない世界なんかに意味はないんだから」

「それってどういう意味だ?」


「ごちゃごちゃうるせぇな!まとめて死ね!!!!!」


我慢の限界だったのだろうか。無数の氷の杭を生み出した。それは全部俺らに矛先をむけていた。


「死ね」


「もう言霊は使えねぇぞ!はやく逃げろ!」

「私は逃げない。私は」


ドガガガガガガガガガガガガガッガアッガガア!


杭が地面に突き刺さる。しかしそれらは俺らに当たらなかった。なぜかは知らないが幸運だと思っておこう。しかしちょっと驚いたので今は動けないでいる。


「死んだか?ははははははっは!ようやく死んだか!」


アンジェが勘違いして高笑いしてる。まだ死んでねぇよ。


「ん?悔しかったか?大事なものを守れないで。モーラ・ルーレトは死んでないみたいだからここで引き渡してもらおう」


な!?はやく動け体!動け動け動け動け動け動け!!!!!!!!!


「動け!」

「は?」


俺は立ち上がった。アンジェはそれを見て唖然としてる。そりゃあ死んでると思ってたから驚くよな。だが俺はまだこいつを驚かす気でいた。


「くらえ!」

「うわ!」


俺は砂をつかんで投げていた。ここは海辺。砂なら大量にある。


「そして五感のうちの一つである視覚を失ったお前は能力を使えない」

「ちっくしょぉおおおおおお!罠にはめやがったなぁあああああああ!」


はまったのはお前だろ。こいつは最初に五感を一つでも使ったら能力は使えないと言っていた。それを利用したのだ。目に砂が入ればしばらく使えないだろう。


「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


俺は拳をつくる。そしてそれで俺はアンジェを殴ろうと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「あれ?」


殴ろうとしたところで気付いた。俺の腕の肘から先がない。とられたわけでもなく、斬られたわけでもない。そもそも存在がないのだ。


「なんだ・・・・・・これは・・・・・・・・・」


「手を出させてもらいました」


「あんたは・・・・・・・・・・・・・」


アンジェともう一人いた天使。名前はたしかモカ。


「その肘は時間がたてば戻ります。しかしその時間すら与えられないかもしれません」

「どういうことだ・・・・・・」

「私が殺してしまうかもしれませんから」


ドッドッドッ


心拍数が上がる。こいつは相手にしちゃだめだと体が語る。どうする。こいつは一目見てわかるほど強い。アンジェよりはるかに・・・・。


「モカぁああああああああああ!!手をだすんじゃねぇ!こいつは俺の相手だ!」

「でも、あなた今負けそうになってたでしょう」

「負けねぇ!負けねぇよ!」

「でももう手をだしてしまいました」

「ちっ!」


くそ・・・・もうアンジェの視覚も回復してやがる・・・・・。


「モラル、逃げろ。もうお前を守れそうにない」

「嫌だ。私は・・・・・・・・・・あなたを逃がす。次元移動テレポート








「あ?」


気づいたらあの海にいた。


「おーい!井野宮、はやくこいよー」


志野野辺が俺に手を振っている。間違いない、元の世界に戻ってる。


「志野野辺、モラル知らないか?」

「何言ってんだよ。モーラはもう帰っただろ」


帰った?


「具合悪くして帰っただろうが。大丈夫か?」

「あ、あぁ・・・・」


なんだあいつも帰ってたのか。次元移動2人にできるんじゃねぇか。


「俺は少し休ませてもらうよ」

「あぁ、そうか?じゃあ、あっそんでやるー!!!!」


元気ありすぎだろ。


「本当にこれでいいんだろうか・・・・・・・・・・」








「あいつに次元移動を使うとはな。いい度胸だ」

「そう?ありがとう」


モラルはまだ逃げていなかった。記憶操作で人間たちの記憶を書き変えた。明日には私の存在など忘れているだろう。


「じゃあ、大人しくついてくるんだな?」

「嫌だ」

「は?」

「私はついていかない。ついていかないならここで死ぬ」

「はぁ、まったく我がままお嬢様だな・・・・」


やっぱりこいつらに私は殺せない。なら存分に利用させてもらう。


「なら・・・・・」

「なら?」


「手と足をもいで、苦痛を与え、逆らえないようにするしかねぇな」


「!!」


そ・・・・・・んな・・・・・・・・・・。


「覚悟しろ。殺しはしない。だが死ぬより怖い苦痛をみることになる」

「いや、いやぁあああ!」


てんと・・・・・・天十!助けてよ・・・・・・・・・・・・・・・・・私が逃がしたのにそう思ってしまう・・・・・。


「手と足に別れは言ったか?モカ、やっていいよな」

「構いませんよ。生きて連れてくるように言われただけですから」

「残念だなぁ・・・・・あいつを逃がすからだよ。俺が殺す予定だったのに・・・・・・」

「天十は殺させない!」

「強がりはよせ、じゃあたっぷりと叫び声を聞かせてくれ」

「くっ・・・・・・・・・」


天十・・・・・・・・・・・・助けてっ!










「まったくスマートじゃないなぁ・・・・」










「誰だ!?」


「あんたは・・・・!?」


その少年は金髪で不気味な雰囲気を持った・・・・・・・・・・・・・・。

タイトルは追いつめられた羊。


こんにちわ、花澤です。

夜はやっぱり寒いですね・・・・。

風邪ひいちゃいそうです・・・・・。


でわ。

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