第26話 REPLICA
この前も話した通り俺は非日常にあこがれていた。そんな時期があったのだ。そこにうまいぐあいに非日常が転がってきたもんだからテンションMAX。そのヒロインに
「どんな能力が欲しい?」
と聞かれた時。アニメやら漫画の世界が大好きだった俺は
「確実に敵を倒せて、最強のやつがいい!!」
と答えた。彼女は
「最強?最強ってどのぐらい?」
そりゃあ分からないだろうな。最強とは何がどうあればいいのか。分からない。
「とにかく一番強いやつ!」
「でも・・・あれは・・・・」
「いいから!はやく!」
俺は強さを、非日常を求めた。その結果がどうであれ俺は最強になった。
そして
悪魔になった。
〇
「いい顔だなぁ!いいよ!絶望!そして思い出したくないようなものを無理に引き出された感情!それは怒り?憎しみ?恨み?違うだろぉ!自分への絶望だろぉうが!!!!!!」
「アンジェ、女の子なのですからもっとスマートに決着をつけなさい」
「嫌だね!俺はこういうのが楽しいんだ!」
悪魔。その言葉が俺の頭に響く。何度も何度も。そのせいで天使が何を言ってるのかもわからない。
「天十!しっかりして!」
モラルの声が聞こえる。俺は何をしていたんだろうか。あぁ、そうだ天使を倒さなきゃ。悪魔の敵である天使を倒さなければ。
「正確には悪魔じゃあねぇよなぁ。地獄の使い。悪魔は地獄の使いと呼ばれている。地獄なんかに使われるようじゃ俺らに勝てねぇ。天を使う俺ら天使にはな」
「それも間違っている」
「!!」
「天十!!」
「俺は悪魔じゃない。できそこないの地獄の番人だ。」
俺は能力はもらったが正式な悪魔じゃない。悪魔は生まれたときから悪魔だからな。そこだけは否定しなければならない。それは俺の中でのルールだった。
「できそこないだろうが悪魔にかわりはねぇ!今すぐ殺す!」
やつの両腕が龍に変わる。その首がのびて俺のもとへと急ぐ。
「死ね!レプリカ!」
「知ってるか?言霊は思いが強いほど威力も上がるんだ」
俺は誰に語るわけでもなく話す
「打だと殴るという思いが強いほど威力が上がる。斬も同様。斬る思いが強いほど威力が上がる」
ただ説明文を読むように
「確かに今までも俺は強く思ってきた。殴るときには殴る!ってな」
推理小説で犯人を追いつめる探偵のように淡々と
「でもそれでも足りない」
答えが分かっている問題を解くように
「実際に行動に移してないんだよ、俺は。斬るなら本当に剣で斬らないといけないんだ」
俺は錬金術で剣を生み出す。
「なっ!?お前、成言飛ばしができるのか!?」
「できますよ。アンジェ、あなたちゃんと観察してなかったでしょう」
「うるせぇ!モカ!だがそのちっこい剣じゃ俺の龍は斬れないぜ」
俺は龍の攻撃を『飛』でかわし、横にまわる。そして剣で龍を斬りつけるのと同時に
「『斬』」
言霊を発動した。
「なんで・・・だよ・・・」
龍は真っ二つに斬られていた。誰でもない俺の剣で。
「どうして・・・・そんな簡単に・・・・」
思いの強さが威力に繋がる。斬ろうという思いは今までも強かった。でも実際に剣で斬るときの斬ろうという思いは最大限になる。斬ろうと思うんじゃなく、剣で斬ろうとする。その差は違いすぎる。
「言霊の応用、『戯言』ですか・・・・」
「モカァ!きいてねぇぞ!こんなの!」
「私も驚いています。まさか彼がここまで進化しているとは」
「どうした?天使」
俺は仕返しとばかりに冷たく言い放つ。というか実際さっきからアンジェとかいうやつのテンションに腹が立っていた。ふざけんなあの野郎。
「そんなもんか?拍子抜けだぜ。天の使い手さんよぉ」
「天十!なんかしらないけどかっこいいよ!」
ありがとう、モラルよ。後はあいつの顔面を一発殴らないとな。人のトラウマを引き出しやがって。
「ふっ・・・ふふふふふふふふ」
「?」
「一回のまぐれで・・・・・・・・・・」
あれ?もしかして・・・・
「調子のんじゃねぇえええええぞぉおおおおおおおおおお!!!!!!」
キレてらっしゃるーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
「生まれろ!氷の杭!!!」
アンジェのまわりに氷でできた杭が現れる。いくつもだ。やべぇな・・・。剣で実際斬るのは威力が強いけど複数のやつには追いつけないな。俺に限界がある。
「くっそ!全部にまとめて『斬』!!」
氷の杭全てに斬をあてる。いっきに氷が砕けて消えていく。
「言霊の応用、『多言』ですか・・・・」
複数の相手に一気に言霊を発動させる。容量オーバーになるから威力は少ないが。
「まだだまだだぁ!!!!!」
今度は目の前に火山が現れた。
「げっ!そんなのありかよ!」
火山はその瞬間、爆発した。溶岩やマグマがすごい量おしよせてくる。
「モラル!こっちにこい!」
「うん!!」
「『守』!」
俺の目の前に巨大な盾が現れる。分厚くいままでにないぐらい頼りがいのある盾だった。
「また『戯言』ですか。守りたいと思う強さが最大になった・・・。モーラ・ルーレトを守りたいという思いが」
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
じゅわぁ
という音がしたり、
ゴンガンゴン
という溶岩がぶつかる音がしたりと忙しかったがなんとかふせぎきった。
「ありがとう、天十」
「お礼なんかいらねぇぜ」
「くっそぉおおおおおおおおおおおおおお!!!ふざけやがってぇえええええ!!!」
「天使、お前に足りないものを教えてやる」
「お前に足りないもの・・・それは・・・・・ありすぎていえねぇぜ!」
「バカにしやがったなぁあああああああああ!!」
ふぅ、すっきり。でもあいつのキレかたが半端じゃない。やりすぎた?
「モカ!もう我慢できねぇ!やるぞ!」
「いいですよ。もうめんどくさいですし」
何をやるんだ?ハッタリか?いや、まだそんな感じには見えないなら一体何が・・・・
「おいお前」
「?なんだ?」
「俺やモカ、モーレ・ルーレト。その3人に何か足りないものはないか?」
「足りないもの?」
なんだ・・・・何を言っている・・・?
「いや、簡単にすると俺ら、天使に足りないものだ」
「羽とか光の輪とかか?」
そんなメルヘンチックなことじゃないんだろうな・・・。じゃあ何が足りないんだ!
「そう正解!羽と光の輪だ!」
シリアスをかえせ。
「俺はまだ完全な天使じゃない。そのためには天使化が必要だ。」
「エンジェリング?」
「見せてやるよ。今からな」
俺はモラルを見る。なんにもわかってないみたいだ。どういうことだ?モラルにも羽が生えてない。話が本当なら天使化を使えるはずなのに・・・。何も分かってない顔をしている。
「天使化」
その場が光で包まれる。
タイトルはレプリカです。
全然更新できずにすみません。
最近はやらなきゃいけないことが多くありなかなか更新できませんでした。
これからは頑張ってペースを戻したいと思います。
でわ