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元主人公、今は脇役願望。  作者: 花澤文化
第3章『信じたかったもの』
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第16話 DECISION

あー、マジでめんどくさいな。ときどき何をするのもめんどくさい時があるだろう。それだよ。なんか今日はやる気がおきない。何かやることがあるわけじゃないけど学校が辛いものになる。


「ようやく1時間目が終わったところか・・・・」


何度も何度も時計を見てしまう。あぁー、もう帰りてぇな。


「どうした?井野宮。元気がないぞ」

「それの半分はお前のせいな」

「俺!?」


退屈をまぎらわすために志野野辺をからかう。だめだ。つまんね。今日は何やっても駄目な日だな。某目ざまし付き時計テレビの占いでは12位に違いない。


「あれー?井野宮君。どうしたのー?」

「別に。なんでもないよ」


真苗は心配してくれた。その気遣いはすごく嬉しいんだけど、今はちょっとな。だれに何を言われようが今日はどうも気分がすぐれない。


「なんなんだろうな・・・・この感じは」

「あれじゃないか、思春期特有の・・・・・・・」

「それは言わせんぞ。何かわからないが嫌な予感がする」


志野野辺の考えはなぜか読める。というかこいつが単純すぎるだけなんだが。


「ふむ、なら別荘にくるか?」

「なぜ、そこにいきつく。そしてお前別荘なんてあんのかよ!」


委員長が唐突に言ってきた言葉に動揺をかくせない。


「いや、どこか環境の違う場所に行けばいいのかと思ってな」

「誘ってくれるのは嬉しいが、今はまだ夏休みでもなんでもねぇよ。普通に学校がある」


その学校が憂鬱の原因の一つなんだけどな。


「なんか面白いことがおきないかなぁ・・・・・・」


俺は自然とその言葉を言っていた。俺らしくない。面白いことなんておきなくてもいいって思ってきたのに、その考えがいとも簡単に砕けた。ちょっと暇なだけでだ。


「バカいえ、俺はこの日常が一番好きなんだ」


誰に言うでもなく、ただ独り言のように俺は呟いた。





気温は低め。しかし空は快晴。この天気は一度見たことがある。いや、そりゃあ一生に何度かはあると思うが、もっと最近。しかも印象深い。この場所もまた印象深いものだった。


「モラルと初めて出会ったところ・・・・・・か」


俺は出会ってよかったのだろうか。俺は自分でもわかるぐらい変わった。モラルと出会ってな。真苗とかにも明るくなったと言われたほどだ。それは果たしていいことだったのだろうか。


「俺はあれで・・・・・助けるという選択肢でよかった・・・・・・のか?」


もう分からない。死霊使いを倒し、モラルが学校に来たあたりからこの違和感を感じていた。


「よかったんじゃないかな?」

「ん?」


急に俺に話しかけてきたのは黒髪でブラウンのコートをきた、疲れた刑事のような男。


「どんなことに悩んでたのかは知らないが、少年がいいと思ったことをやったんだろう」

「あぁ・・・・まぁ」


俺は初対面なのに返事をしてしまった。俺って意外と人見知りなんだぜ。


「ならそれは正解とはいえないのかい?」

「いや、俺はそれが・・・自分の選んだことが正解かが分からなくなったんです」

「ふむ。俺は正解だと思うね」

「なぜ?」

「なんとなくだ。俺はあんまり考えないようにしてるんだよ」


そんなバカな理由があるかと思ったが、このおっさんの言うことになぜか反論しようとは思わなかった。不思議な感じがする。


「それと俺に敬語はやめてくれ。苦手なんだ」

「あぁ、わかったよ。おっさん」

「おっさんというのはやめていいんだよ?」


顔がこえぇよ。そんな気にすることか?いや、おっさんにはおっさんの考えることがあるんだろう。


「初対面なのになぜか親近感がわくというか、おっさんはすごいな」

「そんなことはない。俺はなにもしていないぞ。少年が勝手に俺の言っていることを聞いただけだ」


なぜかすごく親しみやすいおっさんだった。


「分かった。俺も何も考えないようにするよ」

「いや、それはいけない。少年はまだまだ考えないといけない歳だ」

「そういうと思ったぜ。俺はもう大丈夫。心は晴れた」

「そうか。それはよかった。じゃあ、俺はここで」

「待ってくれ!おっさんは何やってるんだ?まさかフリーター?」

「違うわ!うーん・・・・物をつくる仕事かな?」

「今度職場教えてくれよ!会いに行くぜ」

「やめてくれ。気持ち悪い。男にきてもらっても嬉しくねぇよ。じゃあな」


ほんとなんだったんだろうな。でもおっさんとの出会いで分かった。俺はきっとモヤモヤしたかっただけなんだ。非日常にかかわる言い訳みたいなものだな。俺はモラルを守ろうと思ったんだ。


「俺は言い訳なんてしない。主人公にはならないが、非日常には関わってやる」





いきなりですがタイトルの意味は決意です。


たまにありますよね、やる気がない日。


でわ

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