明日香の想い
俺=仁
私=ドラちゃん
二人の視点ですが、アクションが長く続いたので気分転換で恋愛シーンを書かせて頂きます。今回の話は主に小悪魔ガール磯部明日香(あだ名ドラちゃん)が仁への想いを語ります。
俺が倉橋会社に一時転勤してから一週間が経った。俺は電化製品の分解を黙々とし続けていた。「おはようございますお嬢様。」麗華ちゃんが会社に出向く。麗華ちゃんが俺に気づくなり「あなたは?」俺を忘れた?ではなく会社の目を気にしてだ。「はい。一週間前に研修生として転勤致しました。大柳と申します。」俺も麗華ちゃんに話を合わせると「仁さん。明日香ちゃんが帰ったら話がしたいって言ってました。」麗華ちゃんが小声で言い去っていく。「うそだろ~。新人くんがお嬢様にお声かけられるなんて。」誰?ウザイぞ~。
俺が帰宅すると既にみんなテーブルに囲っていた。「話って何だよ?ドラちゃん。」俺は不機嫌そうに言うと「明日私達で遊園地はどう?仁も休みでしょ?」そりゃ休みだけど…。「葵も行きたがってるのよ。」義姉さんが頭を下げる。何か俺悪人みたいだ…。「でも麗華ちゃんを置いてくわけには…。」「駄目ですか?私が行きたいって言ったんですけど…。」麗華ちゃん目がうるうるしてる。ドラちゃんが睨んでくるし…。ああ神よ…俺はどこまで夜逃げ屋の罪を償わなければ?「わかったよ。俺も行こう。言っとくが俺は麗華ちゃんのボディガードで行くだけな。」これは本心だった。ストーカーは麗華ちゃんが一人と知って狙ってる。男がいると思わせとく作戦だ。「わ~い。仁おじちゃん大好き。」葵が俺に抱きつく。こうして明日は家族で遊園地に行くことになった。ってか男は俺だけ…ハーレム状態だ…。君に譲ってあげちゃうぞ。
次の日。俺は休みにも関わらず誰よりも早起きして朝食を作り、持って行く荷物を車にまとめる。装甲は隠しておいてと。「おはよう。ごめんなさいね仁君。いろいろ準備してもらって。」「いいえ。とんでもないですよ。義姉さんも働いてるんだからもう少し寝てればいいのに。」俺は本心で言うと「そういうこと言ってくれるの仁君だけよ。」義姉さんの笑顔に一瞬ドキッとした。それから麗華ちゃんが起きた。「おはようございます。仁さんもお姉さんも早いんですね。なんかすみません。」可愛くて礼儀正しい。これでは男性社員のロリも出るわけだな…。続けて葵が、「おはよう。早くゆ~えんち行きたい。」まあ5歳だしな。最後にドラちゃん。「おっはよ~。早くご飯食べて行こ~。」ったく。誰が早起きしてすぐ行けるようにしてやったと思ってんだよ。そして出発。みんな車で大騒ぎ。「仁さんって運転できるんですね。私と同い年とは思えません。」麗華ちゃんは騒がしくないな…。「わ~い。仁おじちゃんの車好き~。」俺だったら何でも好きなんだな…。「やっぱり仁の運転最高~。スーパーダッシュして。」ドラちゃんは少し黙ってくださいよ。それにスーパーダッシュじゃない。マリオカートでもディディーレーシングでもないぞ。「あまり騒いじゃ駄目よ明日香。」「はーい。」ありがとう義姉さん。俺がゆっくり運転してるうちに遊園地に着きましたー。葵と一緒にドラちゃんがくるくる回ってますし…。「ママー。あれ乗りたい。」葵は義姉さんを引っ張って消え去った。残されたのは俺とドラちゃんと麗華ちゃん。「俺らも行くか…。」沈黙の中俺はリーダーになる。「私葵ちゃんと行きます。」麗華ちゃんは駆け出してしまった。俺はドラちゃんと二人きりになってしまった。
麗華ちゃんが行ってから私は仁と二人きりになってしまった。ある意味いいかも…だって仁と二人。仁とデートできるんだから。今日この日のために新しく買った服を着て来たんだから。「仕方ない…。ドラちゃんあれ乗るか?」仁が指差した先は…ジェットコースター!?私は子供の頃から遊園地は好きだけど絶叫とか本当有り得ない…。「もしかして苦手?」そんなに優しくしないで仁…。好きになるじゃないのよ。仁が…。「苦手じゃないもん!」仁に嫌われたくないから強がってしまう。私は仁を引っ張ってジェットコースターに乗る。「本当に大丈夫か?やめるなら今のうちだぞ。」「仁は黙って。」こうなったら一か罰かだ。安全バーが降りてコースターは頂点まで来た…。急降下!?「いやぁぁぁ。助けて~。仁~。姉さん~。おかあさ~ん。」私は叫びに叫んだ…。終わった後はフラフラで…。「全く…駄目なら駄目って言えよな…。それにお前21でおかあさ~んはないだろ。」私を嫌いにならないでよ。見捨てないでよ。仁。ベンチ辺りまで来ると 「ここらで休もう。俺は何か飲み物買ってくるからお前は絶対ここ動くなよ。」そう言って仁は行ってしまった…。 置いていかないでよ…仁。何でか胸が苦しくなる…。私…昔から仁の事好きだから…。
俺はドラちゃんをベンチに休ませ飲み物を買いに行く。ドラちゃんの好きなプリンシェイクが売ってたからマスカットジュースとプリンシェイクを買った。俺の目には博人と遥ちゃんが…。うそ~ん。俺は少し尾行する。「実はな仁を調べてもらいたい。」博人の声が…。俺を調べるだと!?気になったが俺はドラちゃんのいるところに戻っていった。
遅い…。もしかして仁は私の事が嫌いになったから置いて行った?そんな不安がよぎってしまい私は怖くなってしまった…。「おっ。そこの可愛い子一人?」「俺らと遊ぼーぜぇい。」どうみてもチャラ男が三人。「いやっ!放して!ふざけないでよ!」チャラ男の一人が私の腕を掴んでくる。私は今体調が…。「怒った顔も可愛いなぁ~。興奮してくる~。」余計に怖くなってくる…。助けて仁…。その時、私の願いが届いたのか?「おいっ!そいつに何か用か!?」仁。「誰お前?」「俺はこの女のボディガードだ。全く…若い男が一人の女相手に三人かがりとはな…落ちたもんだな。お前らみたいなのはこの大柳様が成敗してくれる。」なんかカッコいい…。なんだか仁が正義のヒーローに見える。「ああん!女の前だからってかっこつけてんじゃねぇぞ!」「男はいらねーんだよ!」二人が仁に向かう。
俺がドラちゃんのところに戻るとチャラ男らしき三人にナンパされていた。6年前にもこんなことあったっけか?「いやっ!放して!ふざけないでよ!」体調崩したにも関わらずドラちゃんが抵抗しようとしてる。彼女の叫びが痛々しく涙目になっている。助けよう。男として女のドラちゃんを助けよう。決意した俺はチャラ男に「誰お前?」と聞かれた時にとっさに「ボディガード」と言った。チャラ男が襲ってきた。予想はしてたがな…。まず一人目には膝蹴りから放り投げる。二人目にはベンチにブレーンバスター。ドラちゃんの腕を掴んでいるチャラ男に歩み寄り、奴の手を叩き、倒れてる二人に向かってパワースラム。チャラ男は全滅。
チャラ男が仁に倒された。「ありがとう…。仁…。怖かったよ…。」私は涙を流してしまった。「遅れてすまない。怖かっただろ?」仁が優しく接する。だから好きなんだな…。それから仁が買ってきてくれた私の好きなプリンシェイクを飲んで、「お金出すわ。いくら?」「いいよ。女に払わせられるかよ。」その言葉が嬉しい。仁は少なくとも私を女と認識してくれているということが。「次はメリーゴーランドでも乗るか?」一瞬ゾッとした。「駄目なのか?」「駄目じゃないもん!」「強がるな。正直に言いなさい。」私は強がるのをやめて「私ゴーカート乗りたい。仁も乗ろ。」私は仁を引っ張ってゴーカートに行く。それからお昼になって姉さん達と待ち合わせ場所に行き、仁の運転する車でドライブを楽しんだ。今日はジェットコースターに乗らされ体調崩した上にチャラ男に絡まれたけど仁が守ってくれてカッコ良かったなー。いっぱいお喋りもして私は今日すごく楽しくて幸せです。