素直な想いと告白
俺=仁
私=ドラちゃん
二人の視点ですが、遂にこの二人は…。何やら長ったらしく、読みにくいと思いますが読んで頂ければ幸いです。今回は前半はアクション。後半は恋愛という展開にしました。
次の日。俺は帰り支度をしていると「本当にありがとう仁君。倉橋会社のあとの事はこっちで手を打とう。」青年こと鎮が言う。「ありがとう。そうしてもらえると助かるよ。君には世話になったな。」俺は一礼し新幹線に乗ろうとすると「仁さん。」真希ちゃん…じゃなくてシオリンがいた。「私悔しかったけどね…。」悔しかったけど何だ?「好き。大好き。私と付き合って。」今俺はシオリンに告られた。「悪いがそれはできない。ライバルとしてなら認めるが…。」「それでもいい。」こうして俺は東京駅に戻って病院へ向かった。麗華ちゃんは退院したらしい。博人も意識を取り戻したらしく博人から真っ先に電話が来て女の話を聞かされた…。今日は麗華ちゃんの退院祝いで夕飯は外食になった。それまでは倉橋会社に普通に行き、普通に仕事をした。仕事が終わり、俺達は今ジュエリーショップにいる。俺が麗華にアクセサリーを買ってやると麗華ちゃんは大喜びで。何故かドラちゃんの機嫌が悪くなっている気が…。俺が何度話し掛けても頷くくらいしかしないからだ…。大会は勝ったのに何が気に入らないのか…。そしてファミレス。ちなみに義姉さんは今日パートで来れない。麗華ちゃんの機嫌はよくなったもののドラちゃんの機嫌が悪くなり気まずい空気が流れる。「これはうめぇ。」俺がわざとらしく言っても葵がつられてるだけでますます空気が重くなるだけだった。倉橋会社の今後の動きを麗華ちゃんに説明してた時、「二人で仲良くしてなさい。お邪魔虫は退散しますから!」ドラちゃんは怒鳴り散らし走って行ってしまった。「何なんだよ!」俺がヤになる…。「仁さん。追いかけましょ!」麗華ちゃんの声で我に返った俺は葵に家の合い鍵を渡して先に家に帰して麗華ちゃんと一緒にドラちゃんを探しに行った。色々な店や通行人に「人を探している!ここに俺と同じ歳くらいのボブヘアの女を見かけなかったか?」と聞いていったが手掛かりなしだった…。デパート前まで来たら「麗華ちゃんはここで待っててくれ。」麗華ちゃんを外に待たせ広いデパートで聞き込みしたが手掛かりなし。プルルル。携帯が鳴る。『俺だ。』博人だ。『大変だ。今麗華ちゃんと思われる女が東京の公園で会社員の男達に絡まれてる。見てられんから俺はいくぞ。』カチャ。切られた…。確か東京の公園だったな…。会社員…多分倉橋会社の奴らだ。動き始めたに違いない。俺は急いで自宅前の車に乗り、赤い装甲に着替えて東京に向かった。
東京に着き俺は公園に向かうと…「何やってんだ~おら~!」「お嬢様をこっちに渡せ!」「こっちは急いでんだよ!」俺が公園に入ると会社員は俺に気づいた。博人と麗華ちゃんも俺に気づき「仁。」「仁さん。」「目立ちますよ。こんな場所でデカい声出していると。」俺がわざとらしく言っても「だから~それがどうしたってんだ~。文句でもあんのか?」「麗華ちゃん…こいつらに襲われてたのか?」俺は博人に問う。「ああ。こいつら無理やり拉致ろうとしたんだ。」「と言っているが?」俺は男達に問うと『~』の多い男は自分の左胸を指差す。「この名札~見てみろ!」名札を見るとやはり『倉橋会社』と書かれていた。俺は少し吹き出して「倉橋会社も落ちたもんだな。一人の女性を相手に大勢とはな。」と言ってやる。「余裕扱いてんじゃね~!」男達やる気満々みたい…。「麗華ちゃん。こいつら遣っちまってもいいか?」一応麗華お嬢様から許可がないと…。麗華ちゃんは無言で頷いた。はい決定。「仁。俺にも遣らせてくれ。喧嘩売られたのは俺だからな。」博人もやる気満々だ。「お前体は大丈夫なのか?」一応問う。「問題ない。今動きたくてうずうずしてたとこだ。」「なら何とかなりますかな。よーし。お前ら会社員の腐った根性叩き直してやるぜ。」俺と博人は会社員達に向かった。俺は一人の拳をよけて、もう一人を掴んで蹴り飛ばし一人目に当てた。博人も二人くらい余裕で倒している。続いて俺は落ちていたロング鉄パイプを拾い上げ鎮がやってた棒術で全滅させた。「ナニモンだ!?お前ら…。」「お前ら!何でこの娘拉致ろうとしたんだ?」博人がキレ気味に問うと「課長の趣味のためなんだ。」課長って確か…。「趣味だぁ!?適当な事抜かしてるともっと痛い目見るぞ。」博人は殴ろうとしている…。「課長は強姦でもしようとしてたのか?」俺は冷静に男に問う。「課長は嫌がる女に無理やりマッサージするのが趣味なんだ。」課長は神田だ!?「マッサージだ!?適当な事言ってんじゃねぇぞ!」博人はまだキレ気味だ…。「本当だ…。課長は最近お嬢様に目をつけたんだ…。」「どうする仁。こいつらの言うこと信じるか?」博人は俺に問う。「さあな…。いくら平社員でもこんな恥ずかしい嘘をわざわざつきたいとは思わんだろう。」「俺達も正直課長に困ってるんだ…。」こいつらを許しますか…。「お前らの事は見逃してやる。」「本当か!?」「その変わり神田の居場所教えろ。」「課長に何する気だ!?」「早くしろ!時間がないんだ。」「課長はホテルの402号室だ…。」居場所を知り公園から出る。「仁。どうしたってんだ?」倉橋会社に翔太が関与してるとなれば一部は俺の正体を知っているはずだ…。「麗華ちゃんは先に…。」「私…。神田さんの真実をこの目で見てみたいんです。」麗華ちゃんの意志に完敗。「博人。病み上がり早々で悪いが…神田は俺の命を狙っている可能性がある。いきなり修羅場になるかもしれないから覚悟してくれ。」「ああ。そっちもな…。」俺達は神田のいるホテルに向かった。
ホテルに入ると麗華ちゃんは顔を赤くしている…。俺達はエレベーターで4階に上がって行く。402に着いた。「ここですね。」麗華ちゃんが一番緊張していた。博人がドアをノックするとカチャ。「何や遅かったやないかお嬢様。っうわ何やお前ら!?」神田がパンツ一丁で出てきて驚く。俺は単刀直入に「まだことも始まってないようだし、少し時間を頂けませんか?」「誰やお前!?」「俺を忘れたか?俺は大柳仁平だ。」俺が名乗ると神田は驚いて「何やと!?…これはこれは大柳はん。何故こないなとこまでわざわざ?」「ちょっとあんたに聞きたいことがあっ…。」言ってる途中で神田は俺達を突き飛ばし「敵や!?敵が来たぞ!」と叫び廊下を走り出した。俺達は後を追いかけると社員達が立ちはだかり目の前は上下の階段。「くそっ!神田の野郎…上と下どっちへ行ったんだ!?」「仁。俺はこいつら倒した後、麗華ちゃん連れて下へ行ってみる。仁は上に行ってくれ。」「わかった。」麗華ちゃんは俺達から離れ、俺達は社員達を倒して博人は麗華ちゃんを連れて下に向かった。俺は上の階に行って「神田!」とドアを蹴破ってみるとイチャイチャしてるカップル、風呂上がりの女などがいるだけでなかなか見つからない…。7階にてようやく見つけると神田は大部屋に走って行ってしまった。俺も大部屋に行くといきなり神田が背後から俺に掴みかかってきた。「何で大柳がここに来とんじゃ!」俺は神田を振りほどいて投げ飛ばした。「いきなり何しやがる…。」「それはこっちのセリフじゃ!平社員の分際でこんなとこまでカチコミかけやがってこのガキャ!」神田はやる気満々みたいだな…。「どうやらお前とはゆっくり話すわけにはいかないみたいだな…。仕方ない力づくでも話聞かせてもらおう。」「上等じゃ!この俺とサシでやり合ったこと後悔させたら!いくでー。大柳!」こうして俺と神田の喧嘩は始まった。神田は弱いが、まわりにあるものを拾い上げ武器にしてきた…。しまいには大きな額縁を引き抜いて振り回したがすぐにヘトヘトになっていて隙だらけで最後は神田を投げ飛ばしてベットの上で十字固めを決めて勝利した。俺は神田の頭を踏みつけ「お前の知ってること…全て話してもらおう。」「俺は何も知らん。」「この期に及んで何も知らねーとは言わせねー。麗華ちゃんをストーカーし、料亭に火をつけたのはお前だろうが!」「料亭に火つけて何のメリットがあるんや!?」「お前は倉橋会社を狙っていた。だから高田を。」「お嬢様をつけ回してはいたが、ホンマや!ホンマに何も知らんのじゃ!多分火つけたのは坂本や!」「坂本だと!?」「奴は力溜め込んで会社を乗っ取る機会狙っとった…。ホンマや!前にうちの課で暴れてた社員問い詰めた時そんな話しとったわ…。」「仁さん。」麗華ちゃんの声が聞こえ俺は神田を放した。「そっちは大丈夫か?」俺は博人と麗華ちゃんを労う。「ああ。何とか…。下にも結構数がいててこずったが…。」俺の後ろから殺気が…。「このボケが!」神田…。「仁さん!」俺はナイフを持った神田を蹴り飛ばした。神田は気絶。「こいつが神田…。」「どうして神田さんが…。」麗華ちゃんはショックを受けていた。「こいつ…もうちょっと問い詰めなくてもいいのか?」博人が神田を見ながら俺に問う。「今回のこの一件…こんなアホみたい奴が描けるようなもんじゃない。多分こいつは何で高田が撃たれたのかすらわかってねぇよ。」神田はあくまでも会社の跡目しか興味がなかったみたいだ…。「そういやさっき明日香ちゃんを見かけたな。」博人の発言で俺は今の目的を思い出した。「どこに行ったんだ!?」「泣きながら川沿いの方に走って行ったな。お前あの娘に何した?あれは男の事だろうな。」何言ってんだ?「仁さん!行きましょう。」麗華ちゃんは俺に言う。「後は俺が探すから博人は麗華ちゃんを送ってくれないか?」「当たり前だろ。」さすが親友だ。それにさっきあんなことがあった訳なんだからな。
俺は私服に着替えて車で川沿いへと向かった。
私は走る。ただただ走る。もうどれくらい走ったんだろうか…。気がつくと川沿いまで来ていた。何でだろう…。今すごく嫌な気分…。涙も止まらない…。仁…。私苦しい…。私があの時麗華ちゃんの相談を受けたばかりにこうなった…。自業自得だ。まさか親友の麗華ちゃんに嫉妬するなんて…。麗華ちゃんとは大学入った時に知り合った。麗華ちゃんは名前の通り容姿が綺麗で男子に人気だが彼女は人見知りが激しく、時々イジメも受けていた。私は麗華ちゃんと友達になりたくて声を掛けた。「私は磯部明日香。趣味はサッカー観戦。」麗華ちゃんは笑い始めた。「女の人でサッカー観戦が趣味の人って初めて聞いた。」麗華ちゃんは笑顔になった。サッカー観戦は仁がサッカーしてた時の影響。今でもたまにサッカー観戦している。それからは麗華ちゃんの相談を受けたり、私の家庭の話や仁の話をしたりして打ち解けていった。 ある日のこと、麗華ちゃんが深刻そうな顔をしてたので「どうしたの?深刻そうな顔してたら幸せが逃げちゃうわよ。」「うわああああん。」麗華ちゃんは泣きながら私に抱きついた。それから、麗華ちゃんがストーカーされていると言う。私は助力を求め仁に相談した。そして今に至り、少しだけ心を閉ざした仁は麗華ちゃんの為にストーカーを探している。そのことが半分私にとって腹立たしく思えてしまう。神様…人を好きになるのってこんなに辛いことですか?私の人生苦しめるおつもりですか?私の初恋は中学生の時だった…。私が男子にからかわれ、友達は助けようとして逆にイジメを受けていた。私は助けたかった…でも怖くて…。そんな時に「やめろ!男が女をイジメやがって!プライドの欠片もないのか!」仁が一喝して男子を殴り倒した。「大丈夫か?」仁のその言葉にも優しさがあってかっこよかった。そんな事を思い出しているとより一層ため息が出た。「そこのいい女。」「俺達が慰めて~あげる~。」どう見てもナンパだ…。「結構です…。」断っても手を掴まれた。「やめて!放しなさい!やめなさい!」怒鳴っても無駄…。その時、手が自由になる。「何!?お前は誰だ!?」「俺はこの女のボディガードだ。」仁だった。まさか私のために!?ナンパ達は仁によって全滅。
しばらくの沈黙から口を出したのは俺だ。「ドラちゃん。探したぜ。」ドラちゃんは体を丸めたまま動かない。そしてドラちゃんが泣きながら口を開いた。「仁は…麗華ちゃんが好き…なんでしょ…。私の事…なんか…ほっといてよ!」俺は本当に今まで鈍感だった…。俺はいつからかはわからないがドラちゃんが好きだ。今こそ想いを伝えよう。「違うな。俺が好きなのは麗華ちゃんじゃない。ドラちゃんなんだ。」「えっ!?」「麗華ちゃんは家族として好きだが、ドラちゃんは一人の女として好きなんだ。」少しの沈黙の後ドラちゃんは泣きながら俺に抱きついて「仁のバカ!私をどれだけ苦しめたら気が済むわけ。」「それはこっちのセリフだ。踏んだり蹴ったりだよ。」ドラちゃんはやがてすすり泣きになり、泣き止んだ。俺とドラちゃんは抱きしめ合っていた。暖かい。彼女の温もりを感じる。少しだけ男の理性が破れた俺はドラちゃんの両肩を掴んでドラちゃんの唇に俺の唇を重ねてキスした。ドラちゃんの唇が暖かい…柔らかい…甘くて…。ドラちゃんも俺の身に全てを預けている。息が切れるほどのキスから唇を放すと「私…ファーストキッスだったんだからね…。お詫びにどっかに連れて行きなさい。私とデートしなさい。」口調はアレだが…俺とドラちゃんは彼氏彼女。つまり恋人になったんだ。
私の半ば泣き寝入りの告白から私は遂に仁と恋人になった。今から夜の初デート。麗華ちゃんのストーカーは判明したらしい。これはハッピーエンド。仁の運転する車で東京に行く。最初にお腹が空いたのでラーメン屋に行き、ラーメンで身も心も暖めた。仁は私の手を繋いでいるから周りから見てもカップルだと思う。最高のディナー。続いてゲームセンターに行き、仁がキックストラックアウトでパーフェクトだよ。仁はやっぱりサッカーの実力は衰えてなかったんだ。「すご~い。」「どうだ。カッコいいだろ?」本当にカッコいいよ仁。「私にもやらして。」私は…0点。「だっせー。一個も入ってないじゃん。」「何かの間違いよ。こんなの。」私達は笑い合っていた。スロットでは「きゃは。」「ドラちゃんは昔からこういう運だけは強いんだな。」今日も絶好調だよ。仁と笑い合って歩いていると、突然仁が片手で頭を抱えて倒れてしまった…。「仁!?」