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リボンの有効活用と公爵夫人

 公爵邸での夕食会は恙無く終わった。パーティーではないため静かに、淡々と食事は進んだ。


 サラが持ってきた深い緑のドレスとライル様にいただいた青いリボンのポニーテールが合っていたようで、公爵夫人には気に入ったと褒めていただいた。サロンで食後のお茶をいただいている時には横に座り、まじまじと見るくらいだ。


「ライル様に今日頂いたリボンなんです。このリボンの小さい物を作ってお友達にお渡ししようかと。」

 母に見覚えのないリボンのことを聞かれて答えながら、石と金具を見せて説明していると夫人が食いついてきた。

「布と宝石ならお互いの領地の友好の証になるわ。あなたの付けたリボンをチャリティーの協力者にお渡しして印象付けましょう。小さい飾りはお話の通り売ればいいし。その方がお互いに利益になるから。」

「では、私の方からアリスさんにはお話するわ。作り手もいるからマダムも交えた方が良いわね。」

 ハキハキと話す夫人とおっとりとしながら自己主張の強いお母様は学生時代からのお友達だ。息が合う様子が微笑ましい。


 学生生活。さすがに説明しておかなければ伯爵家にも公爵家にも火の粉が飛ぶ可能性がある。

「ただ私はこれから学園で悪役令嬢にならなければなりません。」

 目を丸くする2人に昼にあった事をかいつまんで話せば、クスクスと笑い始める。

「ほどほどに遊んであげなさい。高笑いをする時は背筋を伸ばして、扇を口元にやるのよ。豪奢なものを貸してあげましょうか。」

「あらやだ、腰に手を当てないと悪役ぽく見えないわ。髪は緩く巻く方がそれらしいわね。サラにお願いしましょう。」

 反対もされない所か、レクチャーまでされる始末に混乱してしまう。

「もし失敗したら、さっさと卒業してしまいなさい。あの男がいない学生生活を満喫出来ないなら、それも方法だと覚えておきなさい。」

 夫人の言葉で話は終わりとなり、ケーキが差し出された。



「もう少し経って、あなたの気分が乗ったら赤い物も使いましょう。どれも似合うのは本当だから、あの男のせいで使えない色があるのは勿体ないわ。」

 ジェイクのせいでずっと赤ではあったが、他のデザインの赤いドレスも着たいし違う色の同タイプも着たい。夫人の言葉は大変にありがたい。

「公爵家ではあまりリユースはしないと聞いております。私は出来ればあのドレスたちをリメイクして着てあげたいのです。」

 同じ形にしかしてあげられなかったドレスたちは私の衣装部屋に残っている。ジェイクというルールが無くなった今なら、色々と変化を楽しむことが出来るだろう。

「いいんじゃないかな。披露宴のドレスとしてお披露目すれば、お客たちも喜ぶよ。」

 男女で分かれて話していたのに、ライル様が割り込んで空いている私の隣に座った。

「君の執着はやはりドレスか。ドレスを作ってくれていた領民もだな。あぁ私はまだ入れないか。」

「当たり前でしょう。出会ったばかりで自惚れるのもいい加減にしなさい。婚約したばかりの学生を連れ出して、私の息子には年上の自覚は無いのかしら。」

 ピシッと扇を閉じる夫人にライル様は苦笑いで返し、リボンの端に触れる。

「早く執着してもらえるように頑張るよ。今度学園に行ったら悪役令嬢に操られて盲目に愛する役で登場するから楽しみにしていてね。」

 反対側には自分の母親がいるというのに全く気にしない様子で囁いてくる姿に耳が赤くなるのが分かる。

「ライル、あなた後ろにローズの父親がいるのに勇気があるわね。」

 その言葉に弾かれたように離れるライル様を皆で笑って食事会はお開きとなった。



======

「ローズをカミラだと言っているのは、どんな令嬢たちなの?」

 伯爵一家を見送れば、両親から執務室に呼び出される。同じ机を隣り合わせに並べる2人はローズのことを心配しているようだ。

「新興貴族たちのようです。後ろ盾も特に大きくなく、男爵子爵ばかりだったかと。」

 顔を思い浮かべながら質問に答えると、ペンを走らせていた母の手が止まる。

「公爵夫人になるのが決まったのは知っているのよね?歯向かうべき相手ではないでしょうに。大人の世界なら、すぐに潰されるわ。」

 机に肘をつき頬に手を当てる。父の方を見ると父の手も止まるが、すぐに動き始めた。

「もしローズ嬢に何かあれば、潰すか。」

「えぇ、そうね。」

 2人で頷き合うと、また書類に目を通し始める。

「暫くは様子見をお願いします。ローズは守りたいようですから。」

 似た者夫婦に苦笑いをしながら、ローズだったら支えてくれるだろうなぁと考える。

「そういえば伯爵が暫く領地に戻るようだ。」

 隙をついたように父が洩らす。優秀な嫡男がいると言われているが、どうしたのか。

「何か問題が?」

「一部の隣の領民が領主の息子が王女を嫁にもらうからと高慢に騒いでいるらしい。」

 ジェイクは侯爵家を離れたはずだが、領民には分からないらしい。伯爵家から慰謝料が請求されなかったのが、図に乗らせたのだろうか。

「我が家からの請求を理解出来ていないのでしょうか?優遇も無くなるのに。」

 ジェイクの実家の侯爵家が上手く統制出来ていないのか、息子だけではなく領地の評判も落ちる可能性がある。旅商人から悪評が伝われば、取引や融資も危うくなる。

「だから当主が動くのだろうな。立場を示して領地を守るために早々に発つそうだ。タウンハウスには夫人とローズと使用人のみになるが、我が家から護衛も追加で出すから安心しておけ。」

「あなたがローズにべったりの間に旦那様はちゃんと家族のことを思っているのよ。学びなさい。」

 母の指摘に返す言葉がないライルであった。


そろそろストックが切れかけております。

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