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お姉ちゃんズ

一階のリビングに降りると、そこには四人の美少女が座っていた。


先程、ダンジョンで俺の前に立ちふさがった7階~10階のフロアボスである四大美神である。


なんで彼女達がここにいるかって?


そりゃ彼女達が俺と同居している幼馴染だからだよ。


なにせ十二年前から同じダンジョンで暮らしているからな。立派な幼馴染である。


ちなみに同居しているのはウチの親が「女の子をこんなダンジョンの中で一人で暮らさせるわけにはいかないでしょ!」と無理やり引きずり込んだためである。ウチの親はダンジョンのフロアボスより押しが強い。尚6階のイケメン君はハブだ。男女差別な気がするが、アイツが同居したらうざったすぎて家出しそうなので結論から言えば親の判断は正しかったと言える。


そんなこんなで学園の四大美少女と俺は同居中な訳だ、


ちなみに学園の連中には、彼女達が同じ屋根の下で暮らしていることは知られていない。彼女達はあくまでダンジョンの中で暮らしているということになっている。嘘はついていない。この家もダンジョンの一部だしな。


はっきりと公開しない理由は明確だ。だって学園の四大美女と同居なんて知られたらそれこそ俺の命が危ないだろう。今だって幼馴染ってだけで大分嫉妬の目で見られてるしさ、特に上級生に。


「みんなお帰り」


声を掛けながらリビングの中に入ると、一気に四人の視線が集まって来た。


と同時に一人が豪快に泣きだした。


「びえええええええええええ!」

「ちょ、王華ねぇ!」


泣きだしたのは小学生の如き小柄な体を持つ銀髪の少女、間宮王華だった。


あ、ちなみに家の中では彼女達の呼び方は名前+ねぇ(さん)である。外で呼ぶといらん嫉妬を買いそうだし、ダンジョン内でこの呼び方すると気力が抜けるので高校に上がった時家の中限定の呼び名に変更した。


で、その王華姉は整った愛らしい顔を今は涙でぐしゃぐしゃにしながらこちらを見上げてくる。


「びええええええ、またみーくんに勝てなかったよう!」


みーくんは俺の事な?


「ひぐっ……えぐっ……うう、またみーくんをあの女に寝取られたぁ……」

「いや寝取られたて」


サウラ嬢もこんなところで一リスナーの関係者から寝取り女扱いされているとは思うまい。


「やだぁ……みーくんいかないでぇ……いっちゃやだぁ……」

「いやだから行かないって言ってるでしょ、もう! サウラ嬢は推しであって、俺は一リスナーにしか過ぎないんだから!」

「みーくぅん……」


ああもう!


俺は彼女を抱き寄せると、床に胡坐をかいてその上に座らせる。

そして頭を撫でてやると、彼女はすぐに泣き止んだ。


「みーくぅん……えへへ」


よし。


王華ねぇ、いつもはお姉さんぶる癖にメンタル的に弱ると幼児退行するんだよな。そしてこうしてあげるとすぐに泣き止む。ちょろ可愛い。


あといい匂いが


「みーくん」

「はいっ!」


声を掛けられて思わずビクンとしてしまった。驚いた王華ねぇがこちらを見上げてきたので、笑みを返してまた撫でておく。


それから声の主の方へと視線を向けると、出しっぱなしの万年炬燵の上に突っ伏した都ねぇがジト目でこちらを見ていた。


「相変わらず、みーくん王華を甘やかすわよね」

「でもほら、こうすると泣き止むし」

「間違いなく味を占めてるわよ、その子」


あ、王華ねぇがピクッと動いた。さては男を惑わす悪女だったか?


「あー、ちゃんとアタシ達にも優しくしてくれないとお姉ちゃん悲しいなー」

「……どうすれば?」

「さっきの言葉、覚えてるわよね?」

「マッサージすか」

「そ」

「風呂の後でいい?」

「いいわよー。たーっぷりしてもらうから覚悟してね?」

「オテヤワラカニオネガイシマス」


悪戯っぽく笑う都姉に、そう棒読みで返す。

美少女に対するマッサージって、ある意味拷問なんだよな。我慢の限界的に。


あの都姉の柔らかい体を──いかんいかん、15歳高校生はそんな事考えてはいけない。


思考を切り替えるために視線を移すと、なにやらぶつぶつ言っている黒髪ポニテの美女が目に入った。


「何故だ……おかしい、普通あの恰好の女騎士が"くっころ"したら相手の男は女騎士を好き放題に嬲るのではないのか……何がいけなかったのだ」

「……早矢ねぇ」

「ん、どうしたみーくん?」

「後で説教な」

「何故っ!?」

「何故じゃないよ、今回は何読んだのさ」

「学校の友人が"早矢ならこれリアルでいけるよ。幼馴染君もイチコロさ!"って貸してくれた本だ。確かタイトルは「くっころ女騎士、ライバルに負けておk「すとーっぷ!」」


言わせないよ!?


「とりあえず早矢ねぇは今後人から借りる本を読むときは俺に確認を取る事!」

「何故だ! 私の方がお姉さんなんだぞ! 弟に読むものを管理されるのはおかしいだろう!」

「管理されるの嫌なの?」

「……いや、よく考えると悪くないな。わかった、今度からはちゃんと確認取る」


よし。……これで頷かれるのもそれはそれで不安が残るけど、まぁいいだろう。

早矢ねぇ、見た目がクール系だけどお馬鹿ですぐ影響受けるからな、余計な知識はシャットダウンしてやらないと。後その友人も説教だな。


(くいくい)


ん?


袖を引かれてそちらを向くと、そこでは金髪の美少女がニコニコと嬉しそうに笑みを浮かべてこちらを見ていた。


「どしたの、舞ねぇ」

「みーくん、私の事を縛りたかったんですね……嬉しいです」


!?


突然何!? あ、さっき拘束に使った鎖か!? え、そういう解釈になるの!?


「鎖で拘束されて見下されるの……ゾクゾクしました」

「ちょっと! そういうのじゃないからね!?」


変な性癖に目覚めるのはやめてくださるかしら!?


「ふふ、みーくんそんな遠慮なんてしなくていいんですよ? 私はみーくんのしたい事ならなんでも受け入れますから」

「いや遠慮なんかしてないからね? むしろ俺は鎖に拘束されている舞ねぇを見ると可哀想な気持ちになっちゃうよ、さっき自分でやっておいてなんだけど」

「……みーくん優しい……」


よし、とりあえずこれで舞ねぇが変な性癖に目覚めるのは防げたか? 防げたよな? 防げたと言ってくれ。


「……どうしたんですか、みーくん? そんな見つめられるとちょっと恥ずかしいです」

「あ、いや……」

「……私はいつでもいいですよ?」


何が?

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