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タイムリミットは40分


俺は廊下をひた走る。


「こら、廊下を走るんじゃない!」


と思ったが、教師から警告が入ったので競歩に切り替える。今は教師に捕まって余計な時間ロスをしている余裕はないからな!


「うわっ、歩くの早っ! キモっ!」


追い抜いたクラスメイトがそんな声を上げてきたが、それ競歩選手に失礼過ぎない? オリンピックにもある種目だよ?


「いや廊下をその速度で歩くのはキモいわ」


思考を読まれた……だと……


いや、きっとこれは何かのスキルだな。だが校内でのスキルは使用禁止のハズ。後で生徒指導にチクっておきますね。


「やめろぉ!」


背後で上がるクラスメイトの悲鳴を無視して俺は歩きの速度を上げる。

アイツに構っている暇はない。俺は急いでいるのだ!


靴を履き替えて正面玄関から外に出る。よし、ここからは競歩の必要はない、全力ダッシュだ。


だがその前に、視界に入った別のクラスメイトへと声を掛ける。


「おい吉川!」

「何だ村中、そんなに急いで」


だらだらと歩く帰宅部の吉川に向けて走りながら声を掛けると、奴は立ち止まってこちらを振り向いた。

それに対して俺はダッシュしながら叫ぶように聞く。


「天坂先輩と鎧塚先輩と猫目先輩と魔宮先輩みなかったか!」

「……まーた四大美神と競争してんの? お前。まぁいいや、さっき急いで帰っていくのは見たけど」

「マジか!」


くっそ、やっぱり先を越されていたか!

呆れ顔の吉川の横を駆け抜けつつ、俺は舌打ちする。


うちの担任HRが長いんだよ! 毎回先越されてるじゃねーか!


というか四大美神て、高校生につける呼び名じゃねーと思うんですわ。誰が名付けたしらないけど確実にネーミングセンスは無いと思う。


──俺は今年入学したばかりの一年なんだが、実はうちの学校一つ上の二年生に非常に有名な四人の美少女がいる。


元剣道部のホープ、クール系美少女の鎧塚 早矢先輩。

元バスケ部期待の星、サバサバ系美少女の 猫目 都先輩。

元生徒会副会長、清楚系美少女の天坂 舞先輩。

元軽音部の歌姫、小動物系美少女の魔宮 王華先輩。


いずれもとびぬけた美少女で、男女双方からの人気が高いらしい。

ちなみに何故元が付いているのかというと、全員が二年に上がってしばらくしてから引退しているからだ。


俺としては部活や生徒会活動を続けてもらえる方が都合が良かったんだが……!


とにかく先を越されたなら仕方ない、これで時間的な余裕が無くなったなと考えるべきか。


今は急ぐしかない……


「待て、村中! 今日こそは私が──」

「【影縫い】」


校門の影から突然姿を現した金髪のイケメンに、言葉と共に苦無を投げつける。


苦無は狙い違わず奴の影に刺さり、イケメンはぴたりと動きを止めたので俺はその横を駆け抜ける。


「き、貴様……!」

「安心しろ、日が暮れれば動ける!」


日も長くなってきたから暮れるまであと3時間くらいあるけどな、悪いが今お前に構ってる暇ないんだわ。あ、ちなみに校門出てたから校則適用外な。あと本来なら校外でも使用不可だけどアイツしつっこいから申請書出してちゃんと使用許可も取ってるから。とにかく俺の帰宅の邪魔はさせない。


なにせ俺の一推しのVtuber、億河サウラの配信があと40分後に始まるんでな!

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