ギャルと地味子とちくわ
昼休み。
ギャル「ねえあんたさ、なんでいっつも弁当一人で食ってんの?マジウケるんだけど」
地味子「…………」モグモグ
ギャル「ていうかー。ボッチとかマジ恥ずかしくないの?」
地味子「…………ちくわうまっ……」モグモグ
ギャル「おい聞いてんのかよ」
地味子「…………ちくわヤバ……ちくわ」モグモグ
ギャル「ちくわばっか食ってんじゃねーよ!何本あんだよそれ!」
地味子「ちくわパネぇ……これヤベぇマジ……」
ギャル「てかシカトしてんじゃねえよ!!」
地味子「えっ、わっ、ごめんマジ気づかなかった」
ギャル「ちくわしか見えてねえのか」
地味子「存在感なくて」
ギャル「てめーに言われたくねえよ!!」
地味子「とりまマジごめん」
ギャル「ていうかさっきからなんでちょっとギャル語なんだよキャラ考えろよ」
地味子「ほら私おばあちゃんっ子だから」
ギャル「おばあちゃんからギャル語までが遠すぎだろ」
地味子「おばあちゃん凄く新しい物好きだからさ、若者言葉をよく使うんだ」
ギャル「どんな」
地味子「問題に対してアクティブにリソースを割いてイノベーションしていくことがいいプランニングに繋がるんだって」
ギャル「若者言葉だけどベクトルがちげーわ」
地味子「おばあちゃんマジギャルだよね」
ギャル「お前そのばあちゃんのどこからギャル語抽出してんの」
地味子「ところで私になんの用?」
ギャル「別に、なんかボッチ飯かましてたからバカにしに来てやったんだよ」
地味子「……優しいんだね」
ギャル「はあ!?別にそんなんじゃねーよバーカ!」
地味子「でもごめんね。私宗教とかには興味なくて……」
ギャル「本当にそんなんじゃねえよこのバカ」
地味子「じゃあ……ちくわが食べたいの?」
ギャル「お前ちくわの位置付けおかしいだろ」
地味子「ねえ、さっきから気になってたんだけど」
ギャル「あ?」
地味子「ちくわが食べたいの?」
ギャル「だからなんでだよ!!食べたいわけねえだろ!なんでちくわがお前の中心なんだよ!!」
地味子「だってさっきからチラチラ見てるし……ちくわのこと」
ギャル「見てねえ!」
地味子「やらしい目で」
ギャル「見てねえ!」
地味子「フフフ……私たち友達になれそうだね」
ギャル「なんでそうなんだよ。めちゃめちゃポジティブだなお前」
地味子「ねえ……よかったら親友の証にこれもらってくれないかな……」
ギャル「二行で親友へランクアップしたな」
地味子「これ、私の一番の大好物の唐揚げ」
ギャル「なんでだよそこちくわだろ!」
地味子「やっぱりちくわが目当てだったんだ……!」
ギャル「違うわバカ」
地味子「子供の頃からずっとそう……!私に近づいてくる人はみんな宗教かちくわ目当ての人ばっかり!」
ギャル「どんな世界に生きてきたんだお前」
地味子「もう誰も信じない!やっぱりおばあちゃんの言った通り人は簡単に嘘をつくしそれに基づくセルフプロデュースがマネタイズの鍵となるんだ!」
ギャル「落ち着け落ち着け。アタシはそんなつもりないから。ちゃんと友達になるから。あとそのおばあちゃんの言葉は多分今関係ないぞ」
地味子「…………ほんとに友達になってくれる?」
ギャル「あぁ」
地味子「わかった…………仲直りの証にこの大切なちくわ食べていいよ……」
ギャル「えっ、あっ、うん」
地味子「ちくわ……おばあちゃんが大好きだったんだ」
ギャル「だからそんなにちくわにこだわってたのか」
地味子「でも、もうちくわの大好きなおばあちゃんはいない……」
ギャル「そうか…………」
地味子「でも私さみしくなんかないよ!だってギャルちゃんと友達になれたんだから!!」
ギャル「…………おう」
地味子「ウチらガチの親友だから!ウチらの友情マジパネエから!」
ギャル「お前だいぶ前からギャル語設定忘れてたな」
地味子「よーし今日はお祝いにおばあちゃんが今どハマりしてるマリトッツォ買って帰ろう!」
ギャル「ババア流行り物に乗り換えただけかよ」