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君の隣で歌いたい  作者: 三ツ沢ひらく
十二、【ヘッドオンゲーム】
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第93話

 幸いにも私は理系科目が得意で、沢里は文系科目が得意。つまり互いの苦手な部分を教え合うことができる。


 そうしているうちに西日が手元を照らし、やがて暮れていく。


 いつから沢里と音楽以外のことでもこうして当たり前に一緒にいるようになったのだろう。


 私はふと向かいに座る沢里を盗み見る。伏せられた目に長いまつ毛が影を作っている。その長さを少しでもいいから分けてほしいとぼんやり思っていると、不意に目と目が合った。


「こら、集中」


「はい」


 結局図書室が閉まるギリギリまで勉強し、私たちは帰路に着いた。


 集中して勉強すると糖分がほしくなる。コンビニで買ったアイスモナカにかぶりついていると、沢里が思い出したように言う。


「そういえば、これ。サワソニのチケットな」


「チケット?」


 十枚綴りの紙を手渡される。チラシと同じカラフルなイラストが目を惹いた。


「そ、家族とか友達に配りたいだろ?」


「え?」


「えってまさかリンカ、誰も呼ばないつもりか?」


 失念していたという顔を隠せていなかったらしい。沢里の突っ込みに私は考え込む。


 義父はもしかしたら観たいと言うかもしれない。しかし母は? 透流さんは?


 未だに返信がない柾輝くんは、果たして来てくれるだろうか。


 そもそも私はちゃんと【linK】として歌うべきなのか。


 声でバレる可能性はあるものの、名乗らなければ誤魔化せるかもしれない。


「ねえ沢里、私って【linK】を名乗った方がいいと思う?」


「んー?」


 答えが分かりきった問いだ。沢里は【linK】と歌いたいだろう。しかし返ってきたのは予想と違う答えだった。


「どっちでもいいよ」


「へ?」


「どっちも同じリンカだから」


 それは聞いたことのある言葉だった。私ははっとして沢里を見る。


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