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君の隣で歌いたい  作者: 三ツ沢ひらく
十、【ア・フュー・モア・タイム】
72/134

第72話


 ▽


 臆病になったらなかなか抜け出せない。学校では【linK】と【haru.】ではいられないのだから、沢里のためにも学校では関わらない方が無難ではないか。


 これまでは美奈のようなアンチの言うとおりになるのが癪だったから普通に接していたが、そのせいで沢里にもアンチがつくようになったら私の責任だ。


 好意をないがしろにした側が、どんな目で見られるか私はよく知っている。


 ぼんやりと午後の授業とホームルームを終え、ゴミだし当番の仕事にとりかかる。教室のゴミをひとつにまとめて集積所に持っていくだけなので、終わった頃に丁度図書室に本を返しに行った土井ちゃんと合流できるはずだ。


 ゴミ袋を引きずらないように運んでいると、ふわりとゴミ袋が宙に浮き、私は爪の引っかかった猫のようにつられて上に伸びてしまった。


「うわわ!?」


「よ、リンカ」


「沢里?」


「これから時間ある?」


 ゴミ袋を私の手から奪い取った沢里に上から覗き込まれる。昼休みの出来事はまるで気にしていないといった様子だ。私は戸惑いを覚えつつゴミ袋を取り返そうとするが、沢里の頭の上まで持ち上げられてしまったそれに手が届くわけもなく、仕方なしに返事を待つ沢里に首を振る。


「今日は土井ちゃんとパンケーキ食べに行くの」


「……そっか」


「あの、沢里。先輩たちにキレたって本当なの?」


 私の問いかけに沢里の目が丸くなる。


 先輩三人組に絡まれてから沢里は私への過剰なミーハー的態度を改めていたはずだ。そのおかげでもうなにも言われなくなったのだと勝手に思っていた。しかし実際はそうではなく、沢里が直接先輩たちを黙らせていたのだとしたら。


「私のことかばわないでよ」


 それは心からの懇願だった。沢里にかばわれなくてもアンチに負けるつもりはない。沢里はなにを考えているのか分からない目をこちらに向けて――そしてそのまますたすたと歩きだしてしまった。


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