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君の隣で歌いたい  作者: 三ツ沢ひらく
八、【タランテラ・ループ】
55/134

第55話

「殴った!?」


 ぎゅっと目をつぶっていると、まず聞こえてきたのは母の大声だった。信じられないとでも言うように私に詰め寄ってくる。


「どういうことなの凛夏!? なに考えてるのよ!」


「お母さん、」


「どうしてあんたはそうなの? 家に馴染もうという気がないの!? なにが不満なのよ!」


「君は下がっていなさい」


「あなたっ……!」


 私を責め立てる母を義父が制する。透流さんの視線を真正面から受け止めながら、私は話続けた。


「あの日一緒にいた人は私の実の兄です。私が無理に押しかけてご飯に連れて行ってもらったんです。泣いてたのはちょっと色々な悩みがあって……」


「え……」


 目を見開く透流さんと母。


「凛夏あなた、柾輝と会っているの」


「うん。私にとって柾輝くんは大切な家族だから」


 こくりと頷いてそう言うと母はそれっきり黙り込んでしまう。


「……こちらこそすまなかった。凛夏ちゃんの大切な人のこと悪く言った」


「透流さん、」


「いつか僕も君の悩みを聞ける兄になれるかな」


 そんな透流さんの呟きに、以前なら「それは無理無理絶対に無理!」なんて心の中で叫んでいたかもしれない。


 けれど私は変わった。家族のことを知ろうとしなかった自分を、今は後悔している。


 私は透流さんの目を見て頷いた。遮られるものがなくない透流さんの瞳。それが暖かい義父の瞳によく似ていることに、私は出会って一年経った今ようやく気付いたのだった。


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