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君の隣で歌いたい  作者: 三ツ沢ひらく
七、【サムシングニュー・サムシングバッド】
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第48話

「んで、誰と喧嘩したんだ?」


「……あに、と」


「兄妹喧嘩か! だったらなおさら気にするなよ。家族だろ? そんなこともあるって」


 私を泣き止ませるためか沢里は明るく笑い飛ばそうとする。


 沢里は友達。【linK】のファンというだけではなくて、【linK】のことを分かったうえでちゃんと私の友達になろうとしてくれている。


 ならば私も、沢里に応えたいと思った。


「本当の家族じゃないの」


「え」


 親の再婚でできた義兄だと説明すると、沢里は複雑な顔をする。


 家族のことを説明するのは緊張する。けれどこれを言えないと、ここまで駆けつけてくれた沢里の気持ちに応えられないと思った。


 もらったジュースを一口飲み、意を決して口を開く。


「本当の私はね。家にいるのが嫌で嫌で仕方がない、ただの暗いやつなの。死んじゃったお父さんが唯一私に残してくれた音楽が救い。でも、あの家にいたらそれも取り上げられてしまうかもしれない。音楽より勉強しろって言われる。ピアノなんてって……。私は【linK】の陰に隠れないと音楽が続けられない。【linK】はたくさんの人に愛されているけど、本当の私は自分のやりたいことすら口に出せない。どうしようもなく情けない人間なんだ」


 沢里は黙って私の話に耳を傾けていた。


「でも私は、それでも…………」


「それでも歌いたいんだよな、リンカは」


 言いよどんだ私の言葉を、沢里が引き継ぐ。言い訳のしようもない。まったくそのとおりだった。黙り込む私をよそに、沢里は突然立ち上がって大きく息を吸う。


「歌おう!!」


 そして、広い公園の隅々にまで響くほどの大声で叫んだ。


 

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