第46話
その声を聞いた瞬間、後悔と安心感が押し寄せてきた。自責の念が渦巻く中、なにも考えず普通に接してくる沢里に気持ちが救い上げられる。
空を見ながらぼろぼろと涙が零れるのを感じた。少なくとも今沢里だけは私を責めないでいてくれるような気がして、
「――沢里、」
「リンカ……泣いてるのか?」
耳のいい沢里には泣いていることがすぐにバレてしまったようだ。私は嗚咽をかみ殺しながら、なんとか声を絞りだす。
「私……殴っちゃった。人を、グーで思いっきり。私、私……っ」
「――リンカ今どこにいる?」
「……えと、星合公園のベンチ」
「すぐ行く」
ぶつりと通話が途切れた。私はスマホを持つ手をだらりと下ろし、今の会話を反芻する。
人を殴ったことを沢里に言ってしまった。幼い子供のように泣きながら。段々情けなくなってくる。沢里はきっと心配してくれていて、家が違う方向でも駆けつけてくれようとしてくれている。
どうして一人でなんとかできないのか。沢里を待っている間、私はひたすら星を見ていた。
「リンカ!」
どれくらいそうしていただろう。聞こえてきた沢里の声に私はほっと胸を撫で下ろす。自転車乗って猛スピードで迫ってくるその背中から、ソフトカバーに入ったギターが見え隠れしている。
どたばたと自転車から降りてそのままの勢いで私の隣に腰かける。肩を上下させながら、沢里は私の頭や肩をぺたぺたと触り始めた。
「怪我してないか!? 大丈夫か!?」
「う、うん」
現れて早々に真面目な顔で問われてしまうと触るなとも言えない。右手を隠そうしたのがバレて、袖を掴まれ目の前に引きずり出される。赤く染まった絆創膏を見て沢里は眉間に皺を寄せた。




