第33話
酷い顔だ。目は充血してまぶたが重い。むくみを取るために蒸しタオルを目の上に乗せる。一晩泣き通すなんて初めてだった。嫌な思い出しかない中学時代でも夜は電源が切れるように眠れたのに。
身支度をしなければ。今日もまた一日が始まる。
柾輝くんという支えを失ったとたんに、こんなにも揺らぐ自分が信じられない。
あの晩、ファミレスを出た後涙が止まらなくなってしまった私は透流さんの追及を受ける前に部屋に閉じこもった。
透流さんはたまたま通りかかって私を見つけて店に入ったとか、夜に一人で出歩くなとか色々言っていたが全くどうでもいい。
勝手に部屋に入らないと言う暗黙のルール上、透流さんからは逃げ切れている。
どうやら柾輝くんといたことは両親に黙っていてくれてはいるようで、母は私の泣きはらした目を不思議そう眺めてきた。
「どうしたの?」
「昨日泣けるドラマいっき見しちゃって」
適当な言い訳をして家を出た。
柾輝くんのことを兄だと言えなかったことを酷く後悔している。あの時母に責められることを考えて言葉が出なかったのだ。結局私は自分を守った。柾輝くんを悪者にして。柾輝くんからメッセージの返信が来ないのも自業自得だった。
授業中もずっとそのことばかりが頭の中を支配し、なにも手につかない。沢里にじゃれつかれては適当な相槌を打ち、土井ちゃんに顔色が悪いと指摘されてはその度に黙って頷いた。




