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君の隣で歌いたい  作者: 三ツ沢ひらく
一、【linK】
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第3話

 二人そろって階下のリビングに向かうと、広いテーブルには豪華な料理が並べられ、既に両親が席についていた。


「遅くなりました」


「凛夏、何度も言ってるでしょう。おとうさんを待たせないで」


「すみませんおとうさん」


「いやいいんだよ。さあ食事にしよう」


「どうせまたピアノを弾いていたんでしょ? いい加減勉強に集中しなさい」


 私が夕飯に遅れたことでピリピリしている母と、いつも笑顔でなにを考えているか分からない母の再婚相手。


 肩身が狭い思いで料理に手をつけると、透流さんが思い出したように口を開いた。


「凛夏ちゃん、よかったら僕が勉強を見ようか?」


「えっ」


 唐突な提案に舌を噛みそうになる私を尻目に、母が嬉々として手を合わせる。


「それはありがたいわ。透流くんは国立の医大生だもの。きっと勉強を教えるのも上手でしょうし。ねえあなた」


「そうだなぁ。凛夏ちゃんはどうかな?」


 三人の視線が一気に刺さる。私は食べかけのポークチョップをごくりと飲み込み、その視線から逃げるように俯いた。


「あの……じゃあよろしくお願いします」


 とても拒絶なんてできる雰囲気じゃない。


 このどうしようもない閉塞感。


 私の幸せな家族関係は、一年前、母の再婚で壊れていた。

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