第20話
「私に構わないでさっきの先輩たちと仲良くしていればいいじゃん。せっかく誘ってくれてるんだし」
投げやりにそんなことを言ってやると、沢里は眉を下げ困ったように笑う。
「あの人たちは俺じゃなくて、俺のステータスに興味があるんだ」
「ステータス?」
「俺の父親。……ちょっと有名なアーティストなんだ。俺も小さい頃から楽器教え込まれて、演奏したりしてる。けど……どこにいても親の名前が付いて回る。どんな演奏をしても、どんな歌を歌っても。親の情報がどこかから漏れちゃってさ。ああいう人たちは本当の俺じゃなくて、有名人の子どもっていうステータスに興味があるんだよ」
どうやら美奈の言っていた噂は本当だったようだ。しかし噂の本人は困っている、というより迷惑。そんな風に思っているのが言葉の端々からにじみ出ている。その気持ちを上手く読み取れずにいると、沢里はまた元の笑顔に戻った。
もしかしたら沢里はあまり女子が得意ではないのではないか。ふとそんな可能性に辿りつく。この笑顔は【linK】に対する営業スマイルなのかもしれない。
「だからそういうステータスを全部とっぱらって、ただの沢里初春として歌いたいと思ってた。そんな時に、目の前に【linK】が現れたんだ。【linK】は自分の作り出した音楽だけで評価されてる。俺と正反対の存在だ。正直、悔しいほど憧れてる」
どうやら私が思っていたよりも、沢里は【linK】に重い感情を抱いているようだ。言いたいことは理解できる。沢里も本当の自分を押し殺しているのだ。
互いに共通点があるにもかかわらず、正反対の存在というのは、ある意味正しいのかもしれない。
私とは考え方が違う。




