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君の隣で歌いたい  作者: 三ツ沢ひらく
十六、【アフター・ザ・ステージ】
120/134

第120話


 ▽


 ライブが終わると出演者たちで観客の見送りをするのがサワソニの通例らしい。


 会場の退路に出演者が並び、握手や写真に応じる。つまりささやかなファンサービスを提供するのだそうだ。


 賞をもらった後に襲ってきた疲労感のせいで私はフラフラしながらも、生まれて初めてサインをした。


 沢里は悟りを開いたのかお地蔵さんのような顔で握手に応じている。


 私たちの先にはMVPに輝いた【モルフォ】がいるのでそちらに人が集中していき、しばらくすると私たちの周りは落ち着いてきた。


「凛夏ーーー!!」


 待ち望んでいたその声を私は笑顔で迎える。


 すっかり日焼けした顔を涙でぐちゃぐちゃにした土井ちゃんは、駆け寄ったそのままの勢いで抱き着いてくる。私は両手を大きく広げてその体を受け止めた。


「めちゃくちゃよかったーー! もう私今日のこと一生忘れない!!」


「土井ちゃん、変顔ありがとう! 緊張が吹っ飛んじゃったよ」


「土井の声すげー聞こえたわ。サンキューな」


「あんたたち最高! 受賞おめでと! 私の中ではMVPだよっ」


 土井ちゃんは片手で私を抱きしめ、片手で犬を撫でるように沢里の頭をわしゃわしゃした。こんなに喜んでくれるなんて、感無量だ。


 ふと土井ちゃんの背後に一人の女子がいることに気付く。


 土井ちゃんが誘った友達だろうか。深くキャップ帽を被り俯いているので心配になり土井ちゃんに目で訴えると、土井ちゃんは思い出したようにその子を私たちの前に引っ張り出した。


「ほら、言うことあるんでしょ!」


 まだ俯いてモジモジとしているが、その雰囲気に覚えがある。私はその子の帽子のつばをつまみ、くいっと上に持ち上げた。


「あ」


「み、美奈!?」


 いつもの派手なメイクをしていないが、確かにあの美奈だ。


 私に掴みかかってきた時とはうってかわって恥ずかしげにまたキャップで顔を隠してしまう。


 土井ちゃんが連れてきたのだったらどういう風の吹き回しなのか。したり顔の土井ちゃんが説明し始める。


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