112話
「もしかしなくても私たちめちゃくちゃ浮いてない?」
「つーかあっちのいかついパンク系の人たちすげーこっち見てる……!」
沢里の言ういかついパンク系の人たちに目を向けると、どこかで見たことがあるようなモヒカン頭とヒョウ柄シャツのお兄さんがこちらにずんずん向かってくるところだった。身を引く間もなく、私はなぜかモヒカンのお兄さんにひょいっと首根っこを掴まれてしまう。
「ぴゃっ!?」
「んーーーやっぱりこの子、まーくんの所の子じゃない?」
「やっぱそうだよなあ。見たことあるし。迷子? 客席はあっち」
「えと、あの」
「おお俺たち迷子じゃないです」
普通に話しかけられているだけなのに二人そろっておどおどしてしまった。しかしやはりこの二人の強烈な見た目に見覚えがある気がする。
「おーいMasaki!」
ヒョウ柄さんが後ろを向いて聞き慣れた名を呼ぶ。「え?」と声を出すと同時に見知った顔がひょっこりと現れた。
「ま、柾輝くん!?」
「凛夏!?」
こんなところで会うはずがない兄の姿に一瞬思考が停止する。モヒカンヒョウ柄コンビに見覚えがあったのは、柾輝くんのバンドメンバーだからだ。
「おまっ……なにやってんだこんなとこで!?」
「そっちこそ! って、もしかして」
「まさかお前が出るライブって」
お互い顔を見合わせて、金魚みたいに口をパクパクさせることしかできない。




