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君の隣で歌いたい  作者: 三ツ沢ひらく
十五、【サマーライブ】
111/134

111話


「よろしくお願いします!」


 忙しなく動いているスタッフさんにあいさつし、指示どおりの場所で声を出す。


 私も沢里も普段と同じ声を出せている。このまま楽器と合わせることができれば大丈夫だ。指は散々車の中で動かしてきたので温まっている。


 そうこうしているうちにリハーサルを始めると言われ、私たちはすぐに舞台裏に移動した。


「緊張してる?」


「考えてる暇ないかも」


「当日ってこんなに忙しいんだな」


 薄暗い舞台裏に着いてすぐに入場と退場の段取りを教わり、すぐにマイクテストが始まる。


 二人縦に並んで、合図とともにステージへと駆け上がった。


 ぱっと開けた視界には、どこまでも青い空が映る。観客のいないだだっ広い空間には、数人のライブスタッフが話し合いながらこちらを確認していた。


 本番はこの会場いっぱいの人に見られながら歌うのだ。


 思わず沢里の方を見ると、妙に硬い表情をしているものだからこちらも焦ってしまう。


「じゃあ二人とも音出してー」


 その指示に従ってギターとキーボードを鳴らす。


 屋外では音の聞こえ方がいつもと異なる。このリハーサルでそれを把握して、本番に繋げなければならない。


 私たちは楽器の確認をしながら無事に一曲歌い、リハーサルを終えた。


「よし、歌えるな!」


「うん。大丈夫そう、調子いいよ。沢里は?」


「バッチリ問題ない。指も動くし」


 あっという間のリハーサルだったが、とりあえず今のところ主だった問題はなさそうだ。硬かった沢里の表情も歌い終わると和らいだ。自分の調子がいいと分かって安心したのかもしれない。


 ひとまず安堵し控え室の扉を開けると、他の出演者たちが集まり始めていた。中にはテレビで見たことのあるグループもいて、私はごくりと息を飲む。


 やけに注目を集めているのは制服のせいかもしれない。どう考えてもこの中に高校生は私たちしかいない。


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