110話
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「会場着いたら即発声練習、からのリハーサル。それが終わったら出番まで控え室で待機。予定では俺らの出番はまっ昼間の炎天下だから、熱中症には注意な!」
「分かった!」
「あとはスタッフさんや他の出演者の皆さんには元気よくあいさつすること!」
「オッケー!」
車での移動中、テキパキと段取りを説明する沢里はやけに勇んでいるように見える。緊張しているわけでもなさそうだが、体力がもつのか心配だ。
「沢里、力抜こう。まだ会場にも着いてないよ」
「あー悪い、でもすげーワクワクしてどうしようもない」
「心がつよいな」
「二人とも特訓の成果を見せてくれよ」
「はい!」
「もちろん!」
ハンドルを握るsawaさんの言葉に二人で大きく返事をする。
「しかしまあ、息もれ娘が本当に歌えるようになるとはねえ」
「分かっててライブに出したんだろ」
「あくまで予想は予想さ。それに、本当に息もれを克服したか、その結果はステージで見せてもらおう」
「はい、全力で頑張ります!」
「かたいかたい。さあ着いたよ」
窓の外を見ると大きな広場にライブ会場が設営されているのが見えた。カラフルなメインステージが目を惹き、あそこに立つと思うだけで武者震いしてしまう。
「会場のすぐ近くに更衣室と控え室が設置されてるから、基本的にはその辺りにいるようにしてくれ。ライブの最後に出演者全員であいさつをするから、自分の出番が終わってもそのまま控え室で待機すること」
車から降りるとsawaさんはそう言ってさっさと打ち合わせに入ってしまった。プロデューサーの忙しさは私たちとは桁違いのようだ。沢里に連れられて受付を済ませ、すぐに発声練習とリハーサルへと向かう。




