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君の隣で歌いたい  作者: 三ツ沢ひらく
十四、【シンキング・アバウト・ユー】
108/134

108話

「あーおかしい! だって私たち、同じことしてるんだもん。私も沢里の前の学校の人ライブに呼んじゃった! 勝手にごめん!!」


「ええっ!?!?」


 今度は沢里が目を白黒させる番だ。


 それは沢里がいない隙を狙って、沢里のお母さんに会いに行った日。


 沢里には内緒で前の学校の音楽コースの人に連絡を取れないか相談したのだ。


 すると沢里のお母さんが音楽コースの先生に連絡を取ってくれて、無事にチケットを五枚送ることに成功した。


「マジ?」


「マジ。どうしても沢里の姿を見てもらいたくて。だからおあいこだね」


 私たちは顔を見合わせて、同時に吹き出した。


 二人で涙が出るほどけらけら笑って、笑いすぎて苦しくなって、練習室の床に転がった。


「はー、まあチケット渡したってだけで、本当に来てくれるかは分からないけど」


「ああ、それはこっちもそうだ。いや、でも、なんだよもー! 絶対怒られると思ってたからギリギリまで黙ってたのに!」


「私も今日言おうと思ってたんだよ。これだけ一緒に歌ってたら考えることも似てくるのかな」


「じゃあ俺が今考えてること分かる?」


 沢里はむくりと上半身を起こして問う。


「んー、ライブが終わった後のこと考えてる」


「あたり」


 降参とでも言うようにお手上げする沢里。明日のライブを終えたら。気が早いとは思うが私も考えている。


 もう【linK】として顔を出して歌うことにためらいはない。あれほど中学の時の仲間に【linK】であることを知られたくなかったのに、もうどうでもよくなってしまった。


 毎日のように罪悪感に苛まれ、誰かと歌うことすらできなかった自分はもういない。


 沢里の隣で歌うことが私のなにより大切なこと。


 明日が終わって一緒に歌う理由がなくなっても、きっと歌が私たちを繋ぐ。


「なにも心配いらないよ。一緒に歌おう」


「――リンカは不思議だな」


「え?」


「俺を歌わせるために、神さまが出会わせてくれたみたいだ」


 それはこちらの台詞だ。きっと私の方が先に沢里のことをそう思っていた。


 沢里の幸せそうな笑顔を見ていると、自分の気持ちが分からなくなる。


 明日が早く来てほしいのに、まだもう少しだけ、このままでいたいと思うなんて。


「ライブが終わったら俺たちどうしてるんだろう」


「さあ、どうせ歌ってるよ。だって私たちだもん」


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