103話
いつもどおり登校して、いつもどおり授業を受ける。いつもどおり土井ちゃんとランチタイムを過ごし、いつもどおり放課後は沢里と歌う。
いつもどおりじゃなかったのは私だけだった。
「リンカ、お前……!!」
「さ、沢里。私、今……」
震え始める体を止めもせず沢里に向き合い、それが事実かどうか確認する。
あまりにも唐突で自然な流れだったために、脳が混乱していて自分では判断がつかないのだ。
沢里は頭が取れそうなほど頷いている。
そこでようやく私は、自分が沢里と一曲歌い切れたことを理解したのだった。
「今、二人で、最後まで歌えたよね!!」
「やったーー!!」
息が続くこと、声を合わせること、そして曲を歌い切ることの喜びに思わず沢里と一緒に飛び跳ねる。
「リンカ……お前は、お前ってやつは!!」
沢里はさらに大げさに床に崩れ落ち歓喜の声を上げている。そこまで喜ばれるとどうしたらいいのか分からなくなってしまうが、とにかく第一目標である二人で一曲歌い切ることに成功し、私はほっと胸をなでおろした。
「あー、よかったー」
床に転がったままの沢里がしみじみと言うのを聞いて、これまで多大な心配をかけていたことを思い出し、私は膝をついて沢里の顔を覗き込んで礼を言う。
「沢里のおかげだよ。ありがとう!」
「俺の方こそありがとな! でもこれで終わりじゃないだろ?」
そう、最終目標はサワソニの舞台で歌うこと。本番はもう一週間後に迫っている。たった一回の成功できゃぴきゃぴ喜んでいる場合ではない。
しかし頭では分かっていても顔が勝手に緩んでしまうのだから仕方がない。
「俺らには当日リハしかないんだ。それも音響調整メインだからな。本番に向けて仕上げていこうぜ」
「うん!」




