アルシーユ6勇士
ユリスに吹き飛ばされたパルマはユリスを睨み見た。
「人間…人間…人間!!」
パルマは怒りをあらわにし剣を地面に叩きつけた。
「死ねぇーー!!」
ユリスはパルマの一撃を受け弾く。
剣に魔力を通している為か相手の攻撃が軽い。
ユリスは反撃に転じパルマの腹部に蹴りを見舞った。
「ぐはっ!」
パルマは横に飛び家の壁にぶつかる。
「人間がぁ…」
その時パルマのフードが外れ頭があらわになった。
人の頭に角が生えている。
ユリスは頭の中にある情報の中から一つの種族を引き当てた。
いつも絵本で悪者として扱われている種族…魔族だ。
ユリスが角を見ている事に気づいたパルムはさらに烈火の如く怒りに燃えた。
「見下すつもりか…人間…」
再びパルムは駆け出しユリスに斬りかかる。
次に放たれたのは重い連撃。
しかしユリスはその攻撃に対して同じ連撃を放つことで相殺してみせた。
それどころか徐々にユリスが押していき最後にはユリスの攻撃を両手で防ぎ、刃を交える形となった。
「クソがっ!!」
思い通りに行かずパルムはユリスを睨む。
それに構わずユリスはその瞳を見返し問うた。
「聞きたいことがある。
お前はアイラと言う少女を知っているか!?」
マーレで死んだとされている少女の名だ。
「それがっ!どうしたぁ!!」
ユリスの剣を弾きパルマは咆えた。
ユリスは態勢を立て直しパルマを見据える。
「貴方が!…その子を殺したのかと聞いている!」
そう言葉にした瞬間ユリスの青き瞳がパルマを睨み怒りを顕にしていた。
それを聞きパルマは笑う。
「だったら、どうした?」
ユリスの心の中ではそれを聞き怒りの感情が現れ激しく燃えた。
「貴方を…許さない!!」
そしてそのユリスの言葉もまたパルマの怒りに触れた。
「許さない?…ふざけるな!!」
再び火花が飛び散り二人の顔を照らす。
「調子に乗るなよ!人間がぁ!!」
激しさは加熱しお互いの剣戟は速さを増していく。
「子供がどうしたぁ!!人間というだけで、殺す理由など、十分だ!!」
そしてパルムがユリスの剣を弾きユリスを下がらせた。
ユリスは手を震わせ剣を握る。
「あな…たが…アイラを…」
「あ?なんだ?っつ!」
ユリスに再び斬りかかろうとした瞬間ユリスが逆に一瞬にして斬りかかって来た。
「がぁ!!」
ユリスの斬撃は胴を捉えそれでもなお止まらない。
パルマはその斬撃をなんとか剣で防ごうとするが次々打たれる剣戟についていけず徐々に切り傷が増えていった。
バキンッ
そして最後に大きな音が聞こえたかと思えばパルマの剣が粉々になり崩れ落ちた。
ユリスは怒りに燃え剣をパルマに突きつける。
「はっ殺せよ…」
パルマはユリスを見据えそう言った。
腕は切り裂かれ深手を追ったらしく腕をもう片方の手で抑えている。
しかし次の瞬間、横から矢が飛んできた。
ユリスはそれを塞ぎ飛んできた方向を見る。
そこにはヌサルが拾った矢でユリスを狙っている所だった。
「何を!!」
ユリスがそう聞くとヌサルは答える。
「そいつは、我ら魔族の手でやらねばならない。
そうでなければ…連鎖がさらに続くだけだ。
私が…前に進む為にも…頼む!
私に…チャンスをくれ」
ヌサルがそう言いうのをユリスが見ているとパルマはそれを見てニヤリと笑った。
ユリスがそれに気づいた時にはすでに遅くポロポロとパルマの足元に白いたまが数個落ちた。
次の瞬間辺りは煙幕に包まれ、それが終わる頃にはすでに遅くパルマは姿を消していた。
…
ヌサル達は街での治療を拒否した、ためノエルが薬草とポーションを用いて宿のユリスの部屋にて治療をしていた。
ヌサルは軽傷のためもう傷は癒えている。
ヌサル自身とその部下たちはフードを取り今では角をあらわにしていた。
「ヌサルさん…止めていただき…ありがとうございます」
ユリスは怒りでコントロールの効かなくなった自分を思い出しヌサルにそう切り出した。
ヌサルの角は禍々しく2本、頭の両側から生えている。
「いや…あれはお前の為にやった事じゃない…」
ヌサルとの会話はどこかしづらく重い。
「あいつはパルマっていう魔族の…私の部下だった奴だ」
それを見てかヌサルが一人話し始めた。
「私達は戦争に負けた後もレジスタンスとして戦いを続けた。
しかし…それも徐々に仲間を失い…最終的には私達だけが残った。
その中に奴がいた…。
ナバトにいるレイラの母リリファを殺したのもそいつだ…。
私は早くにやつの人間に対する決して消える事のない憎悪に気づくべきだった」
ユリスはただヌサルの会話を聞いた。
今、ナバトが魔族を受け入れ変わろうとしている事。
山賊ヌサルという魔族を受け入れる組織ができた経緯…を話した。
…
早朝…一台の豪華な馬車がユリス達の泊まっている宿の前で止まった。
豪華な馬車の扉が開きその中から甲冑の足が出てきて馬車の登り台を踏む。
「全く、僕をこんな場所に呼びつけるとは。
姫様の命令じゃあ無ければ来ないね」
その日…アーサーは騎士が来ることを事前に知っており迎えはルーカンに任せ自分は自室で堂々と待機していた。
本日…ようやく祖国に迎える。
騎士国ブリテンの奪還。
アーサーはその事に胸をいっぱいにしてその時を待った。
扉にノックがかかりルーカンが扉を開く。
コツコツと床に足音が響き騎士は現れた。
「アルシーユ6勇士が一人。
アストルフォ!見参!!」
騎士はあたりを見渡すと胸についた薔薇を取りあるき出した。
「あー、見目麗しきかな…あなたほど美しい女性を私は知らない」
そう言いユリスの前を通り過ぎると見せかけて騎士はユリスの手を取ってキスをした。
ユリスは急にそれをやられたので訳が分からず戸惑いアストルフォを見る。
「これを受け取ってください。
私の…ほんの少しの気持ちです」
アストルフォはそう言うとユリスの手に薔薇を渡した。
「あとで…僕と二人で、お食事でもいかがですか?」
ゴホン
その光景を見てルーカンが咳払いをした。
アストルフォは、やれやれと優しくユリスの手を握り離した。
「まあ、そう慌てられるな…ブリテンの騎士よ」
アーサーはそんな騎士に問う。
「主が、アミーラ王女が使わした者か?」
アストルフォはそれを聞き笑った。
「いかにも。
僕はアルシーユ最強と謳われる騎士だ。
まあ、よろしく頼む。
もと…騎士王殿…」
アストルフォは大胆にもそう言いアーサーの前に堂々と立つ。
それを見てルーカンは文句を言いたそうにしアストルフォを睨む。
そうした出会いのあとアーサー率いる一行は出発の準備に取り掛かった。
ユリスは自室に向かいヌサルにこれから騎士国に発つ事を告げる。
「ああ…パルマの事は私に任せていけ…恐らく今頃は傷の治療に専念し姿をしばらく隠して別の街に移動するはずだ」
そう言いヌサルは傷つき倒れた部下達を見ていた。
ユリスは少し後ろ髪を引かれたがアーサーとの約束もある為ヌサルを信じ後を託し、自分達はカロスの港町を後にした。




