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WORLD 光ノ書  作者: PEN
52/53

盗賊ヌサル

 暗く沈んだ空、ユリスはノエルと共に街に繰り出していた。

 街は人っ子一人おらず静まり返っている。

 最近の通り魔事件のせいで夜に街の人達は出回らなくなったのだ。

 ユリス達はそれでも異常は無いかと歩き回る。

 居住区を探し港を見て回る。

 その時、複数のローブを着た人達を発見した。

 ユリスは剣に手を触れいつでも戦闘に入ってもいいようにした。

 複数…てっきり一人だと思ってた。

 ユリスは少し動揺した。

 どうやら向こう側もこちらに気づいたようでお互いに緊張が走った。

 「ノエル、私から離れないで」

 一人なら逃がすのだが、複数だとノエルが狙われる可能性がある。

 ユリスが近づくと向こうから聞いたことのある声がかけられた。

 「貴様は何者だ!

 今噂で聞く通り魔か!?」

 「ヌサル?」

 ユリスはそう確信し剣から手を離す。

 するとフードを被った女性がユリスに近づいてきた。

 「その声…聞き覚えがあるな。

 なるほど…」

 ヌサルはユリスを見ると弓を収めた。

 「どうしてこんなところに?」

 ユリスがそう聞くとヌサルは口を開く。

 「私情だ、お前こそこんな夜中に何をしている?」

 「私は、通り魔を探して…」

 ヌサルはそれを聞くと指を顎に当てた。

 「依頼かなにかか?

 それならば手を引け、我らが始末する。

 安心しろ手柄はくれてやる」

 「依頼じゃない、聞きたい事がある、それと今やっている事を止めに来た」

 ユリスはそうはっきりといいヌサルを見た。

 「手を引く気は無いか…」

 ヌサルはそう言うと手を上げた。

 するとその他の人達はヌサルを残し闇夜に走り出し消えた。

 「なら、早く見つければいい。

 悪いが、奴を殺すのは我らヌサルの努めだ」

 「殺す?…何を言って…」

 ユリスのその問に答えを返す事も無くヌサルは歩き夜闇に消えた。

 「いったい…」

 ノエルはその行動を見て眉をひそめヌサルが消えた場所を見た。

 「とにかく、行こう」

 ユリスはそう言うと再び捜索を始めた。

 …

 足りない…私の憎しみを消すにはまだ足りない。

 暗い夜闇の中、黒いフードを被った女性が立っていた。

 「ひぃっ…お金…あげるから……見逃して」

 人間が…。

 「金などいらん、私が求めるのは貴様らの死のみだ」

 今日も獲物を狩る。

 倒れた女性は血の気が引き顔が真っ青になっていた。

 少し外に出歩いたら出くわしてしまった。

 噂の殺人鬼…。

 女性は震え動けなかった。

 「死ね…人間…」

 フードをかぶる女性はそう冷たく言い剣を振り上げ下ろす。

 「いやっ!」

 しかしそれは空を切り代わりにカランと音を立て矢が地面に落ちた。

 「パルマ…お前も落ちたものだな」

 暗闇から現れたのはヌサルと数人のフードを被った人達だった。

 「その声っ…そうか…貴方ですか隊長」

 ヌサルはパルマに近づき弓を構えた。

 「悪いが、パルマ…ここで死んでもらう。

 お前らは手を出すな…私のけじめだ」

 これにパルマは腹を抱え笑った。

 「ははは、隊長…面白くもないジョークだ」

 そしてパルマの声は急に冷たくなった。

 「まさか…人間との馴れ合いですか?」

 ヌサルはそれに答えずただ矢を放った。

 その矢をたやすく剣でパルマは叩き落とす。

 「それが答えですか…我らを苦しめた人間に…肩入れすると?」

 声は徐々に力が入り最後には憤怒した声となった。

 「そうだ…我らはナバトと共に前に進むっ!!」

 ヌサルは弓を再び放ち探検を腰から抜いて襲いかかった。

 パルマは矢を再び撃ち落とすとヌサルと刃を交えた。

 両者は一歩も引かずギリギリと刃同士で音を立てた。

 「それが!! お前の答えか!!」

 パルマは短剣を弾きヌサルを後方へと押しやった。

 「ひぃっ」

 獲物の女性が逃げていく。

 「逃さんっ人間!」

 パルマは立ち上がり逃げようとする人の背後から斬りかかろうとした。

 しかしヌサルが弓で矢を放ちパルマの肩を直撃して突き刺さった。

 「がっ!」

 パルマは怒りの表情でヌサルを見据え矢を左手で抜いた。

 矢の先に血がついておりそれを降ると地面にパタタタと血が落ちる。

 「怒りで周りが見えていないな」

 ヌサルは短剣を構えパルマを見る。

 「邪魔をするなーーー!!」

 パルマはヌサルに走り剣を振るう。

 その一撃は重くヌサルは顔をしかめた。

 次々と連撃が重ねられる。

 一撃一撃が重い、徐々にヌサルは押され始め、空きをついて足払いを放った。

 しかし、パルマは飛び退り躱す。

 「得意の剣はどうした? 隊長」

 ヌサルはそれを聞いたが弓を構え矢を放った。

 「平和ボケですか?…昔のあんたなら私なんて簡単に殺せたでしょうに。

 昔の人間に恐れられていた貴方はどこへ行ったんです?」

 矢を軽く叩き落としながらパルマはヌサルに近づく。

 ヌサルはそれでも矢を放ち続ける。

 やがて矢は付き短剣を手に再び斬りかかる。

 「いい加減、飽きましたよ」

 ヌサルの短剣をも弾きパルマはトドメを刺そうと剣を上げ下げようとして止めた。

 「おい、隊長の命令が聞けないのか?」

 そこには剣を構えパルマの背後から攻撃を仕掛けようとするヌサルの部下達がいた。

 「馬鹿! よせっっがっ!」

 パルマはヌサルの腹部に拳を叩き込み止めた。

 「粛清だ、誇りを教えてやる」

 ヌサルの部下は次々と襲いかかった…がパルマは剣を構え剣を交えもせず通りすがりざま全員の腹部や肩を切り裂き倒した。

 「弱いな…戦争を忘れるとこうも錆びつくか…」

 再びパルマはヌサルに歩み寄り斬りかかろうとした。

 ガキン

 しかしその一撃はヌサルに届く事は無く逆に防がれた剣に押されパルマは吹き飛ばされた。

 「お前…」

 「少し休んだほうがいい」

 倒れたヌサルの前にはユリスが立っていた。

 …

 朝、目が覚めるとヌサルは柔らかい干草で作られたベットの上で目が覚めた。

 「ここは…」

 「目が覚めましたか?」

 ふと目を向けるとそこには金髪の人間が立っていた。

 ヌサルは、はっとして頭を抑えた。

 「大丈夫ですよ。私と娘それにフットしか知りませんから」

 そう言い女性は目の前にあるベット横の机に朝食を置いた。

 ヌサルは目の前に置かれた朝食に目を奪われた。

 いつぶりだ? 

 まともな食事は…。

 ヌサルはこれを置いた女性を見上げた。

 女性は頷き微笑んだ。

 それを見るとヌサルは食べ物を口に鷲掴みにして食べた。

 「食べ物は逃げませんよ」

 涙が次から次へと溢れてくる。

 こんなにも美味しい飯は食べたことはない。

 「水も、どうぞ」

 今まで気づかなかったが小さな人間の女の子が笑顔で水を差し出していた。

 それも取り一気に体に流し込む。

 生き返るようだ…水が体に染み込み広がる。

 こんなに水が美味しいものだったなんて。

 すべてを食べ終わると金髪の女性を見てヌサルは聞いた。

 「感謝する。

 だが…なぜ助けた?

 他の団員は!?」

 それを聞き女性は頷く。

 「ええ、無事です。

 今はお店の手伝いをしてくれてますよ」

 すると扉がガチャガチャと音を立て開きフードを被った男性が現れた。

 「隊長! 起きられましたか!?」

 団員の一人だ。

 「他の奴らは?」

 ヌサルはその団員に聞く。

 「皆無事です、ですがパルマさんは相当疲弊しきってたみたいで…今は熱を出して寝込んでます」

 そう言い終わると男ははっとし金髪の女性に向かって言った。

 「リリファさん。

 掃除終わりました」

 リリファは頷くと言う。

 「そう、ありがとう。

 それじゃあもう朝食にしましょう」

 リリファはそう言い立ち上がった。

 「ヌサルさん、私はリリファ・ハートと言います。

 そこに服があるのでご自由に使ってください。

 それと剣と鎧はここにはありませんよ。

 フットが預かっていますから」

 そう言いリリファは部屋を出て行った。

 ヌサルは問題なく動ける事を確認すると言われた通り服を着替えそこにあったフードで頭を隠す。

 

 それからの数日間…宿の仕事を手伝い過ごした。

 宿の仕事にもなれ、リリファの娘のレイラには好かれてしまったようだ。

 「お姉ちゃん、遊ぼー」

 「すまない、これが終わったらにしてくれ」

 この言葉に少女は頬を膨らませ服を掴みヌサルの作業をずっと眺めていた。

 

 そんなある日…悲劇は前触れも無くおこった。

 宿中にレイラの泣き叫ぶ声が聞こえている。

 急いでそこへ向かうとリリファが血を流し倒れていた。

 

 ここに寝ていたパルマの姿は無く空の何も無いベットになっている。

 「早く…行きなさい…ここから…早く」

 「しゃべるな」

 ヌサルはその言葉を無視し応急処置を始めた。

 しかし血は止まらない。

 リリファはやがて声も出せなくなり息を引き取った。

 それを看取るとヌサルは泣いているレイラを抱き締めた後に他の団員に向かい言った。

 「ここを急いで離れる」

 そう言い残しペルラ達はリリファのもとを離れ去って行った。

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