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WORLD 光ノ書  作者: PEN
49/53

港町カロス

 パンテーロを出発しユリス達は北に向け進んだ。

 まず最初に向かうのはカロスと呼ばれる港だと言う。

 そこにアルシーユの騎士がおり合流する手はずとなっている。

 ユリスとノエルはセアムに、その他の4人は馬に乗りカロスを目指した。

 カロスに向かう途中、村で一日を過ごす。

 母から上手く逃げられたのかあの後は追いかけられている気配は無い。

 ユリスは村の中で井戸から水を引き上げて村の人達の作業を手伝ったり家畜の餌やりなんかをした。

 そんな中、村ではこんな噂が流れていた。

 「聞きました? カロスのあの事件」

 「聞きましたよ、ほんとにひどい事をする人がいるものだわ。

 一家殺害に放火、通り魔。

 ほんと怖いわねー。

 マーレにカロス、最近そんな話ばっか。

 なんだか知らないけど捕まえて欲しい物よねえ」

 「こんな、噂もあるの。

 マーレから逃げた殺人鬼がカロスに移動したって」

 そんな噂を聞いた。

 …

 一行は一夜を村で過ごし、発ちカロスへと向かう。

 カロスは王都やマーレとは違い道が整備されていなかった。

 それだけではない家々も、まるでどんどん付け足し、付け足しで作られており、かなり入り組んでいる。

 門を通るといきなり家が立ち通行人たちは家々の間をなみなみに曲がりくねりながら歩いていく。

 「よし、まずは宿を決めよう。

 宿は同じにして、後は各自自由行動にする」

 ライエールがそう言いアーサーを見る。

 「構いませんよ。

  アルシーユの騎士と会う約束の日より早くついてしまいましたからね」

 アーサーがそう言ったのを確認するとライエールが先頭を行きユリス達を連れ、宿屋へと向かった。

 カロスの港町はこれまでの街とは違い音楽と踊りが多く見られる町だ。

 ユリスはフラメンコを踊っている女性を見て拍手し、リズムの早い音楽を奏でる音楽隊の演奏を耳で楽しんだ。

 港町ということもあり海には沢山の船が定着し。

 そこを漁師や船の船員、偉そうな服を着た貴族が紙とペンで何かメモっている。

 

 そうした光景を通り過ぎユリス達は太陽のマークが書かれた看板の前で止まった。

 そこは家に囲まれた場所で港は見えない。

 「ここでいいだろ」

 ライエールが中に入りユリス達も続く。

 一行はその宿に入りそれぞれ部屋を3部屋取ったフィオとライエール、アーサー達とノエル、そして最後にユリスが一部屋だ。

 「ユリス、さっそく港に行くか?」

 ノエルの問いにユリスは頷き荷物を置くと早速と、部屋を出てノエルを待った。

 「ノエル、遅いよ」

 「悪い、ちょっと荷物の整理をしててな」

 ノエルは旅の疲れがある様だったがユリスに付き合ってくれた。

 ノエルが居てくれると店の案内や説明をしてくれる。

 それに、ノエルの値切り交渉は見ていて面白い。

 「ノエル! こっちこっち!」

 ユリスは船が停泊している港へ一目散に向かった。

 船の停泊場は船に囲まれていて一隻一隻を見たり、乗組員達を見るのは面白かった。

 それぞれ違う都市、国から来たようで旗や船の作り、塗装が違う。

 中には十字架の旗に白い塗装の大きな船や剣のマークが入ったガレオン船が停泊していたりする。

 更に、乗っている人々は肌を隠した服をしている人や頭にターバンを巻く人、獣人に小人、初めて見る髭モジャモジャの人種もいる。

 ドワーフだ、絵本の知識だが、鍛冶の得意な種族で雪に覆われた大地にある巨大な火山の中に都市を作り暮らしているのだとか。

 ユリスは港を歩き回るとノエルと共に街の中へと向かう事にした。

 家は赤い屋根で、とても明るい印象を受ける。

 店にはこの街の名物の生ハムが吊り下げられ、それを肴にビールを交わす人達。

 「ノエル!この店に入ろ」

 ユリスが目に止めたのは海鮮パエリアの店だ。

 ここからはいい香りが漂ってくる。

 店に入り、食事を取っているとあの話しを聞いた。

 「聞いたか、あの殺人鬼、また死人が出たと」

 「ああ、夜な夜な、殺して回ってんだろ?

 夜は出歩かない方が良さそうだ」

 ユリスはそれを聞きピクリとした。

 ノエルもまた同じ様でユリスを見ている。

 「もし、その気なら俺も連れてけ」

 ノエルはユリスの考えを読んでいるらしく、話を飛ばしてそう言ってくる。

 確認できるかも知れない アイラが本当に死んでしまったのかどうかを。

 きっとノエルはユリスを止めれないと判断したのだろう。

 

 もう一つ、話が聞こえた。

 今度は明るい話題のようでそれを話す人達は楽しそうに話す。

 「これ食べたら闘牛を見に行こうぜ、なんでも、あのロワンが、どっかからか連れてきた巨大な暴れ牛を相手にするらしい」

 その話題を聞きユリスは興味を持った。

 「ノエル、闘牛ってどんなの?」

 ノエルは料理を頬張り飲み込んでから話し始める。

 「闘牛か、俺も見たことは無いが、ここ、カロスでは伝統的な行事らしい。

 なんでも牛の魔物と人が戦うんだとか。

 せっかくだ見に行こう」

 ユリスは頷きそれなら急ごうと慌てて食べ物を口に運んだ。

 「慌てなくていいぞ、まだ時間には余裕がある」

 …

 闘牛場は家々の立ち並ぶ中にありそこは地上から見下ろせる下に掘られた円上の闘技場のような場所だった。

 「おー、やってる」

 ユリスは柵に捕まり下を見下ろす。

 するとそこには赤と黒の服に赤いマントを着た男性が闘牛場中央でお辞儀をして観客を沸かせている所だった。

 「キャー、ロワン様ーー!!」

 「こっち向いてーー!!」

 花が闘牛場に次々と投げ込まれる。

 対するは扉から現れた巨大な牛の魔物。

 スノービークル。

 北国原産、飼いならされたものであれば雪上を移動する様にしつけられるが、野生ならば話は180度変わる。

 大人しい性格は消え去り、その体格を活かした突進は木々をも薙ぎ倒し突き進む。

 一度標的を決めれば諦めず突進を繰り返す。

 「スノービークル、しかもあの巨体、野生か…」

 ノエルは魔物を分析し頭の中にある知識から情報を引っ張り出す。

 闘牛はスノービークルが檻から出るや否や始まる。

 スノービークルの突進、ロワンは武器のレイピアを構えもせずマントをひらりと見せ、その突進を回転して躱した。

 「あれ、すごいね」

 ユリスがノエルに話しかける。

 ユリスの目から見てもその避け方は素晴らしかった。

 全く無駄が無くぎりぎりをふわりと躱す。

 その際、ロワンの顔には笑みさえ浮かんでいた。

 それを何度も繰り返し観客はその度に息を飲んだ。

 ロワンは結局一度もぶつからず美しくそれはまるで踊りのようにマントを翻し中を舞う。

 最後には檻の前に立ち突進を避け、スノービークルを檻に戻した。

 「ブラーーーボ!!」

 「ロワン、今日も最高の闘牛だった!」

 観客達は拍手しロワンに口笛や花を投げかける。

 港町カロス

 そこは、激しく、そして情熱溢れる港町

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