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WORLD 光ノ書  作者: PEN
48/53

ユリスの母

 「やめろユリス…。

 同胞を殺す気か?」

 ユリスはその聞き覚えのある声に反射的に言っていた。

 「母さん!?」

 ワオオオオン

 静まる街の中、屋根伝いに走る大きな黒い毛むくじゃらの影があった。

 セアムだ。

 セアムはユリスの匂いを嗅ぎ場所を見つけユリスを囲う人影に向かい牙を剥こうとした。

 「やめろ、セアム」

 フードを被った女性がそう言うとセアムはピタリと止まり今話した女性に進みよって頭を甘えるように差し出した。

 「いい子だ」

 女性はセアムの頭を撫でユリスを見る。

 「さて、言いたい事は山程あるがまずは一つ…。

 その耳は尖り、エルフで有るとノエルは分かった。

 女性…ユリスの母 

 スサナ・アラフェル

 スサナはユリスに近づき手を上げた。

 ユリスは目を閉じた…しかしスサナはユリスに頬を付け思いっきりに抱きしめた。

 「無事で良かった…」

 スサナの声は震え強く、強くユリスを抱きしめた。

 「お前が急に居なくなるから私は………必死で探したんだぞ……」

 スサナはそう言いしばらく抱きしめるとユリスから離れ肩を掴んで言った。

 「さあ、帰ろう。

 セアムもいる事だし、早いほうが良い」

 スサナはそう言うとユリスの肩から手を離し手を取ろうとした。

 しかしユリスは手を引っ込めて下を向き母と目を合わせない様にと努めた。

 「ユリス?」

 「まだ…帰りたくない」

 それを聞きスサナは優しく微笑み少し強く言った。

 「ユリス…貴方はまだ五十にも二十でさえも満たない子供でしょ?

 大人の言う事を聞きなさい。

 これは貴方の為を思って言っている事なの…。

 貴方はまだ知らないのかもしれないけど人間は残虐で誇りの欠片もない惨めで貴方には危険な人達…。

 私達エルフの同胞を森をどれ程、殺し、焼き尽くされたことか」

 スサナはそう言い聞かせるとノエルを見た。

 「そこの男も変わらないきっと貴方を利用しているに…」

 「俺は…」

 「ノエルは違う!!」

 ユリスは強くそうきっぱりと言い放った。

 「それに!他の人達だって違う!

 確かに………そんな酷い人もいるのかもしれない…」

 ユリスはアイラの事を思い言う。

 「でも!!それだけじゃない!

 私を家族と言ってくれる人達も居るし友達もいっぱい出来た!」

 ユリスはそう言うなりノエルの手を引きセアムに飛び乗らせ自分も乗った。

 「私は!、自分の意思で自分の見たもの、感じた物で決める!」

 「ユリス! 待ちなさい!」

 ユリスはスサナの静止を聞かずセアムで他のエルフ達を飛び越え走り出した。

 エルフ達がそれを追おうとしたがスサナがそれを止めた。

 「あの娘が無事なのは分かった。

 今日はそれだけで十分」

 スサナはそう言うと姿を消すようにエルフの人達はその場から立ち去った。

 …

 朝、ユリスはすぐさまこの街を離れようと荷物を纏め宿を後にしようとしていた。

 窓から見える朝の海…名残惜しいが旅立つ為に扉を閉め宿を出る。

 ユリスは昨日の夜、母から逃げた後、ノエルにアーサーの話をし、取り敢えず騎士国に向かおうと言う話で纏まった。

 アーサーの渡された紙には宿の名前が書かれている。

 ノエルにその紙を見せるとその場所を知っており朝一番にその宿へと向かった。

 セアムに乗り急いで出来るだけ見つからない様に進む。

 その途中キャラバンの人達と遭遇した。

 キャラバンは動きユリス達と同じようにパンテーロを旅立とうとしている様子だ。

 セアムで横につけ前方の動物ガラを操る場所に来るとフィアナとヘズそして団長のべスターが座っていた。

 「よお、ユリス。

 試合見たぜ、最高だった…まあお陰で大損こいたがな」

 フィアナはそう言い笑ってユリス達を見た。

 「フィアナも、旅に出るの?」

 ユリスがそう聞くとフィアナは笑いタバコをふかせた。

 「まあな、次はサハラを目指す。

 砂漠っていう砂の海があるとこさ」

 ユリスはそれを聞き目を輝かせた。

 「砂の海!?」

 「おうよ、そこでワルプレギスの夜っていう数年に一度行われる魔術会議があんだ」

 フィアナはそう言いユリスを見た。

 「どうだ? 来るか?」

 ユリスはこれに頷きかけた。

 しかしアーサーとの約束がある。

 「ごめん、私達、次は騎士国に行くって決めてるの」 

 フィアナはそれを聞き少し不安そうな顔をした。

 「そうか、騎士国か。

 私達も、お前の村を通る前に行ってた所だ。

 あそこは王が変わったばかりで少し荒れてる、止めはしないが気をつけろよ」

 そう言いフィアナ達は別の道を行くため別れた。

 …

 アーサーのいる宿につくとかなり古い建物でかなり中心から離れた場所にある宿だった。

 ユリスとノエルはその中に入りアーサーが居るか訪ねる。

 「アーサー?そんな人はいないね」

 帳簿を見ながら店の女性はそう言う。

 「そんなはずは無いのですが」

 ノエルはそう言いながら店の名前を確認していた。

 すると上から降りてくる音が聞こえ一人の騎士、ルーカンが上の階から降りてきた。

 「ユリスさん、よくぞおいでくださいました」

 ルーカンはそう言うとユリス達を連れ2階へと上がった

 アーサーの部屋に入るとアーサーとその他2人が部屋にいた。

 昨日エルフの追手をとめてくれた二人、ライエールとフィオだった。

 「おう、ユリス。

 昨日はうまいことエルフから逃げ切れたか?

 過保護な親だ、大切にしてやんな」

 フィオがそう言いアーサーはなんの話かと顔を訝しめる。

 「一体…なんの話を?」

 「気にするな、こちらの話だ」

 ライエールがそう言いアーサーの詮索を止めた

 「そうですか…まあ、いいでしょう。

 それで、ユリスさん来てくれたと言う事は私達と騎士国へ来て頂けると考えて宜しいですか?」

 「うん、でも今日ここを離れたいから私達だけでも先に行くつもり」

 アーサーはそれを聞き立ち上がった。

 「そうですか、ちょうど今、私達もその話をしていた所です。

 今日旅立とうかと。

 渡りに船とはまさにこの事。

 ライエールさん、いいですね?」

 ライエールはため息を付き頷いた。

 「では、行きましょう。

 民が待ってます」

 アーサーは何やら興奮し部屋の荷物を纏め始めた。

 「少し…質問を良いですか?」

 ノエルが部屋にいる全員を見渡しアーサーに聞いた。

 「貴方が騎士国のもと、王子であると聞きました。

 それで、騎士国を取り戻す為にユリスの力を貸してほしいと」

 アーサーは作業を止めノエルを見た。

 「あなたは…」

 「ノエル・バーキン。

 今ユリスと共に旅をしている者です」

 「なるほど、ノエルさんですか。

 ユリスさんが貴方の意見を聞きたいとおっしゃていた方ですね。

 はい、私は騎士国を取り戻す為にユリスさんに協力をお願いしました」

 ノエルは真面目な顔で言い放った。

 「無理です。

 確かにフィオさんにライエールさんユリスは強い。

 しかし、これだけの人数で国を相手取るなど…」

 その返答にはルーカンが答えた。

 「当然です、しかし我らには味方がいます。

 開放を望む民と忠義の厚かった騎士達。

 そしてアルシーユに訪れたのもただ闘技場で強い方をスカウトする為だけに来たのではありません。

 この国の国王とは交渉は決裂してしまいました」

 アーサーはそれを聞き少し何かに耐えるように目を閉じ作業を再開した。

 

 「しかし、その姫君であるアミーラ様との交渉は密かに成立しました。

 これにより、アルシーユ国の騎士の協力を得られました。

 これで私の見越しでは兵力は五分。

 いえ、こちらが上になる可能性も容易にあります」

 アーサーは荷づくりを終え全員を見た。

 「だが、味方を集める、説得する必要がある。

 その間、出来るだけ目につかぬ様、少数精鋭で僕を守って欲しい。

 だから僕は君達に声をかけた」

 この日ユリスとその場にいる一行は騎士国ブリテンに向け旅を始めた。

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