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WORLD 光ノ書  作者: PEN
44/53

アーサー戦

 太陽は昼を過ぎ傾きかけている。

 そんな中でも会場には熱が籠もり騒がしい観客達の声が空へと響き渡り、そこへユリスとアーサーは互いに剣を持ち中央へと向かい、向き合った。

 …

 『さあ! やってまいりました、本日も残すはあと2戦。

 どちらもイレギュラー同士の戦いとなっております。

 まず、方や無名の選手にしてA級冒険者を屠った挑戦者…

 カーター!』

 アーサーはどうやら偽名を使っているらしく違う名を呼ばれてもそれに答えて剣を掲げた。

 『そしてこちらも忘れてはいけません。

 朝、寝坊をし選手紹介を寝過ごし、

 C級冒険者にしてB級を一撃で倒す功績を上げた少女!

 今や、人気爆発中。

 猫探しユリスー!!』

 こちらの声援はアーサーのときとは違い名前を呼ぶ声援が会場を満たした。

 ノエルはこのユリスの声援に笑い、口を抑えながらゆりストアとその対戦者を見た。

 対戦者はフードを被っているのでどんな顔かは見えないが、先程の戦いから見るにアルバの用に一撃で終わらないだろうと考察する。

 「この勝負、どうなりますかね?」

 横にいるメリーが楽しそうに売っている、猫の形をしたパンを持ちながら言った。

 フィオは目を細くしローブを着た男を凝視する。

 「いい勝負になるんじゃないか?

 ただ…あのユリスの相手、何か力を隠している様な…そんな感じがする」

 フィオは意味有り気な事をいい再び観戦に興じた。

 …

 司会は終わり試合開始の合図が高らかと響いた。

 アーサーは剣を取らず、まず手を差し伸べユリスに握手を申し出た。

 「この決闘、素晴らしい物にしよう」

 アーサーは少し笑みを見せユリスに踏み寄る。

 ユリスもまたそれに応じ笑顔で握手を握った。

 「うん、いい戦いにしよう」

 握手が終わると両者は言い合わせたかのように後ろを振り向き数歩下がり剣を抜き振り向いた。

 お互いの剣は鞘がついた状態だ。

 しかし二人の間に張り詰める空気は重くそして繊細なもので、どちらかが動けばたやすく崩壊しより大きな熱気を産むだろう。

 「流石だユリスさん」

 先に動いたのはアーサーの方だった。

 アーサーは剣を前に構え地面を蹴り砂埃を舞わせ烈火の如くユリスに向かって走る。

 それに対しユリスはそれを見て即座に剣を下に向け風のごとく音を立てず走り出した。

 両者の間は即座に消え闘技場全体に大きなまるで破裂したかのような音が響き渡った。

 アーサーとぶつかり剣を交え、ユリスは苦笑いをした。

 剣が重い、その交えた剣は徐々に押され初め、ユリスは咄嗟の判断でアーサーの剣を流した。

 アーサーの剣はユリスの剣を滑りユリスの横を剣に誘導され滑っていく。

 ユリスは前へ踏み出し剣をアーサーへと横へ凪いだ。

 しかし攻撃は外れた。

 アーサーが攻撃が当たる直前に横へ転げ、回避したのだ。

 アーサーは一回転した後に地面に手を付き体制を立て直しユリスを見る。

 アーサーは笑い再び砂煙を残してユリス目掛けて剣を振るった。

 ユリスは動かず足に力を入れ剣を引き後ろに構えて身を沈めた。

 アーサーの下から薙ぐ攻撃に対しユリスはアーサーの力に負けぬよう力を込め剣を放つ。

 ユリスの剣は今度はアーサーの剣を弾き後方へとアーサーの腕ごと飛ばした。

 「貰った!」

 アーサーは重心が後ろへと崩れ無防備に見えた。

 しかしユリスの剣がアーサーに届く前に剣が上から振り下ろされユリスの剣を今度は逆に弾き返した。

 ユリスはその攻撃を受け後方へと飛びズサササーっと音を立て地面に二本の線を引き止まった。

 その重い一撃にユリスは驚いた。

 以前、戦った灰色のコボルト程の攻撃、しかし手はあの時ほど痛くはない。

 ユリスは再び剣を構え、今度はこちらの番とばかりに走り出し、剣を構え終えるアーサーに斬りかかった。

 ユリスの剣はアーサーの剣を再び弾き連続の斬りをアーサーに打ち込んだ。

 次々とくるユリスの連続の重い斬りにアーサーは一撃一撃を何とか弾き、アーサーの顔には汗が滲み出てきた。

 終わらぬ連撃にたまらず後退するが連撃はやまない。

 ユリスはこの時この試合を楽しいと思った。

 普段はあまり戦いなどは無い方がいいと思っているのだがこの試合に関しては死者も出ず何よりも相手が強い。

 この攻撃を放って剣で受け切られるのは母さん以来の事だ。

 家の前で小さかった時に教わっていた剣の訓練をユリスはこの戦いの中、思い出し懐かしく感じていた。

 アーサーは遂に壁に背中が付き顔に苦渋の顔が浮かんだ。

 攻撃はやまずこちらの体力が付き始めている。

 一体、彼女はどれ程の体力を有しているのか、早く空きのない重く鋭い斬撃、もしこれが真剣だったのなら、そう思うだけでも恐ろしい。

 

 アーサーは最後の力を振り絞りユリスの剣を大きく弾き、走って壁から離れた。

 アーサーが壁を離れ後ろを振り返るとユリスはもう眼前まで迫り次の攻撃を放とうとしている所だった。

 アーサーはそんな危機に対し反射的に剣の柄と鞘を掴み剣を鞘から引き抜こうとした。

 「なりません!!」

 闘技場内にルーカンの声が響きアーサーは一瞬、固まった。

 その一瞬でユリスは身を低くし、剣を突き刺す様にアーサーの首元に放ち、寸での所でピタリと止めた。

 アーサーのフードがユリスの風圧でパタパタと揺れる。

 アーサーが唾を飲みユリスを見ると苦笑いを浮かべそのまま固まった状態で…。

 「参った、降参だ…」

 アーサーはそう言いこの勝負の負けを認めた。

 

 ユリスはアーサーと共にユリスコールの中、手を振り闘技場をさった。

 闘技場の入り口にはルーカンが立ちアーサーを待っていた。

 「申し訳ありません、決闘の最中に横槍をさしてしまい」

 アーサーは首を振りルーカンを見た。

 「いや、僕が悪かった…ついユリスさんの威圧に恐れてしまった」

 ルーカンは騎士の敬礼、片膝を付きアーサーに頭を下げるのを止め立ち上がり鞘に収めた剣に触れた。

 「では次の試合がありますので」

 ルーカンがそう言い闘技場へと去って行く。

 アーサーはルーカンに振り向いた。

 「ルーカン、健闘を祈る」

 ルーカンは背を向けたまま話した。

 「騎士国、真の騎士の剣技、ご覧に入れましょう」

 

 ルーカンが入場すると同時に、その反対側からは黒ずくめが現れ闘技場は再び歓声に包まれた。

 

 ユリスはその場で立ち止まり次の対戦相手がどちらになるか、その場で見ようとした。

 「ユリスさん、少し良いかな?

 話したい事があるんだ」

 ユリスがアーサーを見るとフードを取りユリスの目を真剣に見つめるアーサーがそこに立っていた。

 ユリスはアーサーについて行くとアーサーの使用していた部屋につき、アーサーは扉を閉めると話を始める。

 「ユリスさん…頼みがあるんだ…」

 ユリスはアーサーが急に話し始めると弱気になったかのように思えた。

 「実は、僕達がこの大会に出場した理由は優勝や賞金が目当てじゃ無いんだ……」

 アーサーはうつ向き手を胸に当てて話す。

 ユリスはアーサーを見つめその様子に優しく、まるで母がそうしてくれた様に優しく胸に当てている手を取りしゃがんで俯いているアーサーの目を見て聞いた。

 「それで…頼みは何?」

 アーサーはそれを見て今、自分が気を使われている事に気づき歯噛みした。

 「すまない…気を使わせてしまった」

 アーサーはユリスの手を解き、椅子に向かい座った。

 「頼みというのは、我が国、騎士国を取り戻す戦に協力してくれないか!?

 僕と一緒に、騎士国に来てほしい」

 ユリスはその話を聞き少し考えた。

 「ノエルに聞いてみないと、何とも言えないけど…。

 でも私達、旅をしてるから一緒に行ってもいいと思うよ」

 ユリスはそう、脳天気に笑い言った。

 …

 夜、アーサーはユリスに紙を渡しルーカンを連れ、このコロシアムを去っていった。

  ルーカンはあの後ライエールとの戦いに敗北し、今や大部屋はユリス、ライオネル、ライエール、そして見知らぬ魔術師のみの4人となった。

 4人は大部屋に運ばれる食事を見ながらそれぞれ座っていた。

 「これ、食べ切れるかな?」

 ユリスは前方に座るライオネルに話しながら、こんがりと焼けたチキンの足を取り頬張った。

 食事はライオネルとユリスのみが喋り、次の準決勝、相手であるライエールは食事に手をつけず本棚で本を読み漁っていた。

 

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