ナバトの宴
ナバトの村は歓喜した。
ゴブリン達はキングを狩る事で統制を無くし、次々とギルド、ナバトの人達が討伐していった。
やがて緑の蠢く大地は霧散しいつもの美しい大地が姿を表した。
今ナバトではギルドが持ってきた食料やナバトにあった食料を持ち出し夜にはナバト村全体で喜びを分かち合い、死者を弔った。
紙で作られた灯籠ガ空へと飛び上がり死者の魂を見送る。
それはこの戦いで亡くなった者達、崩壊した村を含む弔いだ。
ユリスもまた作り方を教えてもらい不格好だが完成しそれを空へと自分の手で空へ上げた。
レイラの宿にも今まで来たことが無い数の人達が入り酒場にもこれでもかと人が押し合っていた。
ヌサルはその夜宴に参加せずにこの村を去ってしまったらしい。
ユリスは門に備えられた監視塔の上からそれを眺めた。
「おっ、ここにいたか!」
ユリスが横を見ると昼間ジェネラルを一撃で屠った褐色肌の女性がどうやって登ったのか底に立っていた。
「お前だろ! あのでかいのに一撃食らわしてやったのは」
女性は人懐っこくユリスの横に座りユリスの背を叩いた。
力が強く、痛い。
「名前はなんて言うんだ?
私は強い奴が好きでな、お前を気に入った!
私はフィオだフィオ・ビトリーク」
フィオは続けて次々と話す。
「ユリス、ユリス・アラフェル」
「ユリスか、いい名前だな。
ユリス、よろしくな」
ユリスはフィオの差し出された手を握った。
「んじゃ、私は連れがいるから」
そう言いはしごでは無くそのまま飛び降りようとして止まった。
「あっ、飛竜討伐の時は一緒に来い。
私はお前みたいな奴と仕事がしたいからな。
じゃあな」
フィオはそう言いユリスが有無を言う前に飛び降りて行ってしまった。
ユリスもしばらくしたあと門からおり騒がしい方へと足を進めた。
酒場ではフットが酔い騒ぎノエルがそれを抑えている、メドの家の中や外でも、怪我人達が騒ぎ食事を楽しんでいる。
宿ではレイラとセーラが慌ただしく厨房を行き来し忙しそうにしていた。
ユリスはそこに向かいレイラとセーラを手伝った。
…
朝にはそこら中に寝転げた人達が道端でもどこに行っても横たわる光景になった。
そんな人達を避け跨ぎユリスはノエルと共に門へと向かった。
「本当に良いのか?
別れ言わねえままで」
ユリスはそのノエルの言葉に頷いた。
「もう、皆にはここを旅立つと決めた時言ってあるからね。
それに、私…この村や人達が好きだから」
そう言いユリスとノエルはセアムの背に乗り都市マーレへと向かった。
平原を抜け川を伝い谷を超える林を抜け山を超える。
もうすっかり夜になろうかという頃にやっとマーレへとたどり着いた。
「フィアナ!」
キャラバンの外で焚き火をしていたベルナードが叫んだ。
「帰って来たみたいだぞ」
ユリスはセアムを止め何事かと降りてキャラバンに近づいた。
すると前から2両目、ユリスの横の扉が開きフィアナが現れ、キャラバンから飛び降りユリスを抱きしめた。
「たく、心配したぞ!
よく無事で戻ったな」
フィアナは笑い、ユリスの背をバンバンと叩く。
その日の夕食はキャラバンの人達からもらう事にした。
「おーそうだ、ノエル、ちょっと来い。
お前の注文通り、にしてやったぞ」
フィアナは三両目の扉を開けて見せた。
中にはハンモックが7つぶら下がっていた。
「ちと狭いけどな」
そしてフィアナは四両目の後ろの扉を開け見せた。
「おい、そこの犬っころ、ここに入ってみ」
セアムは言われた通り入って行き、ちょうどで入った。
「これで、明日にも旅立てるぜ」
ノエルは頷いた。
「それなら、話は早いほうが良いぜひ…」
「ちょっと待って」
ユリスがノエルの言葉を遮った。
「ごめん、私、飛竜討伐の手伝い、フィオさんにお願いされちゃった」
ノエルはその名前を聞き驚いた。
「あの、フィオ・ビトリークさん!?
あのS級、冒険者の!!」
「知ってるの?」
ユリスがそう聞くと当然だと頷く
「知ってるも何も、ここら辺の国いや、この大陸全土の人達が知ってる名さ」
ノエルはそう興奮して話したあと、それから行ったり来たりを繰り返しようやく立ち止まった。
「分かった、あと数日だけマーレに滞在しよう。
いいですか?、フィアナさん」
フィアナはため息をついた。
「まっ、私に任しときな」
それからユリスとノエルはキャラバンに泊めてもらう事にし旅の疲れをそこで癒やした。
…
翌日ギルドへ向かうと、どこからともなく現れたフィオが声を後ろからかけてきた。
「もう、マーレに着いたのか。
早いな、いつの間にあの村を出たんだ」
ユリスは振り向きフィオを見た。
するとそこにはもう一人黒ずくめで狐の仮面をつけた人が立っていた。
「フィオさん、おはようございます」
「ああ、こいつは…」
「ライエールだ」
黒ずくめの人の声でようやく性別が分かった。男性だ。
ユリスは差し出された手袋をした手を握った。
その時狐の仮面の奥でキラリと赤い瞳が見え、ユリスが見ているようにライエールもまた青い目を見ていた。
ノエルはフィオと言う名を聞き手を差し伸べた。
「ノ…ノエル・バーキンです」
その手をフィオは握った。
「ん?、お前も見た顔だな。
でけえ狼に乗ってゴブリンの軍勢の中で一人孤立してたやつだな」
フィオは笑い言った。
「決まりだ、今日の飛竜討伐お前も来い。
度胸があって気に入った!」
フィオはそう笑いながらギルドの中へと入っていった。
ノエルは握られた手を見つめ嬉しそうにしていた。
「おい、ノエル久しぶりだな、なに手なんか見つめてんだ」
声をかけた方を見ると一人のノエルと変わらない身長で金髪の男とその横にユリスと同じ背丈でブラウン髪の女性が立っていた。
ノエルは苦々しい顔になった
「アルバ…」
「なんだ、冒険者やめた訳じゃなかったんだなぁ。
お前みたいな弱い、C級にもなれん奴には無理だって言ったろ」
ノエルにアルバが近付こうとすると、そこに杖がその間に割り込んだ。
「ちょっと、久しぶりにあったって言うのにそれ!?
もう、アルバ いい加減にしてよ」
杖を持つ女性が入り二人の間に入った。
「メアリー、別に挨拶しただけだろ。
それにこいつが弱いのはお前だって良く知ってるだろ」
メアリーと呼ばれた女性は睨み、アルバに向かって言った。
「強いとか弱いとか知らないけど、あなたノエルが居なくなってから、無理に魔物の事も調べず戦って大変な目にあったの忘れたの!?」
アルバはひるんだが話を続けようとした。
「でも…」
「それに、私にノエルがやってた仕事を押し付けて、文句を言ってるのは誰!?」
アルバは段々と声が小さくなっていった。
「ごめんね、ノエル。
アルバは、ああ言ってるけど。
私達ノエルがパーティーから抜けて気づいたの。
私達のパーティーにあなたは欠かせないって。
もし、よかったら戻って来てくれない?…駄目かな?」
メアリーはアルバを押しのけノエルに向かい言った。
「今は、もう別のパーティーを組んでる」
ノエルはそう言いユリスを見た。
「ん?、なんだ、お前を仲間にするやつがいんのか」
アルバはユリスを見て呟いた。
「えっと」
「そうゆう事だ、ユリス行こう」
ノエルはそう言いアルバを無視してギルド内へと入っていった。




