悲劇
ユリスは数日間、休む事にしメイド姿で服を治す為に店を点々と歩き回っていた。
ノエルは伯爵の家へと向かいクエストの失敗を伝えに行った。
店の並びは様々で見ていて飽きない。この街の好きな所の一つだ。
布屋を見つけ入る、しかし布は売っているが修理はしてくれないらしい。
ユリスは先程からこれを何度か繰り返している。
「おっ、いやがったなユリス」
声の主はそういうや否やユリスの肩に手を回した。
フィアナだった。
フィアナはユリスの服を見て笑った。
「似合ってるじゃねえか、イメチェンか?」
「今、服がボロボロになっちゃって…だから借りてるの」
そう聞くやフィアナはユリスの背中をバンと叩き言った。
「なら、私に任せろ、良いとこを知ってるぜ」
フィアナはそういいユリスを連れて人がごった返す道を進んで行った。
途中ギルドの近くを通りかかると物凄い数の冒険者や道行く人で特に混んでいる。
「すごい人、何かあったのかな?」
「ん、ああ来るときに通ったがなんでもボーネとか言う野郎がなんでも亀見たいな魔物でタラスク?とか言ったかな。
そいつを倒したとかで盛り上がってるらしい。
B級に上がって報酬もたんまりなんだと」
ユリスは人だかりでよく見えなかったが確かにボーネの笑い声が聞こえた様な気がした。
二人は路地へと入り、居住地を抜け貧困地へと入っていった。
ユリスは来たことがある道だなと思いつつも進んでいく。
「おお、あんた、もしかしてあん時の」
「なんだ、おっさんユリスのファンかなんかか?
悪いがこっちは急いでんだあっち行った、行った」
フィオナが追い返し男は残念そうに去っていった。
それがなぜか三回も行われた。
「たく、ユリス、気おつけろよここの連中はあんまろくな奴らじゃ無いからな」
そして途中、アイラに出会った。
アイラはまるでいたずらをする前の様にコソコソと移動していた。
「アイラ、どこ行くの?」
ユリスが声をかけるとアイラはバレてないと思っていたらしくゆっくりと影から出てきた。
「えっと…内緒!!」
アイラはそう言うと走り出し商業地区の方へと走っていってしまった。
「なんだ? 知り合いか?」
フィアナはアイラとユリスを交互に見て言った、後また歩き出した。
そうしてフィアナは目的地についた様だった。
そこはやはりと言うべきか孤児院だった子供たちが二人を見るやいなや駆け寄り二人に飛びついてきた。
「ガキ共、元気にしてたか?
ほれ、土産だ」
フィアナはそう言うと腰袋から騎士の格好をした熊のぬいぐるみを取り出し子供達に上げた。
子供たちはまるで餌を与えたコイのようにそのぬいぐるみに群がった。
「おい、仲良くしろ。
順番だ順番」
フィアナは強く言い子供たちの取り合い合戦をまとめた。
フィアナとユリスは教会へと進みヘレナを見つけた。
「姉御、久しぶり。
ほい、土産」
フィアナは先程と同じように軽く細長い筒を渡した。
ヘレナはそれを受け取りユリスとフィアナを見比べどうゆう組み合わせかと難儀しているかのようだった。
「えっと、あなた達はお知り合いなの?」
フィアナは首をかしげ頷いた。
「そうだが、なんでだ?」
ヘレナはクスリと微笑んだ。
「まあ、世間とは案外狭いものですね」
ヘレナは私もユリスと知り合いだと告げた。フィアナは驚きそうかと笑った。
「んで、頼みがあるんだ。
知り合いなら話は早いユリスの服を直してやって欲しいんだ」
ユリスはヘレナに毒で溶けボロボロになった服を渡した。
「んー、これなら直せそうですけど。
ただ金属の肩や肘の部分は」
「それなら、問題ねーよ。
ベルナードのやつに任せる。
あいつもユリスに借りがあるからな、ただでやってくれんだろ」
そう言いフィアナは教会の椅子に座った。
その昼は教会で食べ、子供達と遊んだ。
昼食を終えフィアナはユリスを連れベルナードのもとへ向かった。
もうギルド前には人だかりは無くその代わり中でどんちゃん騒ぎをしているらしかった。
街を出るとあのキャラバンが置かれその横が開き店のように物を売っているのが見えた。
ベルナードは剣の修繕やそのまま剣を売っていたりと繁盛していた。
「おい、ベルナードいい感じじゃないか」
フィアナはキャラバンにもたれ掛かりベルナードを見た。
まるで金貸しが脅しを入れているようだった。
「なんだ、フィアナ。
今俺は稼ぎ時なんだ邪魔すんな」
「そっちこそなんだ。
人聞きの悪いことを」
フィアナは悪い笑みを浮かべベルナードに詰め寄った。
「これ、治せるよな?」
フィアナは二つの溶けて原形の無い金属を渡した。
「ん?、なんだこれ…ふむ…なるほど。
ああ、多少劣化するかもだが問題なく作れる」
「よし、それ作れ」
ベルナードは思いっ切り何かを言おうとしたがユリスに気づき止めた。
「なるほど…お前のじゃ無いなら、いいだろ」
ベルナードは二つの金属を棚の中にしまった。
フィアナは満足げに頷きユリスに手招きした。
「こい、私のとこも見せてやるよ」
フィアナはベルナードの馬車の部分を通り過ぎ二台目の馬車に向かって歩き馬車の横に付いている扉の下をいじり回転させ階段を出現させた。
「さあ、入んな」
フィアナの部屋は薄暗くキャンドルの証明のみで太陽の光を完全に遮断していた。
「私は、雑貨にそしてこれをやってる」
フイアナはユリスと机を挟んで座りカードを並べた。
「タロットカードだ。
今ならただで占ってやる」
ユリスはこれは面白そうだと思い座って占って貰うことにした。
「よし、ちょっと待てよ」
フィアナはタバコに火をつけ吸った。たちまち部屋の中はフィアナ特製のタバコの匂いに満ちた。
「さて、今日はどのデッキを選ぶか…。
うん、これがしっくりくるな」
フィアナはそう言うとカードの束を机に起き引き出しから銀のナイフを5本取り出した。
「ユリス、手をかせ。
さて、今回はどんな未来を見せてくれるか…」
ユリスの手を取りカードの束の上に載せさせる。
それが終わるとフィアナはカードの束を二つに分け慣れた手付きで扇状にカードを広げた。
「今、運命が幕を開ける!」
フィアナは両手に持っていた束を空中に放り投げカードの雨を振らせた。
そして銀のナイフを次々手に取り部屋にある壁や天井に投げて突き刺した。
フィアナは一本ずつ抜き意味を説明しだした
「まずはと、女教皇、裏に逆さかー、ふむ、まあ変な女に絡まれると望まぬ旅立ち。
力、あーこれは、また裏の逆さか。うんいずれ己の無力を呪う時が来るってとこか。
んで、吊るし人、正位置、犠牲をいずれ払う。
おいおい、死神しかも裏側の逆。
身近な者の死。
悪魔、正位置、気おつけろ。
おっやっと良さげなのが出たな世界、表だ。
最終的にはなんとかなんじゃね」
フィアナはそう言い終わるとタバコを吸い天井を見て言った。
「まとめると旅には危険が伴い死と犠牲を払い自らの無力を知りそれを超え旅立ち、まあなんだ…色々あって最終的にはそれが正解だったってとこかな。
終わりよければすべてよしだ」
フィアナは笑いユリスの肩を叩いた。
「なーに不安そうな顔してんだ。
所詮は占い予知とは違う。
都合のいいとこだけ取って思い込めば良いだけのことよ。
それに今の言ったこと全員が当てはまる道じゃねえか、それが人生ってもんだろ」
ユリスはそう言われ少し元気が出たような気がした。
「うん、そうだね」
ユリスはそう笑いキャラバンを離れた。
…
マーレの夜の街ボーネと四人は人気の無い道をちどり足で進んでいた。
「全く、こんなうまい話はねえよな。
あの魔物を俺達の手柄にしちまうってんだから、俺の才能が怖えよ」
男達は笑った。
「ちと小便」
「おう、そこら辺でしとけ。
なんてったって俺達はB級に上がる権利を持った冒険者なんだからよ」
また男達は笑い一人の男を置いて先に進んだ。
「ふぃーっぐあ」
男が壁に向かい立って居ると後から音も無く首を短刀で掻き切られた。
口に手を回された為、声を漏らすこともできず。
「おい、遅くねえか、あいつ」
ボーネが振り向き連れの男が来るであろう方角を見ると黒ずくめの人が立っていた。
「うおっ、なんだビビらせやがって。 B級、冒険者様と知っての…」
ボーネは次の言葉を言えなくなった。
ほんの一瞬で他の仲間が次々と自然に抵抗もできず殺されたからだ。
「馬鹿なっ」
とっさにボーネは逃げ出した。
やばい、なんかしらねえが、あいつはやべえ。
ボーネは走り続けここまでこれば大丈夫だろと振り返る。
そこには誰もおらず安心した。
しかしさっさと離れようと前方を見た時ボーネは首を切り裂かれ絶命した。




