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WORLD 光ノ書  作者: PEN
19/53

タラクス

 はぁ、ユリスは昨日の食事を思いサボナーの馬に揺られながらため息をついた。

 「どうしたんだ、ユリス」

 あの果物の盛り合わせに卵料理、肉に魚、野菜にそしてデザート。

 「少し昨日の事を思い出して」

 ノエルは確かにと頷き言った。

 「毒だな、普通の生活の中で急にあんな物を出されると、また食べたくなる」

 ユリスはそう聞いてもやはり忘れられなかった。

 ユリスは荷車に寝転がり空を見上げた。

 空は晴れ渡り、青い空が広がっている所々にある雲がゆっくりと移動して行く。

 「綺麗だなぁ」

 ノエルは笑い、馬を走らせる。

 「ねえノエル、人って空を飛べないの?」

 「さあ、そんな魔法があるのは聞いたことは無いな」

 「そっか、いつか空に飛んで世界を見れたら綺麗だと思うんだけど」

 そんな他愛もない会話を繰り返しながらも馬車は進んでいく。

 やがて目的地についた。

 そこは森の中にある畑でそこそこ大きかった。

 ユリスは降りて近くにいた男に話しかけた。

 「あのすみません、クローバ伯爵の依頼を受けてきました」

 男は鍬を置き汗を拭きながら近づいてきた。

 「ああ、あんたがユリスさんにノエルさんかい?」

 「はい、そうです」

 「そうかい、話は聞いてるよ荷物はあそこだ。

 私は他用があるから持ったらそのまま行ってくれ」

 男が指した場所は小さな倉庫だったユリスはその倉庫に向かい扉を開ける。

 そこは肥料が入った倉庫だった。

 その中に一つ箱がある。

 「こんなとこに食材を置いとくなんて」

 ユリスはその箱を持ちノエルの馬車に乗せた。

 ユリスは辺りを見渡したが男はいない。

 そのまま言われた通りにユリスが乗った事を確認したノエルは馬を走らせた。

 少しして大きな岩に囲まれた道に差し掛かるとノエルが首を傾げた。

 「そういえば、なんであの人は俺達が来ることを知ってたんだ?

 ただお礼をするのでは無く受け取りやすくしたのか…」

 ユリスはノエルの問に言葉を挟もうとした瞬間馬がいな鳴き突如、馬車が停止した。

 ユリスはとっさに馬車を掴みもう片方の手でノエルを捕まえ飛ばされないように抑えた。

 「どうしたの!?」

 「分からん!!、急に馬たちが止まった!」

 グゥラアアアア

 どこからか獣の声が響いた、見渡すが何もいない。

 「上!!」

 ノエルが上を見上げると大きな岩が落ちて来るのが見えた。

 「危ない!!」

 ノエルは馬の固定器具をすぐさま剣を引き抜いて外した。

 「何やってるの!!」

 ユリスがノエルの服を掴み思いっ切りに引っぱり岩から間一髪で救出した。

 馬はユリス達を置いて走り去り馬車の前方部分は落ちてきた岩によって潰された。

 「一体…なに!?」

 ノエルが起き上がり落ちてきた岩を見るとそれは大きな亀の甲羅だった。

 しかもそれが今、ぐらぐらと動き出している。

 「ノエル、下がって」

 ユリスがノエルの前に出る。

 「いや、待てあんなの見たことが無い、ここは一旦引いたほうがっ」

 次の瞬間亀の甲羅の中から火の玉が飛び出しそれが岩山に当たった瞬間大きな炸裂音が聞こえ後ろの道が落石で封じられた。

 「なんだ!?」

 落石の砂煙で視界が奪われ顔を庇う。

 砂煙が止まり亀の甲羅を見た時ユリスとノエルは驚いた。

 亀の中から虎の顔が現れ右と左に鱗の生えた三本ずつのあしそして後ろには以前見た飛竜の尾のような長い尻尾が生えていた。

 「ノエル、空きができたら逃げて!」

 「待て!、ユリス」

 ユリスは走り出し頭に斬りかかろうとした。

 斬りかかろうとした次の瞬間虎の口から紫色の液体が飛び出した。

 ユリスは余りの出来事に避けたが腕にその液体は直撃した。

 次の瞬間まるで腕そのものがえぐり取られたのでは無いかと思うほどの激痛がユリスを襲った。

 「ああああああああ!!」

 あまりの痛みに腕を抑え声を上げる。

 腕を見ると服はとけ紫色に染まった左腕がそこにあった。

 「ユリス!!」

 ノエルは毒が吐かれ飛び散った大地を見て驚愕した。

 木々や草花は腐り大地は煮えたぎるマグマの様に紫の液体がぶくぶくと膨らんでは破裂し紫色の煙を放っている。

 こんな毒は見た事も聞いたことも無い。

 ノエルはカバンを地面に放りまずは痛みで動けないユリスを魔物の攻撃範囲から逃がそうと近寄ろうとした。

 次の瞬間、魔物の尾が空を切り馬車を軽々と粉砕しユリス目掛け直撃した。

 「がぁっ」

 ユリスは石壁に叩きつけられ力なくズルズルと地面に落ちた。

 「嘘だろ」

 ノエルは震える剣を握り。

 「俺しかいないんだ、逃げる訳にはいかない」

 おのれを鼓舞しなんとか逃げないように抑えつけ魔物と対峙した。

 「考えろ、今俺に出来ること」

 とにかく、俺にはこいつは倒せない、なら、ユリスが息を吹き返すまでの時間稼ぎが正解答。

 奴の攻撃は尾と毒、そして謎の火の玉、ノエルはそれを頭の中で繰り返し尻尾の範囲に入らぬように間合いを開ける。

 そしてユリスに興味が移らぬように近すぎず遠すぎずの距離を保った。

 しかしノエルの時間稼ぎもあまり長くは続かない。

 魔物が毒を吐いた、それをなんとかノエルは躱す。

 何度かそれを繰り返す事に成功する。しかしノエルは気づいた。

 毒により退路が立たれて行っている。もう残された時間も無いだろう。

 ユリスは意識を取り戻しつつあった。

 頭の中で誰かの声が聞こえてくる。

 『立て、立つんだユリス』

 その声は幼く泡のように消えた。

 ユリスは無意識に首にかけたネックレスの先についた装飾を握り締め。

 立ち上がった。

 不思議と腕の痛みが薄れ力が湧き上がる。

 「ノエル」

 ユリスは再び走り出した。

 しかし魔物はそれに気づいたようで尻尾を鞭のように操りユリスを近づけさせない。

 魔物はノエルよりもユリスを本能的に驚異と思ったらしくユリスに向きを変えた。

 何度か攻撃を加えようとするが、狙える場所が亀の甲羅のせいで足か尻尾もしくは顔なのだが強靭な鱗そして尻尾がそうはさせてくれない。

 「手出しできない」

 残された虎の顔も近づけば先程のように吐き出す毒に尻尾に遮られる。

 ノエルはその状況を見て考えを巡らせる。

 「そうか」

 ノエルは近くに転がっていた木箱を見やった。

 依頼されていた木箱。

 ノエルは走りそれを掴んだ。

 「ユリスー!!」

 ノエルはその木箱を魔物へと力のある限り投げつけた。

 魔物は尻尾でたやすく弾き壊した。

 中からは白い粉が飛び散り木箱は粉砕した。

 ユリスはその空きを見逃さず斬りかかろうと走り近づいた。

 しかし魔物は口を広げ火の玉を放った。

 それを見を低くし躱す。

 次には紫の液体が口から放たれた。

 それを飛び上がって躱し魔物の頭上へと舞出た。

 「はああああああああああ」

 ユリスは渾身の力で魔物の頭部を刺し、その剣を力のまま横に引き抜き首を切断した。

 「やった…あ…れ…」

 ユリスは魔物の甲羅の上で歓喜の声を上げようとした、が…いきなり意識が飛び力が抜け地面に崩れ落ちた。

 ノエルは息を飲みすぐさまユリスのもとへと駆けつけ息を確かめた。

 息はしているが、弱い。

 ノエルは急いでユリスを引きずり魔物から流れ出ている毒から離れさせ自分のバックのある場所まで引きずって行った。

 「ユリス、意識をしっかりもて」

 ノエルは取り乱していた。

 毒が腕だけじゃなく顔にも来ている。ノエルはユリスの服を捲り確認した間違いない毒が広がり侵食している

 こんな毒一体どの薬草がきくのか。

 「クソ…クソっ」

 ノエルはバックの中身をかき混ぜこれでも無いと探す。

 ノエルはその中で紐を手に取った。

 毒が広がっている。自分ではどうにも出来ないと判断しユリスの腕に紐を強く巻き付けた。

 「これで少しは…」

 ノエルは手を口に当て口笛を吹いた。

 ピュイーという高い音は遠くまで響き渡り。

 少しするとリズムの良い足音が近づいて来るのを聴いた。

 二頭の馬が戻って来たのだ。

 ノエルはすぐさま自分の荷物とユリスの剣や荷物をくくりつけ尻を叩き走らせた。

 「サボナーさんのもとまで行ってくれ!」

 ノエルは手際よく次にユリスを馬に乗せ自分も跨りユリスと自分の体を紐で結ぶと物凄いスピードで馬を走らせその場を後にした。

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