招集
ユリスが教会を出ると子供たちに押し倒されるノエルを見た。
「おせー」
「倒せー」
「怒ったぞ、逃げろー」
子供たちの元気な姿にユリスは笑いノエルに近づいて手を差し伸べた。
「猫、見つけたよ」
…
ユリスとノエルは教会の中でヘレナそしてアイラと話し合い一緒にクローバ邸に向かうと決めた。
「そういえばユリスさん、これをどうぞ」
ヘレナはそう言い机の下から剣を取り出し渡した。
「とてもいい剣ですね」
ユリスは頷きそっと腰の鞘に戻した。
「昨日の夜に無くしたと思ってました、どこでこれを」
「ユリスさんが教会の仕事を手伝って下さっている間に。
少しつてを頼りまして」
ヘレナはそう笑みを浮かべた。
…
四人の一行はピンクの猫を連れ街の中央にある豪邸に訪れた。
進み門の前に止まる。
以前はユリスが扉を叩くとメイドのソフィアと言う女性が出てきたが次は違った。
バンと力強く扉が開き中からクローバ夫人が現れ目を走らせアイラが抱いているピンクの猫に止まった。
「まあ、ピーチちゃーん」
夫人は目に涙を浮かべ、アイラのもとまで近寄った。
アイラは警戒していたが、夫人に悪意わ無くただ再会に泣いているのだと知ると猫を下ろした。
猫はニャーと鳴き夫人のもとへと歩いていく。
「ばいばい」
アイラは寂しそうに手を振った。
夫人もまたその光景を見て思う所があったらしい夫人は猫では無くアイラを抱きしめた。
「あなたが私のピーチちゃんを大切に守ってくれていたのね。
ささ、こんな場所に居ないで中に入って」
アイラとヘレナはそれに続きユリスも行こうとしたがノエルが腕を掴みそれを止めた。
「クローバ夫人、そのお誘いはありがたいのですが、今日ギルドから招集願が来ておりまして」
「あらまあ、そうなの?
仕方ないわね、そうゆう事なら」
夫人は残念そうに言いノエルの渡した依頼書にサインした。
「それじゃあ、いつ来てもあなた達なら歓迎よ命の恩人ですもの」
そう言い夫人は扉をソフィアに締めさせる。
ユリスはその時、何か嫌な感覚が体を走った。
「なに!?」
ユリスはあたりを見渡すが何もない、しばらくして気のせいかと、戸惑うノエルをおいて館を後にした。
…
ギルド内はいつもよりも人が沢山おり席が無いそれどころか立つ場所も空いていなさそうに見える。
ユリスとノエルはなんとか押し分けて入り空いている場所を確保する事に成功した。
ギルド無いがざわつき全員が何事かと話し合っている。
しばらくすると、受付嬢のルアが現れギルド内の高い場所いつもは吟遊詩人などが物語や歌を歌っている場所に登り皆を見た。
ルナはと見渡したが何処にも見当たらない。
ルアは静かになるのを待ち、話し始めた。
「皆さん、今日集まってもらったのは他でもありません。
魔物の被害が多発している件についてです。
お気づきの方も多いでしょうが飛竜がこの地に姿を表し、それに続き北国に生息している、ゲシュライと呼ばれる、中獣型の魔物も発見報告が上がっています。
それにより生態系は崩れ新しく再構築されようとしています。
なぜ飛竜がこの地に来たのかはまだ調査中ですが魔物が住処を追われ人々の領域に踏み入れている事は変わりません。
そこでギルドは飛竜を倒す事を決定いたしました」
この話に冒険者達は騒ぎ出した。
「飛竜を倒せるやつなんていんのか?」
「この数なら行けるか?」
「馬鹿か、A級だぞそれも未知数レベルだ、話にならん」
ルアは、手を上げ声を張り言った。
「そこでですが報告があります。
我々ギルドはS級冒険者を招集する事に成功しました」
この発表に周りは驚く反応を見せた。騒ぐ者、興奮する者、話し合う者
、叫ぶ者、反応様々だ。
これにユリスは驚いた、これ程の人が歓声を上げている。一体、S級とはなんだろうか。 ユリスはノエルを見たノエルも皆と同じで興奮しているようでソワソワとしているのが分かる。
「それで、皆さんには、飛竜以外の魔物を討伐してください。
今から対象となる魔物を倒すクエストは賞金が依頼者に加えギルド側からも出します」
更に歓声は大きくなりギルド中に響いた。
…
ユリスとノエルはその後、台から降りた、ルアの場所に行き、猫の依頼書を渡した。
「ルアさん、ルナさんはどうしたんですか?」
ユリスが聞いたが、ルアは淡々と仕事を受理し、二ガロンと五エルクを渡した。
「ルナは今…ギルドの仕事の為、この街を離れています」
そう言い奥の部屋へと行ってしまった。
ユリスとノエルはその場で貰った報酬を腰袋に入れ、クエストボードを見た。
クエストボードには物凄い人だかりが出来ており、近づく事さえ難しそうだ。
「おら、どけC級冒険者様が通るぞ」
ボーネが他の冒険者を力ずくで引き剥がしながらクエストボードに近づき貼ってある紙を引きちぎる。
「おい、ボーネ取れたか?」
「おう、ゲシュライだ間違いねえ」
いつもはそこらへんで酒を飲みダラダラしている連中が集まりボーネの依頼を囲んで見ている。
ユリスとノエルは人が空いた後に悠々と近づきクエストボードを見た。
そこにはボーナス付きの依頼は無く、いつもの猫探しや配達の依頼しか残っていなかった。
「また、猫探すか」
ノエルが、ため息を付き言った。
「あのっ、良かったら一緒に行きませんか?」
振り向くとユリスと同い年くらいの男女がユリスとノエルに話しかけて来た。
「この依頼を受けようと思ったんですけど私達、いつもは配達の依頼をしてまして…その、討伐依頼は…初めてなんです」
依頼 シュープの討伐
報酬 一匹、五エルク
ノエルは紙を覗き込むと笑い続けた。
「そのシュープ討伐の依頼なら多分俺達がいなくても、できると思うぞ。
いやでも人が多い方が狩りやすい上効率もいいか…」
ノエルは顎に手を起き少しすると二人を見た。
「分かった、その依頼協力しよう。
よろしく頼む」
男女二人は顔を見合わせ安心したように笑った。
「はい、こちらこそ、よろしくお願いします。
私がシャール、そしてこっちがボルカです」
「どうも、よろしくお願いします」
ボルカが、おずおずと頭を下げる。
「私達は…」
ユリスが話そうとしたらシャールが遮った。
「知ってます、猫探しのユリスさんとノエルさんですよね」
ユリスは微笑み手を差し伸べた。
「うん、よろしく」
ノエルはあまり良く思っていないようでしかめっ面になった。
それにシャールは慌てて訂正した。
「あっあの違うんです、猫探しを別に馬鹿にしてるとかじゃ無くて、私達尊敬してるんです。
私達もやった事はあるんですが、あんな毎日二、三枚の依頼書をこなすなんて普通はできませんよ」
その言葉にボルカも頷き二人を見た。
ノエルはそれに納得したようでまた普通の顔に戻りシャールとボルカに握手をした。
話が終わると早速行こうとギルドを出ようとすると十人程の集団がユリス達の前にいたシャールとボルカを押しのけ出ていった。
「すまねえな、F級の有象無象ども、あいにく俺達、C級はゲシュライ討伐に向かうため忙しくてな」
ボーネ率いる十人のC級冒険者達は笑いギルドを出ていった。
「ほんと、やな奴ら」
シャールが舌を出し言った。
「ほっとけ、あーゆう奴らは関わるだけ無駄だ、一生治らん」
ノエルはそう言いながらもC級冒険者の後ろ姿を睨んでいた。




