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ライトノベルじゃダメですか?  作者: 東雲もなか
夏休み編
98/216

97話 ビーチバレーじゃダメですか?

 ちょうど僕たちがスイカを食べ終わったころ、1人の老人がやってきた。


 皆越先輩がじーやと呼んでいた人だ。


「ああ、すまないね。ありがとう」


 先輩に何か渡したかと思えば、じーやはまたどこかへ行ってしまった。


「先輩何もらったんですか?」


 気になったので当然聞いてみる。


「これか?これはほら、」


 先輩はそう言うと手に持っていた物体に、口を付けて息を送り込んだ。


 すると、その物体はみるみる膨らみやがて球状になった。


 赤や黄色、青などビビットな色合いをしたビーチボールだ。


「スイカを食べている間に取りに行ってもらってたんだ」


 先輩はそのボールを僕の方へトスしてきた。


 僕は慌てて受け止める。


「ダメじゃないか。手で持つのは反則だぞ」


「いや、そんなこと言っても……」


 突然投げてこられたら普通持ってしまうだろう。


 一般人にそんなアスリート並みの反射神経を求められても酷というものだ。


「まあいい。これでビーチバーレーできるな」


 皆越先輩は嬉々として立ち上がる。


 他の2人も意外とやり気のようでストレッチを始めていた。


 仕方なく僕は、砂浜に線を引き簡易的なコートを作る。


 ポールはそこら辺にあった棒を、網はタオルをつなげてその棒に結び付けておいた。



「さて、チームわけだが……私と瑠璃君。泰君と弥久でどうだ」


 どうだと聞いたというのに意見を求める気はないらしく、さっさと自分のコートへ向かう。


「私は泰と一緒が良かったんですがっ」


 さっそく反論したのは瑠璃だった。


「何?泰君と一緒が良かったのか。でもそれだと彼の顔が正面から見えないが本当に良いのか?泰君が一生懸命頑張るのきっとカッコいいと思うけどなー」


「皆越先輩そこまで私のことを考えてくれていたんですね。一生ついていきます」


 瑠璃が、皆越先輩の手下になった。


 そもそも瑠璃のことなんて一切考えてないだろう。


 反対のコートに移動するより、瑠璃を丸め込んだ方が楽だと判断しただけだと思う。


 先輩はそういう人だ。


 僕もコートに入りいよいよ始めようとする。


「私何も言ってないんだけど」


 それに不満を持った弥久先輩が口を出す。


「部長命令だ」


 適当な理由をつけられ、反論することが馬鹿らしく思えたのか先輩は素直に僕と同じコートに入ってきた。


 そして、試合は始まった。


 男は自分1人。


 この勝負はこちら側が圧倒的有利なはずだ。


 それに先輩2人は同じくらい運動できそうだが、問題は敵チームの瑠璃だ。


 これで負けたとしたら、僕は瑠璃より運動音痴ということになりかねない。


 つまり負けるはずのないゲームなのだ。


 僕は圧倒的勝利をつかみ取るために勝負に意気込んだ。

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