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ライトノベルじゃダメですか?  作者: 東雲もなか
夏休み編
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96話 スイカ割じゃダメですか?

 しっかりと休憩した後、ようやくパラソルから出る。


 さっきまで日陰にいたせいか、余計熱く感じる。


「暑い……」


「そりゃ何も着ないで日にあたってたら暑いでしょ……」


 そういう弥久先輩は、水着の上からパーカーを羽織っている。


「サービス精神のないやつめ。読者のことを考えろ」


「あ”?」


「なんでも無いです」


 僕は泳ぎは得意だが、しっかり浮き輪を持って海に入りに行った。


 パンクさせられないようにそこら辺にあった救難用のオレンジのやつを。これなら、プラスティックで出来てるので割れない限り沈まないだろう。


「そんなに心配しなくても、私何もしないわよ……」


 とは言っているが信用できない。



 しばらく浮き輪に座る形でプカプカと浮いていた。


 瑠璃と弥久先輩も何故か一緒だ。



 海だと言うのにガッツリ泳いでいた皆越先輩も気がつけば隣で仰向けになって浮いていた。



「海って何すれば良いんだ」


 僕は唐突につぶやく。


「私は海が初めてなので分かりません」


 瑠璃はそうだろうと思う。


「……2人で私の方を見ないでよ」


 そうすれば、自然と皆越先輩に視線が移る。


「ん?私か?ああ、なんか頼られているみたいで気持ちいい……」


  あ……なんか面倒くさそう……


「いや、やっぱり何でもないです」


「そう言わずに、」


 皆越先輩は何処からとなくスマホを取り出す。


 本当にどこから取り出したんだよ!


 まあ良い。気にしたら負けな気がしてきた。



「ふむふむ。なるほど、スイカ割とかビーチバレーするのか。なんか最近読んだラノベでも似たようなことやってたな」


「先輩はすぐそっちの方に話を持っていきますね。まあ良いですけど。にしても、スイカもボールもなくないですか?」


「スイカなら向こうのクーラーボックスに入ってるぞ。ボールも確かそっちに」


「じゃあ戻りますか」


「そうだな」


 僕たちは浮き輪で浮いていた浅瀬から上がり、元居たパラソルの方へと戻る。


 さっきは意識していなかったが、大きなクーラーボックスが確かにある。


 中には、これまた大きなスイカが入っていた。



 皆越先輩はといえば、隣のカバンを漁っている。


「あ、しまった」


「どうしたの」


「うーん、ボールを忘れてしまったみたいでな。どうするか……じいやは今席を外してるし」


 来た時に居た謎の老人は、じいやだったのかよ!


 徘徊してるおじいちゃんかと思ったよ。


 危うく通報しちゃうとこだったよ。


 何で、あんなにラフな格好していたの。


 アロハシャツとかならまだわかるよ。


 砂浜に背広はあわないからね。


 でも、何で地味な色の半そでにステテコなんだよ。絶対TPO間違えてるよ。


 と脳内ツッコミをしている間にも話は進んでいたようで、


「よし、というわけでスイカを使ってビーチバレーをするぞ」


『いぇーい』


「そんな事したらスイカ割する前に割れますよね……」


「確かにそうだな。うっかりしちゃってた!てへぺろ☆(・ω<)」


「(くっ、なまじかわいいだけに腹が立つ)」


「そもそも何で弥久先輩までボケてんですか」


「ついうっかり、てへぺろ☆(・ω<)」


「先輩ふざけてるんですか?」


「え?私はダメなの?」


「さて、スイカ割だけでもするか」


「何で私はダメなの?」


 先輩は無視してスイカ割の準備を始めた。



 まずはスイカをセットする。


 セットなどと大げさに言ったが、要は置いただけだ。


「目隠しは……このタオルで良いか」


 そう言えば肝心なものを忘れていた。


 スイカを割るための棒だ。


 何かちょうどよさげなものが無いか辺りを見渡してみる。


 しかし浜辺はきれいに整備されていて手ごろな棒は落ちてなかっ、あった……


 今置きましたと言うようにポツンと不自然に砂浜の上に落ちている……


 その見た目は、全身黒で固めたどこかの剣士が持ってそうな見た目をしている。


 僕はかすかすの口笛を吹いている皆越先輩に話しかける。


「これエリュシデータですよね」


 普通スイカ割だったとしたら、木の棒とかだろう。


 せめて木刀が良いところだ。


「甘いな、これはエリュシデータじゃない。夜空の剣だ」


「一緒ですよ!」


「違うだろ。全く別物だ。ちゃんと本物といっしょで木でできてるんだぞ」


「木刀なら良いとかそういう問題じゃないです。これだとスイカ割じゃなくて、スイカ切になってしまうでしょ!」


「ちゃんと切り分けられて良いじゃないか」


「スターバースト・ストリームなんてしたらスイカが粉々になりますよ」


「そう言わずに泰君ちゃちゃっと、スタバって下さいよ~」


「何ですかその意識高そうな言い方は」


「まあ、ちゃんと木刀も用意してるんだけどな」


 そうやって木刀を取り出す先輩。


 あるなら最初からそうしてほしい。


「はぁ……貸してください。やりますよ」


 木刀を受け取る。


 柄を見てみると洞爺湖と書かれていたが、自分に突っ込んだら負けだと言い聞かせた。

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