87話 水族館デートはダメですか?
瑠璃からデートの詳細を載せたLINEが送られて来るのにそれほど時間はかからなかった。
内容といえば、水族館に行くというありふれたものだった。
日付は、今週の日曜日だった。
それまでは時に何事もなく、ついに当日がやってきた。
その日の朝、目覚めると目の前に瑠璃がいた。
「おはようございます!調子はどうですか?」
「何してるの?」
「朝ごはんできてますよ。早く着替えて、降りてきてくださいね」
僕の質問を無視してそれだけ一方的に伝えると1階へ降りていってしまった。
ふとベッドのすぐ下を見ると何故か僕の着替えがきれいに畳んで置かれていた。
「あいつ、さては勝手にタンス開けやがったな……」
瑠璃には後で文句の1つや2つ言ってやるとして、とりあえず出さてていたそれに着替え洗面所を経由してリビングへ向かった。
リビングへ向かうとベーコンエッグやトーストなど、カフェで出てきそうな朝食が並んでいた。
「あら、泰おはよ。あのね、瑠璃ちゃんが朝食作るの手伝ってくれたのよ。瑠璃ちゃんね、ほんともう、気が効くのよ。あんたとは大違いね。こんな子がお嫁さんに来てくれたら助かるわ」
どうやら母親の好感度をガッツリ稼いでいたようだった。
「泰さん、おはようございます。ご朝食できていますわよ」
瑠璃は普段絶対にしない話し方をしている。
僕からすれば、猫をかぶっているのはバレバレだ。
というか、母も姉も気づいてないのか気づいていてやっているのか……
この先のことに頭を抱えながら、トーストをかじる。
焼き加減が絶妙で、なんというかまあ、美味しかった。
朝食を取り終えた僕たち2人は、早速家を後にした。
向かった先はもちろん水族館。
特に大きくも小さくもなく、ましてやそれほど有名でもない普通の地元の水族館だ。
近くにあるということもあり、何度かは訪れたこともある。
しかしここ最近はめっきりこういう施設には行かなくなったのだが。
なので久しぶりで少し楽しみにしていたのは秘密だ。
バレたら瑠璃になんと言われるか分かったものではない。
しばらく歩きそこからバスにのる。
10数分揺られると、特徴的な屋根のいかにも水族館という建物にたどり着いた。
「やっと付きましたね」
「そうだな」
僕はそっけなく答える。
「ささ、早く行きますよ」
入場ゲートへ駆け出す瑠璃はまるで子供だ。
僕も慌ててそれを追いかけた。




