80話 混沌なカオスじゃダメですか?
2周目に突入した。1文小説。
順番は再び皆越先輩に回ってきていた。
多少考えはしたもののすぐに書き終えて次の瑠璃に渡す。
瑠璃はさすがと言うべきか何と言うべきか、受け取ってすぐに書き終えて僕に渡してきた。
普段は結構堅めの良い小説を書くのだが、今回ばかりは前科があるため信用できない。
うまく軌道修正されていれば良いなと、淡い期待を込めてみんなが書いた文章に目を落とす。
弥久【気がつけば、私は見慣れた自室の天井を見つめていた。】
ここにきての夢落ちは何だか美しくないが、それでも僕に人のことを言える資格はない。
何はともあれ、これで一応軌道修正はできた。と思いたい……
皆越【そうか、さっきのは夢だったのか。】
皆越先輩は、与えられた作業をこなす。
そして次は問題の瑠璃の番だ。
瑠璃【ベッドから起き上がろうとして、不思議に思う】
ちょっと待て。
この文章だと、不思議に思うようなことを僕が書かないといけないじゃないか。
つまり必然的に不自然な展開が望まれるのだ。
100歩譲って、自分の手で壊すなら許そう。
まあ許せはしないのだが、それでもまだ良い方だ。
しかしだ。今回のこれは僕に罪を犯すように誘導してるじゃないか。
これだと修正も難しい。
僕は考えることを放棄した。
泰【体が思うように動かす事ができず、おまけに目の前に光り輝く超絶美少女が浮遊していた】
やるからには徹底的に。
これが僕のモットーだ。
嘘です。今考えました。
僕はやけくそで殴り書いた小説らしき何かを弥久先輩に叩きつける。
先輩が睨む気力も失って、もはや引きつった笑みを浮かべているのは些細な問題だろう。
話がすでに破綻しているので、これから先を考えるのは難しいだろうなと考えていたのだが、案外早く書き終えると皆越先輩に渡していた。
皆越先輩に関しては受け取ってすぐに書き、瑠璃に渡す。
瑠璃も皆越先輩と同じように受け取ってすぐに書き、僕に渡してきた。
弥久【ぎぶあっぷ】
皆越【すまない私もだ】
瑠璃【あーあ、泰のせいで終わったちゃったじゃないですか。責任とってくださいねっ!】
「お前のせいじゃい!!」
僕は柄にもなく、半分ほど文字で埋まったA4用紙を握り潰す。
ゼーゼーと荒れ息を整えように深呼吸をすると、多少は冷静になってきた。
「ふぅー、まあ、方向性を決めずに始めたのが難しかったのかもしれませんね。明らかな戦犯もいましたが」
「誰のことですか?あっ、泰のことですね。」
落ち着け、熱くなるな僕。
堪忍袋の尾はすでに切れているんだ。もうなにも恐れることなんてないじゃないか。
「確かに、目指す場所があった方が良いかもしれないわね」
「それなら私、探偵者が良いですぅ〜」
こいつ……と一瞬思ったのだが、本人がそう言っているのでシナリオブレイクしてくる恐れは少なくなるだろう。
なくなる言えないのが悲しい事実だが……
そう言うことで、テーマを決めて1文小説がもう一度幕開けした。




