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ライトノベルじゃダメですか?  作者: 東雲もなか
始まりの文芸部
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7話 デートと呼んじゃダメですか?

 買い出し当日。待ち合わせ場所である駅へ1時間前に到着していた。天気は青空が広がり、気温は暑くも寒くもない過ごしやすい日だった。

「(今気づいたけど、これってデートと言うのでは!?)」

 雪本泰(ゆきもとゆたか)は今、上がっていた。1分間に3度はスマホの時計を見るほどに。

「(さすがに早く来すぎたかな……)」

「泰くんっ!」

 可憐でありながらも元気さのある声で自分の名前が呼ばれる。

皆越(みなこし)先輩!」

 振り向けばそこに彼女がいた。

 淡いピンクのフレアスカートに白を基調としたシャツ。長く綺麗な黒髪は、いつもと違い後ろで結ばれていた。

 先輩の普段とは違ったまぶしさに思わず視線をそらしてしまう。

「どうかな?ちょっと頑張ってみたんだ」

「いいと思いますよ」

 僕の答えに「むぅ」と頬を膨らます先輩。

「なら何で見てくれないのかな?」

 そうしてうつむく僕の視線に下から無理やり入り込んできた。身長の高い先輩は普段同じ目線だが、今は見上げられる形となっている。その違う角度から見た先輩に、顔が熱くなるのを抑えられなかった。

「泰君、照れてるのかな(笑)」

 先輩はからかうような口調でにやける。

「べっ、別に照れてなんかないですよ!」

 僕はそう反応するのが精一杯だった。幸い先輩はこれで満足してくれたみたいで。「さあ、行こうか」と言うと歩き出していた。



 今日は本日発売の本を買うために来たということ以外ほとんど知らされていなかった。まさか目的の品を手に入れてそれで終わりという事でもないだろう。

「先輩、今日ってどんな予定ですか?あれ、先輩?」

 気が付くとさっきまで隣を歩いていたはずの皆越先輩はそこにはいなかった。あたりを見渡せば数メートル後ろに立ち止まっていた。どうやら道沿いのお店をのぞき込んでいるようだ。


「どうしたんですか先輩?」

 近づいて声をかける。先輩が見ていたのはどうやら、ふくろうカフェのようだ。

「……じゅる、いけないよだれが。あれ、泰君どうしたんだい」

 垂れたよだれを拭きながらこちらに向き直る先輩。

「ふくろう好きなんですか?」

「いやー、別に……そんなことないよ」

「(好きならそうと、素直に言えばいいのに……)」

 僕はため息をつく。

 先輩は名残惜しそうにもう1度中のふくろうを目に焼き付けさっきまで進んでいた方向を向いた。

「よし、行くぞ泰君」

「僕ふくろう大好きなんですよね~、ここ寄っていきませんか?」

「全く仕方ないな!好きならしょうがない」

 この時ほど皆越先輩をめんどくさいと思ったのは初めてだった。


 中に入ると、数種類のふくろうが止まり木に止まっていた。どうやら、その子たちと触れ合えるみたいだった。

「見てよ、ほら泰くんっ! わー、触っても良いみたいだよ!」

 肩を鷲掴みにして全力でゆすってくる先輩。

「知ってますよ。一緒に説明受けたじゃないですか」

 というか、そんな事より近い……


 そのあと先輩はいろいろなふくろうと、ふれあいに行った。

「(先輩、動物と触れ合ってるときはこんな顔するんだ。かわいい……)」


「お前はもふもふだな。えー(もふもふ)こんなお前にはモフ太郎と名付けてやろう」

「先輩、その子の名前はエリザベスっていうみたいですよ……」

「やあ、泰君!僕はモフ太郎だもふ。泰君も僕をもっともふもふするだもふ!」

 裏声を使ってアテレコする先輩。だからそのふくろうはエリザベスだって……

「するだもふ?」

 ふくろうをズイと前へ出してきた。促せられるままに、手を羽毛に沈める。

「うわっ、凄いふわふわしてる」

 すべすべな羽ね、ふわっと手の沈み込む感覚。ほんのりと温かみが伝わってきた。なんだか癖になりそうだ。


 しばらく2人でもふもふしていると。スタッフの人が近づいてきた。

「デートの記念にお写真いかがですか?」

 それを聞いて、皆越先輩は悪戯っ子の顔で耳打ちしてきた。

「私たちって周りから見れば恋人に見えたりするのかな?」

「ーーッ!?」

「冗談だよ冗談(笑)」

「写真お願いします。ほらもっと泰君寄って」

 それから、そのお店で何をしていたか上の空だった。




 ふくろうカフェを出て今度こそ目的地へと向かう。今の自分には外の風が頭を冷やすのにちょうど良かった。

 しばらく歩いてたどり着いた本屋は、兄メイトだった。

「(やっぱりかー)」

 先輩は先輩だなー、と思った雪本泰なのだった。

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