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ライトノベルじゃダメですか?  作者: 東雲もなか
池田麻衣子じゃダメですか?
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68話 池田麻衣子じゃダメですか?4

 何もいつも仕事ばかりしているわけではない。


 当然私にも休日があるわけで、その日は自分の好きなことをやっている。


 私の好きなこと、それはおわかりの通り本を読むことだ。



 金曜日家に帰ればそれからは食事は疎か睡眠すらろくに取らずに、本を読む。


 読みまくる。


 インドア派ではあるが割と体力はある方だという自負がある。


 たかが3徹くらいどうということはない。




 思えばいつからだっただろうか、私がこんなに本を読み始めたのは……



 幼い頃。


 歳は今では正確には思い出せない。


 確か小学校1,2年生くらいだったのではないのだろうかと思っている。


 当時の私は、普通に活発的な女の子だった。


 今より視力も良く、眼鏡もかけてなかった。


 何はともあれ、今のような本の虫では決してなかったというわけだ。



 そんな時代のとある日曜日のこと。


 私は、お父さんに外に連れ出されていた。


 木漏れ日溢れ、春風が2人の間を通り抜けていく。



 歩いていた路地を進んだ先にあるのは看板に、山本古書店と書かれているお店だった。


 見た目は流石に今よりは古くないといっても、寂れたといった言葉がぴったりといった感じだ。


 正面のガラス扉から見えるのは、乱雑に積まれたあまり状態が良いとは言えない本。



「こんちはー 大将」


「全く、儂は店長だと何度言ったら分かるのかね」


 声の主を見ようにも本に埋もれていて、見つからない。


「彼は、私の古い友人でね。ちなみに本名は山本ではなくて佐藤なんだが。どうだ面白いだろ」


「おい、それは儂をバカにしとるのか?」


「そんなことより、ほら読みたい本とかないか?気に入ったのがあれば持っていけ」


 店員でもないお父さんが、そんなことを言っている。


 店長は諦めたようで、ここまで聞こえる深い溜め息をついていた。



 一面に積まれた本を見渡す。


 漫画や児童文学は見つからず、聞いたことのないような小難しい本ばかりだ。


 正直言ってどれも欲しいとは思わない。


「あ……」


 その時見つけた。


 ボロボロの本の中で一冊目立つ装飾の本だった。


 この店にあるにはあまりに似つかわしくない赤い表紙に金色のラインが入った立派な本だ。


 それを抜き取って見る。


 表紙には革が使われているようで手触りが良い。


「あ、あぶない!」


 お父さんの声が聞こえる。瞬間、


 山積みにされていた本が音を立てて崩れ落ちた。


 ギリギリのところで、お父さんが庇ってくれて私は無事だ。


「イテテテ」


 お父さんがまるで熊のようにむくりと起き上がる。


「まったく、危ないじゃないか大将。ん?その本が気に入ったのか。ふむ。よし、じゃあこの本を慰謝料代わりにもらっていくぞ」


「あぁ?おいその本隠しておったのに。おい、ちょっと待て!」


 店長が慌てて奥から出てこようとしているのを無視して店を出たのだった。


「ということが私の本を読むきっかけだったのですよ」


 場所は、山本書店。


 私が話しているのは店長の佐藤さん。


「ったく、あん時は儂の秘蔵の本を持っていきおって」


「良いじゃないですか。こうして布教に成功したのですから。本望でしょ?」


 佐藤は、呆れたような表情をしている。


「それで、その本は今どうしてるのか?」


「えーと、たしかなくしちゃいました!」


 ペロッと舌を出していたずらっ子な顔をする。


「は!?あれをなくしただと!あれがどれだけ貴重な本なのか分かっておるのか」


 かなり興奮した様子で、咳き込んでいる。


 流石にやりすぎたかと思い反省する。


「冗談ですよ。流石に大事に取ってありますよ。温湿度管理も完璧です」


「あまり老人をからかうでない」


「できるだけ気をつけます」


「できるだけって…… お?お客が来たようだな」


「そうみたいですね。では私は帰るとします。それと、これもらっていきますね」


 後ろでなにか言っている声が聞こえたきもするが、十数冊の本を抱えたまま家に帰った。

登場人物に聞いてみたQ&A【池田麻衣子編】


Q:好きな小説はなんですか?


A:1つを選ぶのは難しいですね。強いて言えば、羅生門とかですかね。後は人間失格、怪人二十面相、etc……(この後100冊程度続くが省略)

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