63話 桜田弥久じゃダメですか?4
「それじゃあ、まずは掃除でもしてもおうかな」
「はい」
掃除を頼まれた私は、掃除道具を取りに行く。
まずは布巾を使って、テーブルを拭いていく。
その次に、モップで床を掃除した。
普段から家事は自分がやっているので、かなり綺麗にできた自信がある。
「ほう、なかなかやるね。助かったよ」
確認をしたマスターも満足そうな表情だ。
開店時間にも余裕で間に合ったので一安心だ。
「店を開けるまでまだ少し時間あるし、そうだせっかくだからコーヒーの入れ方を教えてあげるよ」
そう言うと、豆を袋から出していた。
「ドリップコーヒーはまだ難しいかもしれないけど、エスプレッソなら大丈夫だと思うよ。うちは全部機械でエスプレッソを入れるから、やり方さえ覚えれば誰でもできるしね」
私は取り敢えずメモを取り出した。
「まずは、豆を電動ミルに入れる。エスプレッソ用の豆はこれを使ってるから、これを入れてね。そして電源を入れて豆を粉砕する。終わったら自動で止まるようになってるから、そしたら取り出す。ここまでは大丈夫?」
わからないところはなかったのでうなずく。
「そう、なら次に行くね。引いた豆はこの機械に入れて、今度はこのスイッチを押すんだ」
マスターがスイッチを押して数秒後、出口からコーヒーが少しずつ滴り落ちてきた。
「これで完成。それじゃあやってみよっか」
私はさっき見たとおりに、繰り返す。
豆を引き、それを機械に入れる。
機械を起動させると、やがてコーヒーのいい香りとともにエスプレッソが出てきた。
「よくできたね。そしたら、飲んでもいいよ」
マスターの言葉に甘えて、カップに口をつける。
「苦い……」
「あははは」
楽しそうに笑うマスター。
「笑わないでくださいよ」
少し頬を膨らませた。
「いやごめんね。えっと、砂糖用意しよっか。もともとエスプレッソは砂糖をいっぱい入れて飲む飲み物だし」
戸棚にあった角砂糖を出してくれた。
私は、砂糖を何個もカップに放り込み甘くなったコーヒーを飲んだ。
ちょうど飲み終わった頃、カウベルの音がなり1人目のお客さんが来たのだった。




