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ライトノベルじゃダメですか?  作者: 東雲もなか
桜田弥久じゃダメですか?
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60話 桜田弥久じゃダメですか?

 授業中突然、泰からLINEが来た。


「このあとの放課後一緒に帰れない?』


 その1文に心臓が飛び上がるのを感じる。


 そう、私は泰のことが好きだ。


 一応けじめはつけたつもりではいる。


 しかし、それでも「好きだった」ではなく、現在進行形で「好き」なのである。


 


 だったらなぜ、今でも好きなのに諦めをつけているのか気になるって?


 そんなの簡単だ。


 泰は、私の親友の皆越ゆかりのことを思っているから。


 彼女は容姿端麗成績優秀。おまけに、ちょっとおちゃめなところもあるという完璧な設定を持っている。


 私には敵いっこない。



 それに、自分の好きな人が、幸せになれるならそれはそれで……


「やっぱ、無理だよ……」


 私はそんな弱音をこぼしていた。




 会いたいと思う気持ちと、会いたくないという気持ちが複雑に入り乱れるまま、放課後はやってきた。


 待ち合わせ場所は、体育館裏。


 今日の部活はエアコンの整備が入るとかなんとかで臨時休部となっている。


 そのため、HRが終わるとそのまま体育館裏へ向かった。



 私はどうやら先についたみたいで、少しの待ち時間があった。


 空を見上げ、息を吸う。


 少し冷静になってみればこれってよくある告白のシチュエーションだということに気づいた。



 さっきの深呼吸が無駄というより、むしろ逆効果といった具合で落ち着かなくなる。


 今日は、比較的気温は高かったが、この暑さは気候のせいではないだろう。



「(やっぱり、帰ろうかな……)」と思い足を踏み出した時、左手首を誰かから掴まれた。


 驚く暇も与えられぬうちに、


「走って!」


 よく聞き覚えのある声が掛かったのだった。




 しばらく走って、学校から離れたとことまで来たらやっと手を話してくれた。


「で…何なの……、説…明…してよね……」


 走ったせいで息を切らしながら、引っ張ってきた人である泰に尋ねた。


 彼は、息を整えてから、


「えっと、いきなり走ってすみません。その、瑠璃を振りほどくのに必死で……」


 瑠璃は最近文芸部に入部してきた新人だ。


 なんだか放っておけないからついついこっそり世話を焼いてしまうのは秘密だ。


 彼女がどう思っているか知らないが、私は瑠璃のことを割と気に入っている。



「2人きりで話したいことがあったので、無理をさせてすみませんでした」


 再び謝ってくる泰。


 そんなことよりも、2人きりで話したいことがあるというところが気になる。


 これってやっぱりそういうことなのだろうか。


 ゴクリと生唾を飲む。


 不安と期待が満ちる不思議な感覚。



「僕、大切な話があって……なんて言えば良いのかな……」


 泰はしどろもどろになりながら、話している。


 きっと、まとまりきっていない考えをまとめながらだからだろう。



 しばらく会話のないまま下校路を歩いた後、泰は覚悟を決めたというような顔つきになった。


 いよいよ、私も覚悟を決めないといけないだろう。


 手に掻いた汗をスカートと一緒に握る。


 少し震えているのはできれば気づいてほしくはなかった。



 泰が息を吸う。


「僕はー 」

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