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ライトノベルじゃダメですか?  作者: 東雲もなか
変化する文芸部
56/216

56話 雨の動物園はダメですか?

 瑠璃(るり)が意識を取り戻したあとのこと。


「今日は雨が降って残念でしたね」


 話しかけてきたのは、瑠璃の介抱をしてくれていた人だ。


「そうですね、入るときはあんなに晴れていたのに。おかげで、通常の料金取られちゃいしたしね」


 この人は悪くないのだが少し八つ当たり気味な答え方になってしまった。


「すみません……」


 苦い顔をしながら、平謝りをする係員。


 もしかしたら前にこのことで客から怒られたことがあったのかもしれない。



 係員はこちらの様子を伺いながら声をかけてくる。


「あの、こんなことを言っては言い訳がましいかもしれませんが……」


 あくまでも申し訳ないといった表情は崩さないまま。僕は先を続けるよう促す。


「雨の日の動物園もそれはそれで良いものですよ」


「と言うと?」


 僕は思ったことをそのまま口に出す。



「はい。晴れた日では見れない、雨の日ならではの動物の生態が見れるのですよ。雨に打たれながらも、たくましく生きる動物たち、素敵だと思いませんか」


 なるほど、と僕は思った。


 要は考え方しだいなのだろう。どこに価値を見出すかこそが楽しく生きていく秘訣なのかもしれない。



 彼女に進められるままに、僕たちは再び外の動物を見る事になった。


 さっき見た動物もなんだか違って見える。不思議な感覚だ。



 傘を持ってきていなかったので、どうしようかと考えていたがさっきの人が貸してくれた。


 ただし2本しかなかったので、必然的に僕と瑠璃、弥久(みく)先輩と皆越(みなこし)先輩となった。



 瑠璃と一緒になるのは正直避けたかったがどうしようもなかった。


 それより不思議だったのが、弥久先輩が瑠璃と一緒が良いと言ったことだ。


 そんなに瑠璃のことが好きだったけか?とも思ったが本人に聞く以外に確認しようもない。


 わざわざ聞いてまで知りたいわけではないので、この時はスルーした。



 ちなみに弥久先輩は瑠璃の、


「なんで私が弥久先輩と一緒にならないと行けないんですか!わざわざ(ゆたか)と離れて先輩と傘に入らないといけない理由がありません。デメリットしかないです」


 というように全力で拒否されていた。


「そんなに一緒に傘を差したいなら私のメリットを提示してください」


 これで弥久先輩の心は完全に折れていた。


 なぜだか、僕が弥久先輩の赤くなった目で睨まれたが理不尽だ。




 一通り周り時間も良い感じに立った頃、そろそろ帰ろうかという話になっていた。


 瑠璃と距離を保とうと、離れていたため左肩がかなり濡れてしまった。



「あ……」


 皆越先輩が呆けたような声を吐いた。


「どうしたの」


 隣りにいた弥久先輩がすかさずその理由を聞く。


「あれを見てくれ」


 先輩が指差す方を見れば雲の隙間から、うっすら青空が顔を覗かせている。


 それともう一つ……



「虹だ……」


 そう、虹がかかっていたのだ。


 残念ながら7色と言えるような鮮やかなものではなかったのだが、そんなことはどうでもよかった。



 虹は薄く、すぐに消えてしまった。



 瑠璃は消えた虹を見つめたまま、


「終わりよければ全て良しと言いますが……全くその通りですね……」


 そう言う瑠璃の顔は、いつもの無邪気な感じではなく、微笑んでいた。



 しかしそれも、つかの間。


 気づけばいつものように戻って、


「それでは、今日はこれで解散で来週も部活を頑張りましょう」


「まあ、皆さんは生み出すことを知らないただの虫ですが」そう付け加えることも忘れずに。



 僕は今日来られて良かったと思う。


 嫌々来てしまったが、本当のところそこまで嫌でもなかったはずだ。


 それに今は、また来られたら良いなとも思っている。



 この部活に入れて本当に良かったとも……

ど、どなたか、ぜひ評価を……

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