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ライトノベルじゃダメですか?  作者: 東雲もなか
変化する文芸部
54/216

54話 もふもふじゃダメですか?

 雨が降って逃げ込んだその施設は、レストランやお土産屋さん、更にふれあい広場のようなところも併設されていた。


「流石にまだ昼にするには早いな」


 看板を見た皆越(みなこし)先輩が言う。


 現時刻は11時にもなっていない。


 朝が早かったといっても、昼食を取るほどお腹が減ってはいなかった。


「それなら瑠璃(るり)は、ふれあい広場に行きたいです」


「そうね、ちょうど良いんじゃない」


 弥久(みく)先輩も賛成のようだ。


 僕も別に反対する理由もない。


 かくして、ふれあい広場に行くことになった。



 ふれあい広場にはモルモットやうさぎ、ハリネズミなどの動物が居る。


 ハリネズミも触って良いみたいだが、棘が刺さって痛そうだ。そう思ったのもつかの間。


「痛いです〜」


 見れば、指を押さえて涙目になっている瑠璃。


 どうやらハリネズミの棘が刺さったらしい。


「ハリネズミはこうやって触るのですよ」


 そう言いながら話しかけてきたのは、作業服を来たおねえさんだ。


 おそらく飼育員だと思う。


「こう……かしら?」


 今度は弥久先輩が興味を持ったのか、恐る恐る手を伸ばしている。


 瑠璃が「どうせ刺されて痛い目見るんですよ。けっ」とツバを吐いている。


 しかし、弥久先輩は棘が刺さることなく触れたみたいだ。


「へ〜、結構しっかりしてるのね。こんなに小さいのに」


「お嬢さん、おやつ上げてみませんか?」


「わっ、私?」


 まさか自分だとは思わなかったのか、弥久先輩は少し動揺していた。


 弥久先輩が答えようとすると横から瑠璃が、


「良いんですか!」


 と割り込む。


「もちろんですよ」


 飼育員さんは2人に小さな野菜スティックの入った容器を渡した。


 その中から1本取って、お手本を見せてくれる。


 それを、見よう見まねでおやつを渡す弥久先輩。


 ハリネズミが食べてくれると、その不安そうな表情が一変、緩んだ優しいものになる。


「ねえ、見て!泰、食べてくれた」


 こういうところを見ると不覚にも可愛いと思ってしまう自分が情けない。


 一方瑠璃はというと、こちらはまた棘が指に刺さり悶絶していた。全く何をやっているのだろう。



「次は、痛くないのが良いです……」


 ハリネズミに相当懲りたのか、打って変わって弱気な瑠璃。


「それなら、モルモットを抱っこしてみませんか?」


「その話を詳しく……」


 瑠璃は、飼育員さんと一緒にモルモットコーナーへ行ってしまった。


 僕もせっかくふれあい広場に来たので、なにかしらふれあいたい。


 モルモットをモフモフしたい……


「僕もモルモット行ってきますね。先輩たちはどうします」


「そうだな、私もいこう」


「私も行く」


 結局4人でふれあうことになった。



「ふっ……、お前たちは、我々がモフる事によって我々にどのような影響を与えるかの実験台だ」


 瑠璃が頭悪そうなこと言っている。


「それだと僕たちが実験台ってことにならないか」


「そんなことはどうでも良いのです。突っ込んではダメなのです」



「それにしても温かいのね」


 弥久先輩が言うと飼育員さんが、はっとした表情になる。


「あ〜、おしっこしちゃったみたいですね」


「えっ、えぇーー」


 おしっこをされたとしても、防水のエプロンをしているので大丈夫なのだが、弥久先輩はかなり動揺している。


「ぷーくすくす。先輩おしっこかけられてます〜」


 弥久先輩をからかう瑠璃。ちなみに嗤い声ではなく実際に「ぷーくすくす」と言って煽っている。


 先輩は、顔を赤くしてうつむいてしまった。


「瑠璃言い過ぎ」


「でも……」


「瑠璃」


「わかりました……ごめんなさい弥久先輩」


「うん」


 気まずい空気になってしまう。


 それに気を使ったのか皆越先輩が、


「ほら、もうそろそろお昼だ。お腹空いていないか?そこのレストランでなにか食べよう」


 と提案していた。


 しばらく遊んでいたので、まだ早くはあるがそれでも少しはお腹が空いてきた頃合いだった。


「丁度いいですね」


 せっかくの助け舟、乗らない手はない。


 僕たちは、ふれあい広場の次にレストランへ向かった。

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