47話 部活に連れて行ったらダメですか?
放課後になりそれぞれの生徒が帰るなり、部活に行くなりそれぞれの行動をとる。
ちなみに僕は、瑠璃に腕を再び拘束されていた。
「あの、良い加減離してくれない?」
休み時間の度に同じ行動をとってくるので半ば諦めた口調で言う。
「いやです(ハート)」
何度か聞いたその台詞を聞きため息をついた。
「僕部活に行かないといけないんだけど」
別に強制参加ではないので、必ず行かないと言うわけではない。
これは彼女から逃れるための口実に過ぎないのだ。
「部活ですか。良いですね!いきましょう!!」
どうやら彼女は一緒に行く気でいるらしい。
分かってはいたが、何を言っても諦めそうじゃない。
こうなることは薄々感じていたので、池田先生には予め伝えてはいる。
僕はもう一度、深いため息をつくと彼女を部室へ案内した。
そうして、前の話に繋がる。
文芸部部室は、予想していた通り微妙な空気が流れる。
唯一、場の空気を分かっていない瑠璃。
そして、分かっていながら楽しんでいる池田先生。
「そ、その子は誰かな?ゆたかくん」
引きつった笑みで当然の質問をする弥久先輩。
普段、僕のことを呼び捨てするのにわざわざくん付けで読んでいるのが怖かった。
彼女の僕を思う気持ちには薄々気付いてはいる。
だからと言って、彼女が特に何かをしてくるまでもないので、とりあえずは知らないふりをしているのだが。
何を言いたいかと言えば、つまり、自分のことを好きな人の前で瑠璃が絡みついてきている現状は大変辛いと言うことだ。
「あー、えっと。これはですね……」
「私は、泰と同じクラスの蒼井瑠璃です。泰のお嫁さん希望です!」
「はぁーーーー!!!」
弥久先輩の叫び声が部室に響く。
耳を片方しか塞げず、もう片方がキンキンする。
「違いますよ!こいつが勝手に言っているだけです!」
「もー、全く。他の人がいるからって照れなくて良いんですよ」
照れてない。
むしろ、大分鬱陶しい。
僕は、瑠璃を無視してこうなった経緯を説明した。
「なるほどな。つまり泰君は、ラノベ主人公のようなことをして、こんなに可愛い女の子を誑かしていると」
こう言う展開にはやけに食いついてくる皆越先輩。
「誑かしてはいませんが、不本意ながらだいたいあっています」
「そうです。誑かされてなんかいません。私から泰を愛しているのです」
少しは黙っていてくれないだろうか。
話をややこしくしないで欲しい。
本でも突っ込んで黙らしてやりたいくらいだ。
「ゆかり、この部屋『境界線上○ホライゾン』あったわよね」
「残念ですけどそれは今、書庫ですね」
最近整理しに行った際に持って行ったばっかりだ。
こうなることが分かっていたなら、置いておくべきだったと後悔する。
「でも、『オーバー○ード』とか『幼○戦記』なら2列目の棚にありますよ」
弥久先輩は僕の声を聞くと立ち上がり2列目の本棚に向かう。
そして、読んでいると腕を鍛えられるレベルを通り越して腱鞘炎になる(なりそうではない)本を1冊ずつ持ってきた。
「ちょっと、何するんですか!ふんぐぅー、んぅーー」
あの本はもう読めそうにないが仕方ない。
尊い犠牲だ。
「それで、結局この子どうするの?」
「2人がよければですが、部活に入れて上げられないかなと……ここでは、こんなんですが、普段は一緒にいてくれる人とかも居ないみたいですし」
「私は構わないぞ」
即答する皆越先輩。
皆越先輩は部員が増えるのが嬉しいのだろう。
「はぁ……ここでダメって言ったら私がわがまま言っているみたいじゃない……良いわよ」
「ありがとうございます」
「ほら、ふぅーふぅー言ってないでさっさと入部届、書け」
「んーんーんー!!(わかりましたー)」
「はい、確かに受け取りました」
入部届を受け取るや否やすぐに部室を後にする先生。
こうして無事?瑠璃の入部が決まった。




