45話 気に入れられちゃダメですか?
しばらくの静寂。
その中最初に口を開いたのは瑠璃だった。
「かっこいい……。」
『へぇ?』
誰もが同じ反応を見せる。
もちろん僕も変な声を上げていた。
誰もが呆けた顔をしている。
頭の上にクエスチョンマークが見えてきそうなほどだ。
そんな周りはどうでも良いと言うような態度で瑠璃はきらきらとした瞳で僕を見つめてくる。
「私決めました!泰のお嫁さんになります」
僕を差し置いて、何か重要なことを決めていた。
「ちょっと待ていっ!」
思わず突っ込んでしまった。
「そうですよね、やっぱりダメですよね……」
なんだかあっさり止まってくれたみたいだ。
ただ、なんだろう。
しょんぼりしているところを見ると、悪いことをしたわけでもないはずなのに罪悪感を得る。
「泰は、モテそうですしね。私なんか眼中にないですよね……でも、安心してください。きっと泰にとって最高の女性になって見せますから!」
まったく安心できない。
さっき感じた罪悪感はなんだったのかと思う。
僕が、瑠璃のぶっ飛んだ言動に引いていると、彼女はこちらの方へ寄ってきた。
そう思ったのも束の間、腕に絡みついてきた。
「ゆたかぁ」
瑠璃はとろけてしまいそうな甘い声で僕の名前を読んでいる。
それを見て周りは面白がって囃し立てている。
僕は、彼女から逃れるべく腕を振り解こうと試みるものの、流石にそこまで乱暴にできない。
それに、本人は気付いていないかもしれないが、肘あたりになんだか体験したこともないような柔らかな感触がある。
これから逃れられないのは、悲しいが男の性なのだろう。
そう思って諦めざる負えなかった。
今の僕ができるのは、ただその時が過ぎるのを待つのみ。
結局、僕が解放されたのは午後の授業が始まるチャイムがなってからだった。




