39話 文化祭を楽しんじゃダメですか?
客の来ない一番奥の廊下で読書に勤しむ事1時間程度。
その後、休憩を終えた雪女が交代に来た。
「皆越先輩、結局お化けの格好するんですね」
始まったときは普段の制服だったのでもう忘れているのかと思ったが、覚えていたようだ。
「もちろんに決まっているだろ」
何がもちろんなのかが分からない。
特にいく当てもないが、適当にぶらついてみるかと席を立ち皆越先輩に譲る。
こうして一歩離れて、並んで座る先輩たちをみていると一体何を売っているのか分からない。
通り行く人(と言っても周囲に人はいないのだが)に何かを聞けば9割型の人が、写真集と答えるのではないだろうか。
ちなみに残りの1割は、コスプレ写真集だ。
何時までもここにいても仕方がないのでとりあえずは飲食物を求めて校舎を彷徨い出した。
何を食べようかと各クラスを一通り見回っている時に見覚えのある背中、というより明らかに目立つ金髪が目に入った。
この町で彼以外に綺麗な天然のブロンドヘアを見たことがない。
無視する理由もないので、声をかける。
「ん?ああ、泰君ですか。こんにちは」
「こんなところで何してるんだ」
とりあえず、当たり障りのない質問でもしておいた。
「貴方の文化祭を見にきたんですよ」
僕のとは言ったがそれだけでは無いだろう。
向こうがわざわざ気を使ってくれているみたいなので、言及はしないが。
「僕は、お昼ご飯を食べようと思ったんだけど、どうする?」
エドは少し考える素振りを見せる。
「ご一緒しても良いですか?」
断わる理由なんてなく、もとよりそのつもりだったので問題はない。
なら、どこか座れるところが良いかと思い探してみると丁度、弥久先輩のクラスのメイドカフェがあったのでそこに入った。
「いらっしゃいませご主人様!にゃんにゃん」
そんなどこか少し間違った入店の挨拶で席に案内される。
人によっては「メイドというものがなってない」と逆上しそうだなと思ったが、幸い僕にとってはどうでもよかった。
席に着くと、メニュー表が置いてある。
それを取るととりあえずエドの方に渡し自分はそれを覗き込んだ。
「何にする?」
答えを求めて聞いたわけでは無い。
何かを選ぶときの決まり文句のようなものだ。
「う〜ん」と唸ってまだ決まりそうになかったので、僕もメニューをじっくり見てみる。
中身は普通に飲物だったり、軽食だったりだ。
「では私は、ホットドッグとアイスティーですかね」
しばらく悩んだ後エドは僕に報告してくれた。
僕は飲物は頼まず、ホットドッグだけ頼んだ。
「お待たせしました!」
商品を持ってきたのは如何にもJKとかギャルとかが似合うような子だった。
クラスの中心のグループに属してそうなオーラを醸し出している。
「んん?」
そんな彼女が僕の顔を訝しげに見つめてきた。
「なんですか?」
「君ってもしかして雪本泰君じゃ無いかな?」
彼女はどういうわけだか僕のことを知っているらしかった。
僕は彼女のことが記憶にないのであったことがあると言うわけではないと思うのだが。
「はい、そうですけど。えっと、どちら様でしたっけ?」
万が一僕が忘れていただけかもしれないと思い、恐る恐る尋ねる。
そんな不安も次の瞬間には杞憂に終わった。
「いやーごめんごめん。君は私のこと知らないもんね。びっくりさせちゃったかな?」
そう言うと彼女は下をちろっと出して小悪魔的笑顔を浮かべた。
普段から美女2人に囲まれて部活し、耐性を獲得していなかった前の僕なら危なかったかもしれないが、今なら問題ない。
「私は弥久の友達の真由美っていうの。いやー弥久から君のことはよく聞いているよ」
ムフフフって笑う人って実際に居たんだなと思う。
何を勘違いしているか知らないが、ニヤニヤと僕を見ていた。
そんな時ふと閃いた。
「あの真由美さん」
「ん?なにかな?」
「あのですね……」
手招きで顔を寄せるようにジェスチャーする。
耳打ちでちょっとした計画を伝えた。
「ふむふむ。君もなかなかやるね」
「それ程でもないですよ」
「分かった。そういう事なら構わないよ」
「ありがとうございます」
「そうだ、連絡先とか教えてもらっても良いかな?その方が便利だと思うから」
「はい。お願いします」
スマホを出して連絡先を交換した。
「泰君、貴方は何を企んでいるのですか?」
何か疑うような表情で聞いてくるエド。
しかし、まだ言うわけにはいかない。
こういうのはギリギリまで黙っておくから面白いのだ。
そして、昼食をとった僕たちは行くところもなかったので部室の方へ戻った。




